約2兆円の有利子負債を抱えて経営危機に陥った日産。
JALもまた、約2兆3000億円の有利子負債を抱えて、会社更生法の適用。
それぞれに、カルロス・ゴーン氏、稲盛和夫氏といった、カリスマ経営者を投入し、今ではその危機を乗り切っています。
二人の経営者は、もはや英雄です。
しかし、彼らがはじめにやったことは、一般道徳においては、
やってはいけない事だったといえば言いすぎでしょうか。
私の著書です。
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Contents
初めて決算書を見せられた時に判明する衝撃的事実
自分に責任のない借り入れを負う後継者
創業者であるお父様が急逝し、母親から家業を手伝ってくれ、と呼び戻された長男。
会社の状況を整理していくと、売上3億円の製造業が負う借入金は10億円。
一瞬、めまいがしたといいます。
また、あるケースでは、父の会社に10年ほど勤め、明日からお前は社長だ。
そう父から言い渡され、初めて見た決算書の借入金は6億円。
保証人の欄に実印を押さなければならない。
しかし、その時に本当にこれが最善なのだろうか、という思いは頭をよぎったそうです。
今はそれを受け入れるしかない。
そんな風に思いながら、渋々実印を押したといいます。
何よりも借金金返済を優先させる事の不思議
借りた金は、返さなければならない。
これはごく一般的な常識として、私たちの心の奥底にもつ意識です。
その常識のせいで、多くの尊い命が失われるとしたら、どうとらえるかは難しいところです。
会社の経営に限って言えば、
誰しもが成功を信じて、そこに向かって行動しているはずです。
しかし、その失敗で借金が膨らみ、数十万円~数百万円の借入金が返すことができず自ら命を絶つ人が後を絶たない。
その命の重みと、借りた金は返さなければならないという常識。
これを天秤にかけることができるのでしょうか。
金融機関にとっての融資
融資は投資
先日あるセミナーを聴講してきました。
有事の際の資金繰りを専門としているコンサルタントの方のセミナーです。
ここからは講師の方から許可をいただきましたので、その際のお話しを少し共有したいと思います。
私たちがたとえば、株や投資信託、その他さまざまな金融商品に投資したとします。
当然リスクが伴いますが、投資した結果、損が出たとしましょう。
その時に、株を買った先に怒鳴り込んでいくでしょうか?
恐らく世の中はそのようにはできてなくて、投資はあくまで自己責任です。
損が出れば、自分の責任です。
では、金融機関からみた融資はどうなのでしょう?
審査を行い、融資の限度や利率を決めるのは、金融機関です。
借り手が決められることはほとんどなく、一方的に決められた条件で融資を受け、一方的に決められた方法で返済します。
講師のお話によると、海外では、金融機関にとっての融資は投資であるという考え方が浸透しているそうです。
つまり、貸した金が返ってこないのは金融機関の自己責任。
金融機関が、誤った融資(投資)をした事に他ならない、という感覚が当たり前だといいます。
大企業は借金を普通に踏み倒している!?
ここで冒頭の日産、JALのケースを考えてみると、合点がいくかもしれません。
これらの大企業の経営再建の中で、早い段階で行われたのが、債権放棄。
つまり、借金をなかったことにしたわけです。
まいつき、ドクドクと流れ出る出血のようにお金が出ていき、それ自体が利益を生むこともない借入金の返済。
この止血を行ったのが、世に名だたる二人の経営者が初めに行った対策だったようです。
銀行としては、焦げ付いた債権にこだわるよりむしろ、経営を立て直した際に貸しを作っておいたほうがいいとか、銀行の会計処理の事情などがあるようです。
債権放棄ですから、銀行が「もうお金は返さなくていいですよ。」という決断をしたわけです。
返せと言われたお金を返さなかったわけではなく、銀行が返さなくていいといったわけですから、見た目はきれいです。
しかし、結果としては一般常識で言う、「借りた金は返さなければならない」という道徳観にのっとると、これらの企業は非道徳的な手法で復活したわけです。
しかし、それを責める人はあまりいません。
中小企業の社長は、命を賭して借入金返済に奔走しているのに、大企業は銀行が債権を放棄し、その手腕を経営者は称賛されるのです。
優先順位の誤り
最も大事なものを犠牲にする中小企業経営者
講師は、会場に問いかけました。
経営における登場人物、
・経営者とその家族
・お客様
・仕入れ先などの業者
・従業員
・金融機関
このうち、大事な順に並べるとしたら、どんな順番でしょうか?
