事業承継を冒険に変える、後継者の知恵

【4】事業承継 冒険化計画 ~嵐との遭遇~

事業承継を冒険になぞらえて考えてみよう。
それが、このコラムのテーマです。
その狙いの一つは、あなたに”部外者”の目を持っていただくこと。

後継者は、とても精神的にきつい状況を経験します。
その渦中にあっては、吐きそうなくらいのストレスをお持ちでしょう。
しかし、リスクもなく、外野として、お気楽に事業承継を眺めてみる。
それが、本コラムの目指すところです。

出発

船出早々の困難

前回は、装備の確認。
冒険に出るには、計画はそこそこ、
装備はそれなりにきちんと確認しなくてはならない。
そんな話をしました。
(詳細は前回のコラムをご参照ください→【3】事業承継 冒険化計画 ~装備の確認~

今回は、いよいよ旅立ちです。
意気揚々と船出をします。
しかし、しかし、残念なお知らせは出発早々やってきます。
突然の嵐。
渡れるはずのつり橋が崩れていた。
乗った飛行機がトラブルで不時着した。
パターンはいろいろあれど、たいていの冒険物語は出発早々困難が待ち受けています。

いろんなストーリーを確認してみてください。
ほとんどの場合で、思った通りに進むことはできません。
まさに出鼻をくじかれる、というやつですね。

その時、クルーは迷います。
これ以上進むべきか、引き返すべきか。
論理的判断をしようと考えがちですが、
実際にはそんなことは不可能です。
なぜなら、冒険の先にあるお宝は、今を逃せばゲットすることは困難。
奇跡的に得たチャンスです。
そのチャンスをものにするのか、あきらめるのか。
今までの満たされない人生か、
刺激的な人生か。
主人公の前に突き付けられた選択は、それほど大きなものです。

 

しかし、多くの主人公は前に進む。
進んだ人だけが、その先の宝を拝むことができるのです。

出鼻をくじかれた時のふるまい

ありがちな、「出発早々にめぐり合う不運」。
実は、ここへの対処の仕方で、その後の進行が決まってしまうような気がします。
そもそもここで諦めてしまえば、冒険は終了。
語り継がれる物語にはなりません。

また、たいていは、行くも地獄、帰るも地獄です。
どちらを選んでも大変なら、進むしかないじゃないか。
主人公はそんな決断をすることが多いでしょう。

主人公は不安に駆られながらも、こういった困難を前にして逆に決意を固める。
するとその報酬(?)とでも思えるような何かをつかみ取ります。
仲間との結束が固まったり、頼りになるアドバイザーと出会ったり、
新たな価値観と出会ったり。
ここが一つの分かれ目ではないでしょうか。

事業承継も出鼻をくじかれる

はじめからうまくいくはずがない

親の会社に意気揚々と入社する。
その時には、不安はあるものの、希望にあふれてキラキラと輝く表情。
これから頑張るぞ、なんていう決意をもって仕事を始めます。
まさに、事業承継の船出ですね。

しかし、世の中は意地悪で、そうなるとたいてい早い段階で心折れるような出来事が起こる。
自分自身の仕事への適性を疑うような状態になったり、
親にボロカスに言われてつらい思いをしたり、
社員とうまくいかなくて悩んでみたり、
会社の未来のビジネス上の問題が見えてきたり。

また、仕事を覚え始めると、だんだんと未来が不安になってくる。
オヤジのようにふるまうことができるだろうか。
あんなふうになれるだろうか。

これは、船出とともに出合う嵐のようなもの。
まさに、あなたの覚悟が試されています。
行くか、戻るか。

試される覚悟

実は、ここで決断を保留する人は意外と多い。
今の仕事を続けていく自信がない、
けど、親の手前会社を辞めるわけにはいかない。
そんな思考を堂々巡り。

いずれ状況は改善するかもしれない、
ある日何かが起こって劇的に状況が改善されるかもしれない。
そんな期待をしているなら、残念なお知らせをせざるを得ません。
あなたが決めない限り、状況は変わらないことがほとんどです。

ここですべきは、進むか、進まないか。
あなた自身が、決断することです。
たとえ親にどんなに罵倒されようと、辞めると決めるのか、
苦しい現実が待っていると予想できても、やると決めるのか。

ここで多くの人は、自分の置かれた環境をもとに自分の進む道を決めがちです。
そうではなく、あなたの本心に忠実にあってほしいと思います。
この時点で覚悟を決めたなら、きっと環境の見え方も変わります。

会社の状況が悪ければ変えなければならない。
自信があろうがなかろうが、やると決めたらやる。
嵐に巻き込まれた冒険者を思い出してください。
行くのも引き返すのも、困難があるとするなら、どうせなら進んでみよう。
そう決断した結果が、お宝との遭遇です。

もし、あなたも、事業承継のお宝に価値があると思うなら、
ここでぜひ決めていただきたいと思います。
誰かに言われたからとか、断れない状況だからとかで親の会社を継ぐのではなく、
自分の意志で会社をつぐんだ、ということを。

事業承継 冒険化計画 もくじ

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