後継者の最大の敵は「尊重されていない」という思い

親の会社を継ぐというのは難しい。
親子で会社を経営するのは難しい。
そういわれていますが、その根本はたった一言に集約されます。
後継者から見た時、「自分は尊重されていない」という思いが、後継者のゆく手をはばむのです。

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なぜ後継者はすべてをコントロールしたがるのか?

すべてが自分の思いどおりであってほしい

親の家業を継ぐ後継者というのは、たいてい人当たりがよく、控えめな人が多い。
しかしそんな彼らと話していると、ちょっと違和感を感じることがあります。
それはそんな思慮深い人であるにもかかわらず、社員や親を思い通りに動かそうとしているのです。
言う通り動かないとイライラしてしまうといいます。

少し驚いて見せましたが、実は私もそんなことを良く感じていました(笑)
なんで俺の言う通り動かないんだ、
なんで俺の考えがわからないんだ、と。

で途中であきらめたんです。
もう親も社員も信用しない。。
会社のことを最も考えてるのは自分なんだから、すべて自分に従わせてやる!
そんな風に思っていました。

相手の行動を全否定するということ

社員であれ、親であれ、自分ほどに会社のことを考えていない。
だから俺に従え、というのが基本的な自分の思考。

これは前提として、自分以外の人の考えなり行動を全否定することになります。
たとえば、彼女が肉じゃがを作ってくれるとき、
「オレの味付けじゃなきゃ嫌だ」
と調味料を奪って味付けしたとしたら、彼女はきっと憤慨しますよね。

会社でそういうことを、親に、社員に、やっているんです。
このことに気付いたとき、私はけっこう自己嫌悪でした。

とはいえ、です。
そんな状況に至るには、それなりの経緯があるのです。

StockSnapによるPixabayからの画像

後継者は「尊重されていない」

なんでそんなことになるかと言えば、後継者は尊重されていないからです。
例えば、親から
「ワシが65歳になったら会社は任せる」
と言われているものの、親はすでに65歳を優に過ぎています。
その理由を尋ねれば、
「まだお前が未熟だから」
とたいてい言われます。

後継者は無能だから任せられない、というダメ出しをされているわけです。
後継者にしてみれば、「あの時、任せるっていったじゃないか!」という話です。

そんな状況だと、社員は後継者より親を重視するでしょう。
なんだかよくわからないけど、親のために会社に来て、後継者になるべく頑張ってきたけど、
結局誰も俺を尊重しないんだ。
後継者としては、「俺ってホントに会社に必要なのか?」という思いにさいなまれます。

自分の居場所がないのです。

そんな後継者が、自分の能力を誇示するために、「尊重しないなら、支配する」とばかりに会社のコントロールを無理やり手にしようとします。
それは後継者にとって、自分の存在意義を証明するための行動なのです。

後継者が会社との「つながり」を作る方法

孤立無縁状態は後継者自身の行動にも原因が・・・?

後継者が社内で孤立無縁状態になるのは、理由があります。
それは周囲の人間を、後継者が受け入れていないからです。

肉じゃがのたとえでイメージできると思いますが、社員の能力や考えを尊重していない現実がないでしょうか?
そして社員を受け入れていないとすれば、自分が受け入れられるはずもありません。
後継者としての言い分はあると思います。
「そもそも、自分を尊重すべきなのに、尊重しないのが悪い」
私もそう思っていた時期がありました。
しかし、その思いを持ち続けても、何の改善もみる事ができません。

発端はたいてい親

実はこういった後継者の孤立無縁状態のきっかけを作るのは親であることが多いと思います。
先ほど話した65歳引退問題と同様の事件が、日々起こっています。
親としては会社や、会社の代表という地位に、強い執着を持っています。
だから、表向き、会社の代を譲らなくてはならないことはわかっていますが、無意識レベルではそうさせないよう行動してしまいます。