私の感覚で言うならば、
①自分や家族 ②従業員 ③お客様 ④仕入れ業者 ⑤金融機関
人によっては、②~④のランキングは変われど、①と⑤の位置が変わることはあまりないのではないかと思います。
しかし、会社のお金がショートし始めると、
①社長が給料を減らす (自分や家族を不幸にする)
②従業員への給与の遅配やリストラ(社員を不幸にする)
③お客さまへのサービスの低下・値上げ(お客様を不幸にする)
④仕入れ業者への価格圧力・支払いサイトの延長(仕入れ業者を不幸にする)
といった順序で、負担をかけがちです。
借入金の返済を止めないようにするために、商売の登場人物全体を苦しめるのです。
なぜ借金を返そうとするのか?
大事なものから順に犠牲にしてまで、なぜ借金を返そうとするのか。
それは私たちが、借金を返さないことで自分や家族が不幸になるという、勘違いをしているからなのかもしれません。
私たちは、ドラマなどの影響で、借入金の返済が滞ったときのストーリーを植え付けられています。
怖い人がやってくるとか、一日中督促の電話が鳴りやまないとか、みぐるみはがれるとか。
普通の銀行では、それはない、と講師の方は断言します。
なぜなら、すでに古いドラマで行われていた取り立ては法律で厳しく取り締まられているからです。
知らないと損をする!11の取立て禁止行為で紹介されている禁止行為の概略を以下に引用します。
・強迫的な言動をしてはいけない
・夜討ち朝駆けしてはいけない
・連絡・応対できない時間に訪問・電話してはいけない
・勤務先に訪問・電話してはいけない
・居座ってはいけない
・「金返せ!」などのビラを貼ってはいけない
・返済資金の調達を強要してはいけない
・借金の肩代わりを強要してはいけない
・家族や親戚・友人を無理に手伝わせてはいけない
・弁護士・司法書士が間に入ったら債務者に接触してはいけない
・追い込みの予告をしてはいけない
これらの行為を行うと、刑法犯となり厳罰を受ける事になります。
少なくとも、天下の銀行が行う行為ではないと考えられそうです。
ない袖は振れない
とはいっても、借金を放置するだけなら、借入残高は増える一方。
何の解決にもならないじゃないか。
そう思うのが一般的な考え方だと思います。
しかし、借金には時効があります。
講師の方は言います。
「ない袖は振れない。資産がないのが最も強い。」
それは、自己破産し、無収入で暮らせ、という事ではありません。
資産を法的に問題のない形で移転するのがはじめに行う事のようです。
不動産、生命保険、売掛金、在庫、給与。
これらを動かし、これからの生活やビジネスを再興する足掛かりを残しつつ、有事の資金繰りを改善する。
それが重要なのだと講師は強調します。
すべての人を不幸にするくらいなら
最後に残された選択肢
借金は返さなくてはならない。
この道義的な責任を否定するつもりはまったくありません。
可能な限り、返済したほうがいい、というのは私とて同じ感覚です。
しかし、そのために自らの命を失ったり、最も大切な家族を路頭に迷わせ、社員やお客様に迷惑をかけてその事業を途絶えさせるとしたら、もう少しましな選択肢があってもいいはずです。
その答えを持っている人がいます。
自身も6億円の多重債務者の経験を持っています。
この方は、実際に債務者であることで何が起こるかをすべて見てきた人です。
その上で、あなたが事業を再興するための手段を提供してくださる。
この方の信条は、借金で自殺する人をなくすことだと私は感じました。
彼の名を、たちばなはじめさんといいます。
「自己破産させない屋」と銘打ち、700件を超える相談案件で自己破産はゼロといいます。
もし、親から引き継いだ会社が、借入金返済で資金繰りに窮しているとしたら、
流れ出る出血を止める事から始めなければならないのかもしれません。
定期的なセミナーなども開催されているようなので、まずはお話をきかれるところから始めてもよいかと思います。
WEBサイト たちばなはじめ公式サイト
わたしからもご紹介できますので、その場合は、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
困ったときに、何を一番優先すべきか。
その事を、もう一度考えるきっかけとなれば幸いです。
私の著書です。
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