中小企業では誰が”責任”をとるのか?

「事件は現場で起こっているんだ!」

かつて流行ったドラマの名台詞ですね。
このドラマにおいては、基本的に現場が善であり、上層部は悪である、という前提があるように思います。
しかし、上層部は本当に悪者なのでしょうか?

こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。



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ドラマ、踊る大捜査線では、現場で飛び跳ねる刑事と、上層組織の結論の出ない会議の対比がちょっとしたハイライトになっているように思います。
本来は同じ目的に向かって動いているはずなのに、組織は分断され、真っ向から意見が対立するわけです。

じゃあ、上層部は怠慢な仕事をしているかといえば、実はそうでもないように思います。
上層部は組織を管理・運営することに対して全力を尽くしているわけです。
警察という大きな組織の中で、全員が好き勝手をやり始めると、収拾がつかなくなります。
仮に上層部目線でドラマを描くとすると、組織の輪を乱す青島刑事(織田裕二)はとんでもない問題児なわけです。

組織というのは問題が起きたとき、誰かが責任を問われます。
青島刑事が勝手気ままにやったツケは、彼自身が責任を取るのではなく、どうやら室井管理官(柳葉敏郎)が負う構造のようです。
そういう意味では、あのドラマは、見方をかえると室井管理官(柳葉敏郎)という中間管理職の悲哀を描いたドラマといえるかもしれませんね(笑)

室井管理官が責任を負ってくれるからこそ、青島刑事は自由に動けるという事になるのではないかと思います。

 

あのドラマでも垣間見えるとおり、組織は大きくなるとそれぞれの部署での目標が異なってきます。
現場で治安を守る役割、現場を取りまとめる役割、組織全体を管理運営する役割。
これは営利法人も同様でしょう。

その時に、自分の部署の「内」と「外」という考え方が生じます。
普通の会社で言うと、
営業と事務、
経営陣と平社員、
製造部門と営業、
経理とその他社員、
それぞれが部署内の平和と権利を守るために、その外との戦いが始まります。
営業でミスが発生するのは事務のサポートが弱いからだ。
事務の仕事が忙しいのは、営業の仕事の出し方が悪いからだ。
こんなふうに部門間の対立が生まれます。

その背景にあるのは、責任です。
だれが責任を取るかを押し付けあうことになるわけです。

 

 

 

ところで、採用成功コンサルタント 酒巻秀宜先生が興味深い問いを提示しています。
究極の選択!? どちらを採用しよう? 第3回 「スキル高いが転職も多いVSスキル低いが転職初めて」という記事の中で、面接官の葛藤について書かれております。
新規の採用者の面接に当たって、こんな二人が最終選考に残ったとしたら、どう考えるでしょうか。
「スキル高いが転職も多いVSスキル低いが転職初めて」

酒巻先生は、ブログの中でこうおっしゃっています。

多くの面接官の頭の中は

「転職多い」=「本人に問題あり」=

「我慢できない人」=「すぐ辞めてしまう」

という図式ができあがっています。

 

面接官にとっては、転職歴という「前科」を持った人を採用するのは、大きなリスクを伴う行為だとおっしゃっています。

 

これもまた、部門間での責任のなすりあいが前提にあるのではないか、と私は考えています。
面接官は、その責任が及ぶのを避けるために、リスクの低そうなひと(面接官の失敗とはいわれにくそうなひと)を採用する力が働きます。

実際のところは、酒巻先生がブログの中でおっしゃるとおり、「一長一短」ではあるわけですが、組織の中では「長」の方を重視する仕組みがなく、「短」に注目しがちです。

それもそのはずで、面接官が素晴らしい人を採用したとして、評価が上がるかといえば恐らくその可能性は少ないでしょう。
その栄誉は、配属された部門長の教育の成果とされたり、採用された本人が頑張った成果と評価されがちです。
積極的に、社外の人間をスカウトしてきたならともかく、採用募集に応募してきた人が優秀で、その人を採用したからと言って評価されるものではありません。
逆に、何か問題があったときには、その責任を面接官が追及されるリスクを負っている状況といえるでしょう。

あえてリスクを取って大胆な採用をするメリットは、面接官には殆どない。
ハイリスク・ローリターンな選択になるわけです。

しかし、零細企業の当社では、私が採用の全責任を負います。
だから、「スキルが高いが転職の多い社員」を採用することも、誰に気兼ねすることなくできてしまいます。
部門間を超えて責任を持つ立場だからです。
実際に大胆な採用をした結果、社内で最も信頼できる人間の一人として頑張ってくれている実績もあります。

組織が大きくなると、手っ取り早く言えば、責任のなすりあいがはじまります。
その結果、明らかな失敗をするより、無難に過ごすことが評価される組織になってしまいます。
こういうと、悪のように感じられますが、その部門を守るための重要な価値基準なのかもしれません。
だから大企業のやることは、安定感はあるものの、つまらない選択肢を選ぶことが多くなります。

そんな中、気になるのは、「チョコ味のカップ焼きそば」「ケーキ味の焼きそば」などといった変わり種インスタント麺がちょっとした話題になりました。
普通で考えれば、これで失敗すれば、社内でも相当なバッシングを受けることは間違いないようにも思えます。
その源流は、「ガリガリ君」あたりにあって、その二匹目のどじょうを狙ったという気がしないでもないですが、誰かがその責任を持っているはずなんですね。
その責任を持つ人の力が大きければ大きいほど、大胆な試みが可能になります。
これは推測ですが、このプロジェクトの責任を請け負った人は、きっとガリガリ君のプロモーション効果に目を付けた、上層部にいる方なのではないかと思います。

 

さて、随分話は遠回りをしてしまいましたが、このブログを見てくださっているのは中小企業の後継者だと思います。
冒頭の踊る大捜査線になぞらえると、現状を維持しようとする上層部に先代がおり、現場で自由に動けない社員がいるとすれば、後継者の立場はまさに室井管理官(柳葉敏郎)。
劇中では、このパイプ役を果たす室井管理官の判断で現場が動き出し、青島刑事のドラマは成立します。
この組織の中で、室井管理官がもつ役割の重要性は、ドラマを見たことのある人なら良くわかっていると思います。

後継者がどこまで責任を請け負うかが、会社の変革を決めるような気がしてきます。
それは上層部の言いなりになるでもなく、現場の言いなりになるでもなく、自分の軸をもって双方を動かす難しい立場です。
ではその自分の軸をどこにおくのでしょうか。
そう考えたとき、会社の理念やミッションに立ち返って考えると、後継者の言葉に重みが増すのではないでしょうか。

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