注目を浴びる企業が「なに」を提供しているか? 二世経営者に学んでいただきたい、立体思考から導く企業の方向性

以下の記事では、後継者が会社の改革を取り組むにあたって、どんな視点を持てばいいかを考えてみました。
平面視点に高さを加えると生まれるもの~後継者にお勧めの立体思考
では、こういった思考をとったときに、結果としてどのような企業ができるのでしょうか。
それをイメージしていただきやすいように、既存企業の例をとって説明してみたいと思います。

もちろん、これらの企業がこういった思考法をベースに戦略を立てたわけではありません。
これらの企業はそれぞれの道筋をたどってきたわけですが、その結果と立体思考で導かれる結論の類似点についてを取り上げてみたいと思います。

おさらい

立体思考とは

以前ご紹介した記事、平面視点に高さを加えると生まれるもの~後継者にお勧めの立体思考では、伸びが鈍化したビジネスを生まれ変わるために必要な着眼点についての一つの考え方をご提供しました。
視点に高さ(抽象度)を加えることで、事業の見え方が変わるのではないでしょうか?というご提案です。
簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 第一階層
    従来の商品・サービスを広める方法(販売方法や場所、売る相手を変えるなど)を検討する視点。
  2. 第二階層
    本来提供していた商品・サービスの機能や提供していた価値に着目し、新たなコンセプトを検討する視点。
  3. 第三階層
    企業として目指す世界観や未来像を広げていき、世の中を変えようと検討する視点。

この視点で見たときに、今注目される企業がとる独自の立ち位置に向かう過程についての説明を試みてみたいと思います。

リッツ・カールトン・ホテルはサービスNO.1を目指したわけではない!?

ホスピタリティの名手

まずは、ホスピタリティといえば、必ずと言っていいほど名前が出るのが、リッツ・カールトン・ホテル。
その一流のサービスは、様々なところで取り上げられ、伝説のサービスと呼ばれたり、リッツ・カールトン・マジックと呼ばれたりしています。
「コンビニに寄りたい」といえば、わざわざコンビニまで付き添ってくれるとか、自分で名前を口にする前から自分の名前を呼んでくれるとか、具体的にどのようなサービスがなされているかがよく語られています。
しかし、「何をやっているか?」という事にとらわれると、本質には気づきにくい事があるのではないかと思います。

ホテルの機能

では、普通のホテルが、どう考えればリッツカールトンホテルのような戦略に到達できるのでしょうか?
そこを順を追って考えていきたいと思います。

ホテルといえば、レストランやパーティーなど、様々な機能はあるものの「宿泊」という部分にフォーカスしてみましょう。
そこは、出張や旅行先での寝る場所であるわけです。
ホテルの建物や調度品が作る空間が、商品だと考えたとしましょう。

普通なら、利便性・部屋の広さ、室内の設備、値段・・・
そういったところの見直しを行う事で、差別化を行おうとするでしょう。
しかし残念ながら、こういった外から見える物事は、他社もどんどん追随します。
これが、平面視点に高さを加えると生まれるもの~後継者にお勧めの立体思考でいうところの、第一階層での競争という事だと思います。

 

やっぱり家が一番?

多くの人が経験されていると思いますが、どんなに高級なホテルや旅館に宿泊して満足したとしても、旅から帰ると口にする言葉があります。
「やっぱり、自分の家が一番だなぁ」と。
ここで第二階層の着眼点が出てきます。
多くのラグジュアリーホテルは、非日常感の演出をしていますが、旅慣れた人にとっては「一番である我が家」が世界各地にあるとすれば、そこに感応してくれるそうはいるのではないか?という事が見えてきそうです。

そう考えてみてみると、ザ・リッツ・カールトン・大阪ホテルのホームページには大きくこう書かれています。
「もうひとつの我が家」
目指すのは、ほかのホテルとのサービス競争でもなく、非日常空間でもなく、我が家の落ち着きを外出先で提供しようというコンセプトに行き当たります。
ホテルが提供する、宿というコンセプトから、あたかも旅先に自宅をもっているかのような世界を表現しようとしているように思えます。

相対価値ではなく絶対価値

様々なホスピタリティも、どこかのホテルと比較してよいか悪いか、という基準ではないのだと思います。
他社との競争に勝つという、相対的な価値提供ではなく、「こうあるべき」という自社のポリシーと明確にした絶対的価値提供が、このホテルの人気の秘密の一つではないかと考えられそうです。
だから、家では蕎麦殻の枕を使っている人は、求めれば準備してくれるし、次の宿泊には蕎麦殻の枕が何も言わずとも用意される。
冷蔵庫の中身も、日ごろコーラーばかり飲む人は、次に宿泊したときはコーラーがたくさん用意される。
家にあるものがない、家なら不自由しないのにホテルで宿泊すれば不自由して困る、といったことが起こらないように工夫しているのではないか、と私は考えています。
そういう意味では、単にラグジュアリーなサービスをしているわけではないのではないかと思います。

スターバックスはコーヒーの味で勝負したか?

