一見、何の悩みもないような理想的後継者がもつ悩み

ある後継者と話したとき、彼はこんなことをおっしゃってました。
「それなりに会社は儲かってるし、まじめにやっている。
けど、このままではまずいんですよ。
なぜかというと…」
と話は続きます。

彼は、とてもまじめでお客さんや社員からの信頼も厚い。
先代との関係も良好で、会社は利益が出ています。
理想的な世代交代にみえる彼の悩みとはどんなものなのでしょうか。




 

こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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親子経営の悩みは確執ばかりではない

何も残していないと肩を落とす後継者

このブログでは、後継者に悩みがあり、
その多くが親子の確執にあるという前提をイメージし、そこにフォーカスする記事を多く書いています。
しかし、実際には、親子関係はほぼ良好。
少なくとも現時点では、会社の状態も悪くない。
一見理想的に見える後継者も、実際にはいらっしゃるわけです。
しかし、彼もまた悩みは尽きない。

では、彼はどんな悩みを持っているのでしょうか。

彼は言います。
「私は何もしていない。」

え?っていう感じですね。
何もしなくて会社が回るならそれでいいじゃないですか。
そんな風に言うと、彼は反論します。
「振り返ってみると、何も残してないんです。」

いやいや、ちゃんと会社を残したじゃないですか。
そんな風に思うのですが、彼には納得がいかないようです。

理想的な後継者が感じる不安

彼は言います。

父がお客さんを開拓し、今の基礎があります。
私はそれを守ってきたつもりだし、私自身もお客さんを開拓しました。
その結果、それなりに安定した会社ができたわけです。

父も多く口出しすることもなく、社内はある程度組織化できたし、
会社としての現在は決して悪い状態じゃないと思います。
だけど、ふと振り返ってみたときに感じたんです。
私が作り上げたものは何一つないんだ、と。

かといって、何かをやりたいという思いがあるわけでもない。

20歳代、30歳代の時は、何も考えずに走ってきました。
目の前にあることをきちんとやり遂げる。
その事に注力してきたんです。
それなりに頑張ったと思うし、充実感もないわけでもない。

けど、40歳代も後半になって感じるのは、自分は一体何をやってきたんだろう、と。
この先、自分が墓場に入るときに、これをやり遂げた!と満足できるのだろうか、と、
凄く不安を感じるんです。
かといって、何かをやりたい!という衝動はない。
だから、どこに進んでいいのかわからないのです。

いつまでも満足を得られない原因

自分の人生を生きているか?

ここからはあくまで想像です。
親子の確執をあまり経験しなかった彼は、あるいは自分を抑える事に対して器用だったのかもしれません。
「こうあるべき」というあるべき姿があり、そこにまい進してきたわけです。
キチンと営業をやって、キチンと社員とコミュニケーションをとる。
当然、社員の人望も厚く、先代からの信頼も厚い。

逆に言うと、彼の振る舞いは、自分の心に従ったわけではなく、世間の常識に従って生きていたわけです。
それで上手くいっているから、自分はどうしたいか?という部分を深く考える機会がなかったのかもしれません。
きっと、後継者という世間的にありがちなイメージの中に自分を押し込める事を器用にやってきたのでしょう。
親や周囲の人に合わせて生きてきたのではないかと想像します。
判断基準は常に、自分ではなく、周囲の人間がどう考えるか。

しかし、人の本質的な欲求は、抑えきれるものではないのでしょう。
年とともに、そういった思いがむくむくと頭をもたげてきます。
なのに、自分ではそこに目を向けないよう習慣づけているので、なにをやっていいのかわからない、となるのではないでしょうか。
もしかしたら、彼は、自分の人生ではなく、後継者としての人生を歩んできたのかもしれません。

トラブルこそが自分に気付くチャンス

”彼”は、器用だったから今まで心の中のわだかまりを感じることなく年を重ねてきました。
上手く自分の本心を処理してきたのではないかと思います。
一方で、親子の確執を経験する人は、考えようによっては恵まれています。
そういったトラブルが目の前に出現することで、様々な事を調べ、学び、考え始めるからです。
そうすると、本質的な自分の欲求というものも考えざるを得なくなります。
無理やり考える機会を提示されているのが、こういったトラブルです。

もちろん、そんな問題を前にして、すぐに答えが出るわけではありません。
しかし、そこで立ち止まり、考える事が価値あることなのです。
えらそうなことを書いてる私自身、そう思えるには随分な時間が必要でした。
もしかしたら、今でさえその本質が腹落ちしていないかもしれませんが、そんな見方をすると随分見える世界が変わってくるものです。

見直しのチャンスがなかった人は?

ほぼ、大きなトラブルなく人生の折り返し地点に来てしまった。
そこで、急に不安になった人にははたして救いがないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはないと思います。
たとえば、冒頭の彼は40歳代で、なぜか埋まらない心の隙間があることが言語化できるようになりました。
つまり、今まで気づかなかった(見ないようにしてきた)自分の本心が漏れ出てくるようになったのです。
しかし、今はどうすれば充実した日々を送れるのかがわからない。
その「どうすれば充実するのか?」を考える時に、アインシュタインのこんな言葉を参考にしてみてはいかがでしょうか。

常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う。

まずは、あなたの常識を疑ってください。
後継者とはこうあるべきとかいう固定観念というもの。
判断基準は、世間的にどうあるべきか?ではなく、(自分が)どうしたいか?です。
他人視点ではなく、自分視点で考えてみる、という事です。

自分視点というのは、シンプルに言えば、好きか嫌いかです。
きっとまじめな人は、
「ビジネスを好き嫌いで判断するなんて…」
と思うかもしれません。
しかし、好きこそものの上手なれ、という言葉は真実だと思っています。
あなたが経営者ならば、「好き」で勝負したほうが会社にとってもいいのではないでしょうか。

はじめのうちは、40年以上かけて作ってきた常識の壁に阻まれて本音が見えないかもしれません。
しかし、何度も何度も、自分に問いかけることで見えてくるホンネがあるはずです。
他には、小さい頃自分は何を目指してたか?子供の頃のヒーローは?子供のころ夢中になっていたことは?
そんな常識の洞窟に入る前の事を思い出してみるのも方法の一つです。

これまで頑張って会社を背負ってきたのですから、そろそろ自分のために生きてもいいころ合いではないでしょうか。

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