これは、
・禁煙しなければ、と考えながら煙草に手を伸ばす
・ダイエットするぞ!とジョギングを始めたのに、消費する以上に食べてしまう
・締め切りの迫った仕事があるのに、つい他のことに気を採られる
・試験前日なのに、掃除をしたくなる
といった誰しも経験のあることと似ています。

気持ちは、Aのほうに向かっているけど、身体はBの行動を行っている。
こういう状況が親に起こっています。

気持ちの上では、代を譲らなければと思いつつ、代を譲らなくてよくなるような言動を行うのです。
それが結果として、自分の能力を誇示するような言動であったり、後継者を貶めるような言動を行います。
たとえば、後継者の発案をつぶす、やっていることを否定する、否定しなくとも違う指示を社員に出す・・・などです。

こう書くと、まったく親は悪者だ、というニュアンスに見えるかもしれません。
私の考えとしては、彼らが悪者だとは思いませんが、自分なりの課題をまだ克服できていない状態であることは間違いないと思います。
それは、会社への執着を手放す、という課題です。
親の立場の方は、その部分を自分なりに考えてみていただけると、大事なことに気付いていただけるかもしれません。

多くの人は本丸である親を攻めて失敗する

後継者は孤立無縁からどうやって脱するのか

このようにしてできた孤立無縁状態。
これは後継者にとっては、社内だけの話ではありません。
こういった話は誰にも相談できないため、本当の意味で社会との絆が断絶されてしまいます。
まさに心理的な孤独を味わいがちです。

そこで一般的な後継者や、問題の本質を知らない周囲の第三者はこうアドバイスします。
親と話し合え、と。
つまり、本丸との直接対決をすすめられるわけです。
けど、たいていは玉砕するはずです。
それでうまくいけば、最短距離かもしれませんが、私の知る限り成功率は低く、むしろ状況を悪化させることのほうが多い。

だから私は、まずは孤立無縁という緊急状態を解消することをお勧めします。
まずは社員を受け入れ、受け入れられることが大事です。

これまでは、「お前の味付けの肉じゃがは食えん!」と言っていたのを、
「とりあえず、お前の肉じゃがを味見して、いいところを探してみよう」という方向へ転換するわけです。

kai kalhhによるPixabayからの画像

後継者は寛容さと度量を鍛える

社員を受け入れるのは、方法は簡単です。
彼らの話を聴くことです。
そのコツはありますが、それはまたの機会にでも。

そして二つ目のコツとしては、彼らのやることを尊重することです。
自分が「尊重されないことの虚しさ」を知っている後継者だからこそ、社員一人一人の行動を尊重する大事さはわかるはずです。

しかし、そこで一つ、後継者には大事なミッションがあります。
それは、「成功も、失敗も含めて、彼らを受け入れる事」です。
彼らの動きは成功につながることは大して多くありません。
割と失敗というか、イライラさせられるシーンを目にすると思います。
その時に過保護の親よろしく、彼らを指導しようとするのではなく、彼らが問題に気づくように仕向ける。
割と我慢のいる作業なのです。

そして、その寛容さは、人の度量というものと深くかかわっていると思います。
失敗を含めて受け入れてくれる人を、人は大事にします。
つまり、後継者が社員の失敗を含めて受け入れると、社員からの人望を獲得し、自身の度量を広げます。

そして、それを行うために必要なものがあります。
それを一般的には、覚悟とか責任といった表現をするのかもしれません。

親の会社を継ぐのは後継者にとっての人間磨き

こういった流れを見ていくと、後継者は間違いなく人として一皮むけた人間になります。
私は、親が家業を持っていて、その会社を継ごうと考えた後継者は、そういった人間磨きの旅についているのかもしれないな、と感じています。
だから最終的に、その会社が残るとか残らないとか、うまくいくとか行かないとか、そんなことはどうでもいいんじゃないかと思います。
最も大事なことは、会社というわりとプレッシャーのある環境で、人を伸ばし、自分を伸ばし、30年なり40年たって、自分は人として成長できたな、と思えばそれが一つのゴールじゃないかと思います。

 

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