私が父から引き継いだ事業は、保険の仕事です。
生命保険なども扱っており、おのずとお客様との長いお付き合いがあります。
そんなお客様の代替わりや、会社の業績を見ているとさまざまなことを学ばせていただくことができます。
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二社のお客様がいらっしゃいます。
仮に、A社とB社としましょう。
いずれも創業は50年ほど前で、一度代替わりを経ています。
A社は、代が変わってから様々なことにチャレンジされました。
私がうかがい知る範囲だけで20種類ほどのビジネスや商材を試し、そのうちの3種類ほどが今も残っています。
親から引き継いだ卸売業ももちろん継続していますが、その卸売りのビジネスさえも先代の時代とは大きく変容しているそうです。。
顧客の在庫管理を含めた手厚いサービスとなっており、卸売りの利益よりも、管理サービスによる手数料売り上げがむしろ大きいといいます。
現在の社長にインタビューさせていただくと、こうおっしゃいます。
「父の時代に始めた仕事は、ビジネスとしては残っているけどもはやそこで利益は取れなくなっています。そのビジネスモデルの転換を進めてよかった」
お父様の時代は卸売りの利益で会社が成り立っていたけど、今の時代はそういうわけにはいかないそうです。
現在この会社は、毎年、利益額を更新して右肩上がりの成長をしています。
一方、B社はまったく違う業種です。
この会社は、先代が亡くなってもなお、同じやり方で、同じビジネスを営んでいました。
社長はおっしゃいます。
「先代の時代と同じ仕事をしても、利益は1/3以下です。これではやっていけない」
何かいいビジネスはないか?
B社の二代目社長の口癖でした。
私はその社長の言葉を真に受けて、その会社に合いそうなビジネスを何度かご紹介しました。
しかし、それはうちではできないなぁ・・・
ということで、まったく関心を示していただくことができませんでした。
では、ということで、その会社の現在の仕事を一定程度効率化するような情報提供も行ってみました。
その社長は、出来ない理由を並べて今まで通りの仕事でやっていく、とおっしゃいました。
このように対比すると、B社の社長はまったく消極的な人に見えるかもしれません。
しかし、おそらくご本人にとってみれば、そんなことはないのだと思います。
きっとこの社長は、自分にとって都合のいい話が、いつくるか、いつくるかと待ち焦がれているのでしょう。
だから、いろんな情報を手にしても、「あれも違う」「これも違う」となって、前に進むことができないのではないでしょうか。
私にも経験があるのでわかります。
自分が今までと違うことをするとか、慣れないことに首を突っ込むことなく状況が好転しないかと夢想するのです。
しかし、残念ながら世の中にはそんなふうにはできていないようです。
逆にそんなことが実現できそうなのは、詐欺くさい話がほとんどでしょう。
未来のことはともかくとして、B社は50年間同じことを同じように続けてきました。
結果として、50年前と同じように働いて得られる収益は、1/3以下に落ち込みました。
社員に十分な報酬も出すことができず、求人もままならなくなり、今は人材不足に頭を痛めているようです。
このB社は次の後継者らしき人も存在せず、二代目社長の代で終わる可能性が高そうです。
その二代目社長も引退まで会社が十分機能しているといいのですが・・・
それがイヤなら、自分で動くしかありません。
慣れないこと、不安、恐怖やリスクを押しのけて、小さくとも一歩を踏み出さなければ50年前のビジネスを続けることになってしまいます。
さて、このような話になると、よく「副業を始めろというのか?」という話になります。
業種とすればA社は様々な種類の仕事をしています。
しかし少なくとも、私にとってA社は副業を増やしているとは思っていません。
なぜならすべての事業が、A社の根幹になる環境ビジネスに紐づいているからです。
何か違うことを始めればすぐ「副業」と言い出す方は、おそらく今ある商品サービスそのものを本業ととらえておられるのでしょう。
しかし実際は、その会社は商品やサービスの先にある便益を提供しているのだと私は考えています。
となると、商品やサービスは手段にすぎません。
つまり最終的な顧客の便益を提供することを「本業」とするならば、副業というのはちょっとズレた表現であることはご理解いただけるのではないでしょうか。
逆に言うと、こういった軸のない多角化は、中小企業においてはうまく言ったケースをあまり見かけません。
この二社の比較は非常に象徴的な話だと思います。
本業にみえる商品やサービスに操を立てて、何十年も前のビジネスモデルを守り続けるのか。
自分達の本業を抽象化して考え、常に変化をする習慣を作るのか。
後継者として親の会社を引き継ぐ過程で、私たちは心を決めていくことが必要なのだと思います。
これからのビジネスモデルを、後継者のコミュニティの中で考えていきませんか?
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