岡田 尊司
兄弟経営は非常に難しいと言われています。
私も同感で、やはり親子との関係のみならず、そこに兄弟がくわわり、さらにはその配偶者がかかわる。
人間関係はもうぐちゃぐちゃです。
しかし、実際には、経営に関わらなくとも、兄弟がいることが事業承継で問題になることが多くあります。
たとえば、長男が家業を引き継いだ。
次男は会社にはノータッチ。
では、先代である父や母の老後の面倒は誰が見るのでしょう。
次男にしてみれば、会社で一緒に仕事する長男が見るべきと考えるかもしれません。
次男から見たとき、一緒に家業を盛り立てる長男は、親に愛された存在と感じるわけです。
とうぜん、その責任は最後まで持ちなさいよ、と。
一方長男はどうでしょうか。
継ぎたいと積極的に参加したわけではない家業。
長男だから仕方なく継いだのに、弟は離れた地で親にもかかわらず自由にやっている。
自分は、貧乏くじを引いたような気になる。
少しぐらい次男も役割を果たせよ、と。
そんな個人的感情が入り乱れ、相続は争続となる。
その兄弟の心理をわかりやすく紐解いたのが本書です。
読んでいくと、うんうん、とうなずくシーンはたくさんあると思います。
それぞれの立場があり、それぞれの関係がある。
この事を知るだけで、相手を理解する足掛かりにはなるのではないかと思います。
事業承継にまつわる家族の問題の裏にあるメカニズムを知りたい場合は、
参考になる一冊だと思います。
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