跡継ぎが晴れて社長なり専務なり、重要な立場についたとき、頭をかすめるのはチームメンバーについて。
中には、大胆な人の入れ替えを行う事もあるようですが、さすがにそれはお勧めしません。
とはいえ、やはりチームメンバーは少し変化をつけたい気持ちもわかります。
但し、気を付けたいのは、配置換えにしても、新規採用にしても、欲しい人材のイメージが明確でなければ上手くいかないことが多いようです。
安易に、「即戦力を」という思いで人を探すと、とんでもない目に合う事が少なからずあります。
そういった際の考え方について、少し考えてみたいと思います。
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Contents
最もパフォーマンスの高いチーム
見慣れたメンバーでは限定的
皆さんは、この3パターンの中で、最も成果を上げたチームはどのチームだと思われますか?
- すでにプロジェクトを成功させたチーム
- 全く新たに編成したチーム
- すでに実績のあるチームに新顔を何人か加えたチーム
ある実験によると、答えは3番だそうです。
2の全く新たなチームでは、お互いが探り合いから始まり、メンバーの能力も計り知れず、成果を上げるまでの時間が結構かかるようです。
逆に、お互いを知り尽くした1については、思考がパターン化されてしまいマンネリ化がみられたといいます。
その点、3についてはある程度知り尽くしたチームに新しいメンバーを加えることで、発想の広がりがかなり大きかったとのこと。
何が言いたいかというと、常に同じ顔触れはやりやすいという反面、刺激も少ない。
後継者が一定の地位に就いたとき、こういったチームの組み換えを行う事で、会社が活性化する可能性もあるようです。
意外と意識されない人材マネジメント
企業にとって人は大事、そういう人は多いのですが、実際には一人一人の特質をつかんでいるマネージャーは決して多くはないのではないでしょうか。
そもそも、社内の人間をどのようなスタンスで評価していくかも明確ではないことが多いでしょう。
一方で、世に出回る人の評価制度は複雑なものが多く、人事部などといった独立したセクションを持たない中小企業にとっては運用は困難を極めます。
そこで、まずは非常にシンプルな方法で社内の人的リソースをチェックしてみてはいかがでしょうか。
人材のマトリクス
価値観と成果による分類
以下に示した図は、ジャック・ウェルチが考えるリーダーの評価を図式化したものです。
とはいえ、ざっくりとした形であれば、一般社員にも当てはめることができるので、少し解説してみたいと思います。
会社との価値観の共有度が高く仕事の成果も高い人材
上のマトリクスでいうところの、右上「①最高の人材」に当てはまる人材です。
会社の価値観を理解・実践したうえで成果を上げるわけですから文句なしですね。
価値観の共有度も成果も低い人材
左下「②残念な結果」に当たる人です。
ここに位置する人材は、会社としては非常に難しい立場に立つ人であるといえるでしょう。
この場合、会社から見たこの人の評価だけではなく、逆にその本人がこの会社で働くことをつらく感じている可能性があります。
しっかりと面談した上で、今後の人生について見つめなおす機会を持っていただく必要がある可能性のある人と考えられます。
価値観の共有度が高いが仕事の成果は低い人材
左上「③セカンドチャンス」に当たる人です。
この人たちは、会社の価値観の共有度は高いのですが、成果がついてこない人。
これは、教育や仕組みで右上の①に動く可能性のある人ともいえます。
価値観の共有度が低いが成果が高い人材
右下「④要注意」に当たる人です。
ここにいる人には、注意が必要で、会社にコミットしていないけど実力があるという事はつまり、社内での発言力を持っている可能性があります。
会社の価値観を共有できないかを根気よく話し合う必要があります。
実力があることから安易に要職に着けることもあるのですが、きちんと見定める必要があります。
マトリクスの活用法
今の社員がとこに位置するか?
まず把握しておきたいのは、今の社内のメンバー一人一人がどこに位置するかを検討してみましょう。
付箋に名前を書いて、このマトリクスの該当する場所に張っていくといった簡単な方法でOKです。
すると、だれがどの位置にいて、特定の部署に偏りがあるとか、ないとか、そんなことがわかります。
また、将来、会社に何かしらの圧力をかける可能性のある人、後継者の方針に対する抵抗勢力がどこにあるかがわかるようになります。
「価値観」を変えるのは難しい
さて、ここで確認しておきたいのは、③を①に変えるのは教育や仕組み化で可能なのですが、④を①に変えるのは非常に難しい、という事。
逆に言えば、価値観さえ共有できていれば、工夫である程度のレベルには持っていける可能性があるという事です。
これからの時代、多くの仕事がAI(人工知能)にとってかわられるという話さえ出ていますが、仕事の技術は多くはマシンが代替してくれる可能性もありそうです。
その時代に人間がどう会社や仕事にかかるかはまだ何とも見えませんが、少なくともそのとき人に負うものとして価値観といった部分がより大きくなるような気もします。
ところで、価値観を共有できているのに成果が上がらない人がいるとすれば、それはなぜなのでしょうか。
戦略や戦術の誤りかもしれませんし、教育の問題かもしれません。
あるいは何か仕組み化を検討しなければならない部分であるかもしれません。
そこを突き詰めて考えていくと、後継者のやるべきことが見えてくる可能性が高いと思われます。
そもそも価値観とは?
もう一つ考えておきたいのは、会社として、経営者としての価値観というのはどんなものなのか。
この軸がなければ、判断基準を持てない、という事になります。
言い換えれば企業理念といった部分になると思いますが、これが形骸化していると判断基準になりえませんから、その理念の実現とビジネスをうまくリンクさせる必要がありそうです。
連綿と続く自社の根底にあるものを言語化し、実現に近づけるし杭を作り出すのも、後継者の役割といえるかもしれません。
採用のシーンで
このマトリクスは、新規採用についても活用が可能と考えられます。
どうしても採用活動においては、成果に着目しがちです。
そのせいで、全く会社の価値観を共有できない人間を雇ってひどい目に合ったケースは枚挙にいとまがありません。
取り急ぎの即戦力が必要なのか、長期にわたって共に歩む仲間が必要なのかを明確にすることで、採用活動も随分やり方が変わってくるのではないかと思います。
まとめ
会社経営において、人の問題は重要だといわれつつも、大雑把な捉え方しか行われていない、もしくは大企業で採用するような詳細な人事評価を行うかといった両極端に振れていることが多いように思います。
しかし、中小企業においては、大企業のような評価制度を採用する前に、ざっくりとした感覚として社員の現在地を把握することが必要となってくることが多いのではないでしょうか。
そういった肌感覚を実感するうえで、ジャック・ウェルチが伝える人材のマトリクスにある考え方はその第一歩として非常に使いやすいコンセプトとなるのではないかと思われます。
一度試しに、お使いいただけると意外な発見もあるかもしれません。
④のコマには大物が鎮座している可能性もありそうですね。
※この記事でご紹介したマトリクスは見えるものと、見えないものでご紹介したものと同じものですが、縦横が逆になっておりますのでご注意ください。
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