後継者が「家業に向いていない」と思ったとき、考えたい3つの選択肢。

親子間継承において、一つの障害となるのが「適性」です。
それは、子息・子女が、経営者としての適性を持っているのか?
そもそも、今の事業を引き継ぐ適性を持っているのか?

この問題は、非常に大きいものです。

古い考え方からすると「家業を継ぐのは当然」とされ、親子ともそこに疑いを持たなかったのかもしれません。

しかし、多くの場合、社会に出た若者は悩みを持つものです。
それは一般的な就職であれ、持つ悩みではありましょうが、家業の場合はその選択肢が狭い、と後継者が思い込んでいる事が多いようです。

狭く閉じられた中での選択肢。
この状況は、それだけで大きなプレッシャーになります。

「もう辞めたいなぁ」
そう思った後継者の方の頭の中に去来する思い。
そこへはどう対処していけばいいのでしょうか?

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「家業に向いていない」という言葉は、貴方の本心だろうか?

 

後継者という立場の方にとって、恐らく1度や2度、「この仕事は自分に向いていない」と思う事があるのではないでしょうか?
私は、1度や2度レベルではありません。
後継者という立場で仕事を始めてから、ずっとそんな思いを頭の片隅の中に持っています。

しかし、それを分析すると、ある事に気づきます。
それは、このような三つの考えが、頭の中を行き来するのではないでしょうか。

●今の仕事そのものが、「向いていない」と思う。
●経営者という立場で生きることが「向いていない」と思う。
●今の環境で仕事を行う事が、「向いていない」と思う。

これは、本来それぞれ全く違う悩みです。
それを一つの事として悩んでいるケースが結構多いように思います。
そうしている間は、問題が明確化していないので、残念ながら解決策は浮かばない事が多いでしょう。
まずは、その悩みの本質を見極めていく必要があると思います。

あなたが悩んでいるのは、
仕事の問題なのか?
経営者という重圧なのか?
今の環境の問題なのか?
今一度問い直していただきたいと思います。

そうしたとき、「この仕事に向いていない」という部分が一番引っかかっている、という人は意外と少ないのではないでしょうか。
仕事の問題ではなく、経営者であること、もしくは今の環境(特に先代や番頭との関係)が大きな問題なのではないでしょうか?
そうであったとすれば、対応は少し変わってきそうですね。

三つの選択肢とは?

さて、実際に再考してみた結果
「やっぱり今の仕事に、自分は向いていない」
と感じた場合、どうすればいいのか。

それには、大きく分けて3つの選択肢があるのではないかと考えられます。

  1. 会社を去る
  2. その仕事にどっぷりつかる
  3. 自分流のスタイルを考える

単純化して書きましたが、以下に一つ一つ説明させていただきたいと思います。

「会社を去る」という選択肢

普通に会社勤めをするとき、その仕事が自分に合わない、と感じた時、シンプルに考えると、「会社を去る」という答えを出しがちです。
しかし、「後継者」という立場で入社した以上は、そのカードを切るのは非常に勇気のいる決断です。
私自身、あまりお勧めはしません。

とはいえ、本当にダメなものなら、早いタイミングでの決断が大事です。
なぜなら、会社の体制も、資産の相続対策も、貴方が後継者であるという前提で今後進んでいく可能性があるからです。
会社のコアとなるべき人間が、その会社を去るというのは思った以上に重い。
だからこそ、本当にダメだという前提であれば、出来る限り早く辞めるべきなのです。

とはいえ、最終決断を下す前に考えて頂きたい問題があります。
例えば、営業が苦手だとか、工場においての作成技術が向上しないとか、そういう理由を「向いていない」という風に表現しているとしたら、少し考え直していただきたいことがあります。
それは、貴方が経営者になった時、そういった作業をするのか?
という事です。

私事で恐縮ですが、私のケースをお話ししましょう。
私は、保険代理店の二世経営者です。
私が入社したころ、保険代理店の仕事は基本的に「保険を売る」事でした。
いってみれば、営業能力がすべての世界です。

もちろん、お客様に事故が起こったら事故の対応も必要ですが、何よりも「売る」ことが重要な仕事でした。
保険代理店の経営者が言う経営戦略イコール販売戦略。
父は、有能なセールスマンでしたから、周囲の人たちには「お父さんのようになれ」と言われ続けました。

正直ウンザリです。

私には、それほどの営業力はありませんでした。
飛び込み営業では、毎日200件飛び込み訪問しました。
しかし、成果はゼロ。
そもそも、1日200件もの飛び込み営業をできる、という事はまともな商談に至らないから可能なのです。
なぜなら、「こんにちは。さようなら。」しか会話を交わさないから、次々と訪問する時間があるのです。

こんな私も、学生時代、ある学習教材を販売するアルバイトをしましたが、この時はいとも簡単に、社内コンテストの№1を度々とっていました。
アルバイト時代には、それなりに売れたのに、商材が保険になった途端、売れなくなってしまったのです。

そこで感じました。
私は、保険の仕事など、向いていないのだ、と。
しかし、時は立ち、現在。
まったく、保険の営業をしていない訳ではないですが、私に関しては社内の戦略策定や、マーケティングにその仕事の比重を置いています。
経験として必要であった保険の営業ではありますが、今は、それが苦手であったことで、「売れないセールスパースンがなぜ売れないか」を知ってよかったと思っています。
そういういみでは、技術職で、営業職で1番である必要は決してない、という事。
今やっている仕事が合わないとしても、将来違うスキルを要する仕事をしていることの方が多いのではないでしょうか。
それを考えた時、「辞める」という選択肢を選ぶことに対しては、慎重にならざるを得ません。

