事業承継

スポーツチームは簡単に一体化するのになぜ会社組織はバラバラなのか~親子経営における組織の工夫【1】

とても不思議なことに、子供のころのチームというのはうまく機能するものです。
野球やサッカー、バスケットボールなどをして休憩時間を過ごした思い出はだれしもあるでしょう。
その時には、なんら打ち合わせをすることなく、みな一生懸命に一つの目的に向かいます。
これが、ビジネスとなるとなかなか難しい。
特に社内のチーム運営というのは、けっこう骨が折れるものです。
この両者の違いを明らかにすることで、子供の頃のチームを作るコツをビジネスに活かせないか。

その際、どんな工夫が必要か?という事を仮説としてここに著したいと思います。


私の著書です。

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スポーツにおけるチームの特徴

チームが機能する5つの要件

子供のスポーツチームというのは、シンプルです。
無理なくまとまり、程度の差こそあれ、目標に向かいます。
その状態を見ていると、次の三つのポイントが浮かび上がります。

  1. 目的(目標)が明確である
  2. 役割が明確である
  3. 進捗が明確である
  4. プレイヤー個人の評価が明確である
  5. プレイヤー個人の技量が明確である

これらは、誰もが一目見てわかる状態で提示されています。

もちろん、子供が遊びでチームを作るのにおいて、
これらを決めるミーティングというのはほとんど行われていません。
話し合いをしなくともこれらを共有する事ができていると考えられます。

指標は誰もが見える状態にあるべき

この5つの要件は、すり合わせを行うことないのに誰もが共有している。
という事はつまり、非常にシンプル化され、見える化されている、
と考えられそうです。

そして、一人一人が全体像をリアルタイムでつかんでいるといのも重要でしょう。
グラウンドで何が起こっているかを全員が知っているから、
やることが明確化し、自分の守備範囲を一生懸命守ろうとします。
組織の中で、自分が何をすべきかが明確になるには、
複雑左派的なのではないでしょうか。

企業の目的(目標)をシンプル化する

2つに一つ

スポーツにおいての目的は何でしょうか?
基本、「勝つ」ことです。
これは誰かに教えられるでもなく、
もはや本能的に勝つという方向に進もうとします。
確かにスポーツでは「楽しめばいい」という事を主張する人もいます。
しかし、いざゲームが始まると、プレイヤーは勝つという事を嫌でも意識してしまいます。

誰かに教えられることなく、人は勝とうとするようです。

チームの向かうべき目的

企業におけるチームもまた、その目的を具体的に定める必要があります。
そこで数値化する、という手法が使われるわけです。
業績であれば、ノルマや目標、様々な言葉が使われ、
具体的な数値が示されます。

たとえば、ノルマであれば、売上1億円というバーを作ったとします。
これはこれで具体的なのですが、まだまだ緩い。
いっその事、勝つか負けるか。
白か黒か。
この二つに分けて考えてみればいかがでしょうか。
ノルマ達成なら勝利、未達成なら1円足りなくとも負け、という事です。

RPGゲームでは、最後の一歩でボスキャラへの攻撃が一つ間違えればレベルアップできません。
それと同じように、「おしかった」ことを評価しない文化が必要です。

目的は一つだけ

ビジネスにおける目的は多岐にわたります。
売り上げ目標にしてみても、A商品5千万円、B商品3千万円・・・
などとやりがちですが、これでは複雑すぎます。
目指すのは、売上であれば総額で決めます。
指標は一つに絞るのがいいと思われます。

人は、一つの事にしか集中できません。
あれもこれもと欲張ると、だんだんと意識が薄まります。

勝負の時間は長すぎてはいけない

人の集中力は、1年、四半期、月単位、といった長期に継続できるものではありません。
長くて1日です。
実際は、数時間が限界でしょう。
スポーツであれば、長くても数時間で結果が出ます。
勝敗は長くても一日単位で評価します。

逆に言えば、年間目標があるとすれば、それは1日単位にブレイクダウンする必要があります。
1日の間に割り振られた仕事が、できたかできなかったかが、勝つか負けるかの重要な指標です。

売り上げ目標であれば、年間の数字を稼働日数で割った数字。
何らかのプロジェクトであれば、進捗計画のステップ。

日々の勝敗を明確にし、年間での勝率を見ていく、というのが現実的な手法でしょう。

可能であれば目標は変化するほうがいい

目標数字のように、不動の数字がある場合、各個人が結果を予測しやすくなります。
チームの力を最大限発揮したいなら、目標値は固定ではなく変化するほうがいい。

スポーツの場合、相手の得点を自分たちが上回る必要があります。
相手の得点はあらかじめわかっているものではありません。
追いつ追われつの緊迫したゲームでなければなりません。
となると、例えば売り上げをイメージするなら、
自社が目標とする最終年間売り上げを常に達成しているライバル会社を仮想の敵とする。
彼らとの売り上げを日単位で勝敗を決していくといった形ができると面白いでしょう。

何かを作り上げるプロジェクトの場合は、社内で類似のプロジェクトを競わせるというのも検討できるかもしれません。

目的(目標)が持つ理由

フェアプレイ精神を持てない会社

さて、企業におけるチームの動きを勝つか、負けるか、に二分したとき、
起こり得る問題があります。
大きな流れとして、会社がどこに向かっているか?という事が見えなくなることです。

特に業績を目標に設定した場合、何のためにそれを実現するかがわからなくなってしまうのです。

ただただ勝ちたいがためにチームを動かす。
それが直ちに悪い事とは言いません。
しかし、数字へのこだわりは、時として道徳上の問題を生み出します。

スポーツにおいては、フェアプレイ精神が根底にあります。
そしてルールがあります。

しかし、ビジネスにおいてはその考えが曖昧なのです。
会社の目的は利益を上げること、といった常識感がある企業においては、
こういった”ゲーム”を楽しむことはできません。
これは、生死をかけた決闘になってしまうからです。

最も力を入れるべきポイント

会社として、世の中をこのようによくしたい。
そのためには、こういった事業活動が必要で、
それを楽しみながらやるゲームとして勝ち負けにこだわる。
勝つことはすなわち、世の中をよくする事である。
こういったゴールを見据えたうえで、このゲームを楽しんでいただけたら、と思います。

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