後継者

経営を学んだ跡継ぎがうまく会社を継げなかった3つの理由

私が実際にお目にかかった跡継ぎのなかにも、非常に優秀な学歴を持たれる方がいらっしゃいます。
国内の有名大学卒業者はもちろん、海外の有名大学のMBA(経営学修士)を取得した猛者もいます。
じゃあ、だからと言って、会社を上手く継ぐことができたでしょうか?
会社を発展させることができたのでしょうか?

答えはNOです。

ある人は、会社を継ぐことをあきらめ、社外に飛び出しました。
ある人は、メンタルヘルス不全を起こし、ひきこもってしまいました。
経営について学べば、跡継ぎが育つというわけではないようです。

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親の会社を継ぐにあたって、後継者自身は
「経営に関する経験や知識不足」
を不安要素のトップ3の中にあげがちです。

確かに、未経験なことへの不安は尽きることがないものです。

しかし、その筋のプロフェッショナルともいえるような学歴を持った後継者でさえ、会社を上手く引き継ぐことができないことも多いのです。

そういった跡継ぎの場合何が起こるかというと、知識に頼りすぎるあまり、知識に溺れてしまうのです。
たとえば、小規模の金属加工の工場において、現場のベテランスタッフがどう考えているかと言えば、
「技術が全て」
という事でしょう。

ここにMBAのキラキラした経営メソッドを持ち込んでも、現場の人間を動かすことは難しいと思われます。
むしろ、現場とのギャップの大きさをお互いが痛感することになるでしょう。
こうやって、後継者と現場は、心が離れていきます。
どんな経営メソッドも、マーケティングも、戦略も、社員がついてこなければまったく意味がありません。

そんなギャップを感じると、跡継ぎさんは焦ります。
焦った結果、無理やり社員をついてこさせようとします。
結果、さらに心の距離が離れてしまう、という事態が起こります。

これが一つ目の理由です。

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

 

そして、最新の経営理論を振り回していると、最大の抵抗勢力は親になることがあります。
後継者である子がわけのわからないことを言いだした。
しかも、今そこそこ安定している会社の中に、なんだか嵐をおこしてるぞ、と。

すると、親としては後継者を制止する方向に動きます。
これは社内の秩序を保つという理由と、親自身が「会社経営の蚊帳の外へ飛ばされないよう」にするための行動です。
理解不能なことを会社で始められれば、会社の奔流にいることが難しくなる親は、自分が常に手綱を握れるように後継者を抑えます。

社内で最も大きな力を、後継者は敵に回してしまうのです。

これが、経営を学んだ後継者が、事業承継を失敗させる理由の二つ目です。

 

ここで後継者は落ち込みます。
せっかく自分が学んだ経営理論やメソッドがないがしろにされるのです。
受け入れられないのです。
もうここに自分の居場所はない、と感じ始めるでしょう。

たぶん、この時点でもまだ気づかないことが多いのですが、三つ目の失敗理由がこの後明確になることが多いと思います。
本当はどんな会社にしたいのか、本当はどんな事業を営みたいのか、という事が実はちゃんと自分のなかで結晶化していなかったことに気付くのです。

親の会社を継ぐわけですから、その会社を強く、大きくしようというベクトルが前提にあるんだと思います。
しかし、時代的に、むやみやたらな拡大路線を敷くことが正しいとも言えません。
後継者としては、言葉を選ばずに言うなら、「どうだ、おれだってできるんだぞ」という事を誇示したいというのが本音ではないでしょうか。
少なくとも私はそうでした。

すると、行き着く会社としての最終目標が、本当に自分のやりたいこととはズレている可能性があります。
やりたくもないことを、義務でやってて上手くいくはずもありません。

失敗の三つ目の理由は、やりたくないことを無理やりやっていることです。

Thomas UlrichによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

残念ながら、後継者の周囲には、こういったことをアドバイスしてくれる人はいません。
なぜなら、「後継者は、経営を学び、親に従い、親の会社を大きくするべき」という昭和的な価値観でしかアドバイスできない人ばかりだからです。
それは決して周囲の問題というわけではなく、周囲の人たちは自分事ではないので、ありていの事しか言えないという事です。
関心を持っていないから知識も知恵もない、ということです。

だったらアドバイスなんてしなければいいのに、と思うのですが、そこは仕方がないところなのでしょう。

 

 

さて、失敗の理由がわかれば、そこに配慮すればいい、という事になります。
もちろん失敗しないから成功できるという単純なものではありませんが、ありがちな落とし穴は避けることが出来そうです。
その方法はつまりは、まずは自分の知識やメソッドを社員に押し付ける前に、社員の気持ちを理解し、信頼関係を構築することから始める必要があります。
そのうえで、親とのすり合わせを行えばいいのです。

しかしその前に必要なのが、自分はどんな風に働きたいのか。
実はこれをはじめにやるべきだと思うのですが、案外そこはおろそかになっていたりします。
会社のこと、社員のこと、親の事なんかで気をもむ前に、まずは自分のことを考えてみてはいかがでしょうか?

そうした時に、今までは見えなかった未来が見えてくるのではないでしょうか?

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