味で勝負しないカフェ

「スターバックスはコーヒーを売っているのではない。体験を売っているのだ」
米・スターバックスの会長兼社長兼CEOのハワード・シュルツさんは、そうおっしゃっているそうです。
単に、コーヒーという軸で物事を考えていくと、今やライバルはひしめき合っています。

  • 缶コーヒー
  • コンビニカフェ
  • 喫茶店
  • ホテルのラウンジ

挙げればきりがないくらい、様々なところでコーヒーを楽しむことができます。

多くのコーヒー提供者は、味やこだわりを強調します。
どこどこ産の豆を使って、どういう方法でローストして、水にもこだわりぬく。
ありそうな宣伝文句ですが、残念ながら中身は違えど、私のような素人にとってはあまり違いを感じられません。
第一階層の競争は、
プロにはわかる価値かもしれないけど、ユーザーである素人にはわかりにくい
ところに行きがちです。

サードプレイスというコンセプト

第二階層で考えたいのは、そもそもカフェは「コーヒーそのものを提供する場所なのか?」という事でしょう。
実は、多くの方もお気づきの通り、カフェはコーヒーそのものも大事ですが、むしろその空間であったり、時間を重視される方が多いのではないでしょうか。

そこで、自宅でも、職場や学校でもない、三つ目の場所としての存在になろう、というコンセプトが出てくるわけです。
缶コーヒーも、コンビニも、喫茶店も、ホテルも、「ウチのコーヒーはオイシイ」と主張するわけですが、同じ土俵で勝負するのではなく、コーヒーの味を含めた時間の過ごし方、空間の在り方を含めて顧客に提供した結果が、今の人気につながっているのではないかと思います。

実は、喫茶をベースとしたときには、スターバックスのようなパターンだけではなく、今まですでに様々なモデルが出ています。
喫茶店が提供していた価値を「一時的な空間」ととらえたからこそ、まんが喫茶やネットカフェが出てきたわけです。
もっとシンプルなものとして、喫煙者専用喫茶店なんて言うのも東京で見かけたことがありました(笑)
喫煙者に厳しい街で、喫煙者にひと時の憩いの時間を提供しようという事なのでしょう。
本質的に、どんな価値を提供してきたかを、商品と切り離して考えると意外と新たなビジネスプランは意外と出てくるものです。

BtoBの事例

価値を追求したらシェア99%

今までの事例は、どちらかといえば一般顧客向けのものばかりです。
「BtoBのビジネスでは難しいんじゃないの?」
という気がしないでもありません。

そこで取り上げたいのが、ハードロック工業です。
大阪の町工場なのですが、「緩まないナット」で日本国内のみならず、海外はもちろんNASAでも採用されているといいます。
作っているものは、「ナット」です。
ボルトで締める、言ってみればネジのようなものです。

単に「ナット」を作る会社、という事であれば設計書との誤差がこれだけ低いとか、不良品率が低いとか、納期を守りますとか、後は値段ですね。
第一階層で考えると、こういった戦略になってきそうです。

緩まないナットを既存業者が開発するとすれば?

そもそも、この会社は、創業当初から「緩まないナット」を作る事にコミットしていたようですが、もし、そうでないナットを作っていた会社が、緩まないナットを作ろう!と考えるとしたら、どんな経緯をたどるでしょうか。

きっとナット業界(そのようなものがあるかどうかは知りませんが)は、「ナットは緩むもの」という常識があったのではないかと思います。
その中で競争をするとなると、「他社と比べて誤差が○○です。」とか「値段が安い」という部分でし烈な争いをしていたのかもしれません。

そこで一つ頭を抜けたところでビジネスを検討しようとなったとき、「どんな価値提供をしているのか?」という問いを検討してみてほしいのです。
ナットといえば、「何かと何かを固定する方法」を提供していることでしょう。
固定するという価値を提供しているのに、その固定部位が緩んでしまうというのは、価値としての欠陥があるわけです。
ならば、その欠陥を是正するにはどうすべきか?という発想が湧いてきます。
緩まないナットかもしれませんし、それ以外の固定法かもしれません。
いずれにせよ、同業者と違う視点を獲得することで、ビジネスの幅は随分と広がりそうです。

あくまで机上の空論?

今回のお話は、すでに結果が出ている企業を取り上げたうえで、逆算をする形で、
普通の企業がこのような方向に進むにはどう考えるだろうか?
というあくまで空想のお話です。
机上の空論といわれて、反論するつもりはさらさらありません。

とはいえ、こういった考え方に、なんとなく可能性を感じてみたりしたとしたら、ぜひやってみて頂ければと思います。
そのうえで、ぜひ成果をご報告いただければ嬉しい限りです。

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