慎重に考え、決断したら、早めに実行。
それが、「辞める」という選択肢のポイントではないかと思います。

「その仕事にどっぷりつかる」という選択肢

自己啓発書を見ると、いくつかのパターンがあります。
その中で、一つの潮流として存在するのが、「今、目の前のある仕事にどっぷりつかりなさい」という主張。

もちろん、片手間にやっている人などいないのでしょうが、とにかくいやでも、合わないと思っても、とにかく徹底的にその仕事を極めましょう、という事です。
「天職」という言葉ですが、天職の発見というのは、次から次へといろんなことをやって発見できるものではなく、どんなものであれ、一生懸命打ち込むことで、仕事からのギフトとしてその仕事を天職だ、と思えるときがくるようです。

仕事は、どこまで極めても、奥の深いものです。
その入り口をうろうろしていたって、その仕事の本当の喜びは知ることができない、という事は普通に考えてありそうです。
沢山こなすことで、お客様から喜びの言葉をたくさんいただき、
沢山やることで自分の成長を実感し、
沢山やることで経済的にも富んでくる。
そんな考え方だと思います。

恐らく、頭だけで考えていても答えが出ないのなら、徹底的に仕事に打ち込むと見えてくるものがあるかもしれません。
もし、「辞める」という選択肢を検討中だとしたら、一度ご自分にこの問いを発してみてください。
「今の仕事で、自分はやれることをすべてやりきっただろうか?」

もし、まだやり残していることがあるとすれば、もっともっと仕事に打ち込むことが必要なのかもしれません。

「自分流を考える」という選択肢

私としては、これをお勧めすることが多いです。

どんな業種でも、事業承継の必要性が出てきているという事は、多くの場合20年、30年の歴史を会社が持っていることが普通でしょう。
つまり、今の事業は、賞味期限切れとなっている可能性が高いと考えられます。
商品の構成、仕組みのあり方、プロモーションのあり方、製造工程などなど。
色んな事を大きく変えていく必要性が高い企業がほとんどではないでしょうか。

例えば、
医院は、医療の専門性を残しつつ、サービス業的要素が必要となりました。
印刷屋さんは、印刷だけでなく、PRプランやコンテンツを販売しなければ生き残れなくなってきました。
ホームページ作成業者は、ただHPを作るだけでなく、それをどう活用するかを提案できなければビジネスにならなくなってきました。
どの業界でも、次第に業界間の垣根が低くなり、新たな業態へと進化していく必要性をはらんでいます。
つまり、どの企業も社内にイノベーションをおこす必要のある時代です。

そう考えた時に、家業の商売が好きで好きでしょうがない人であった場合、家業の業界から外れた思考はできないでしょう。
業界の中だけで、他社の追随をするだけの企業になってしまうリスクが高いと思われます。
もし、あなたが「この業界は自分に向いていない」と思うなら、それは大きなチャンスです。
自分たちの業界が最高だ、と考えている人たちとは全く違った発想ができるからです。
>それこそが、まさにあなたに課せられた役割ではないでしょうか。

私自身、保険のセールスが苦手だ、という話をしました。
すると、なぜ、保険セールスは難しいのか?
を考えるようになりました。

それを、深く深く追及していくと、お客様の保険へのかかわり方と、保険業界のセルフイメージに大きなギャップがある事に気づきました。
そのギャップを埋めていく事こそが、これからの当社のあるべき姿ではないか?という仮説ができ、そこから様々なアイデアがあふれてきました。

家業を継ぐという事は、家業をそのまま継ぐことではありません。
家業が本来目指した目的を実現することが家業を継ぐ、という事です。
であれば、商材が変わろうとも、経営スタイルが変わろうとも、その目的を見失わなければ、まったく問題ないのだ、と私は思います。
だから、表現方法は自分流でいいのです。

まとめ

家業が自分に合っていないと感じるとき、とれる三つの選択肢について考えてみました。

  1. 会社を去る
  2. その仕事にどっぷりつかる
  3. 自分流のスタイルを考える

それは、この三つです。

 

会社を去る、というのは非常に極端な結論だと思いますが、そう決めたとすれば早めの実行がよい、と書かせていただきました。
ただ、その前に、次の二つの選択肢を試してみてください。
「どっぷりつかる」というのは、私自身はあまりピンとこない方法ですが、多くの書籍に記されている以上、それが救いとなる事も多いかもしれません。
むしろ、私が実感として「あり」と感じるのは、自分流を考える、という事です。

「合わない」と感じることを、むしろ、選ばれし人、ととらえた時に、全ての発想が変わります。
合わないから、迎合しない。
迎合しないから、違う視点を持てる。

ある経営学者が面白い事を言っていました。
「差別化とは、違いを作る事。」
当たり前といえば当たり前ですが、こういった表現を今まで耳にすることはありませんでした。
違いを作るためには、異質な存在であるあなたこそが、その役割を担っているように思う、そういうと嘘くさいですか?

私は自分の事を、そう本気で思っています。
もちろん、異質なものを社内に持ち込むと、沢山の反発があります。
解決しなければならない問題は、相当多くなります。
しかし、結構やりがいのある事だ、と私は考えていますが、いかがでしょうか?

 

このブログ記事をもとに、ちょっと違った切り口で解説動画を作ってみました。
よろしければどうぞ。

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