同族企業で親子喧嘩が絶えない本当の理由

話し合おうとすれば、いつもケンカで終わる。
同族企業、特に親子で事業を継承しようという最中にはよくある風景です。
なぜそうなるのか、それを防止するにはどうすればいいか。
ネットで探してみても、たいていは表面的な話ばかりでしっくりこない。

ここでは誰も言わない本当の話をお伝えしたいと思います。

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同族経営における親子喧嘩の原因

もともと親子関係は複雑なもの

一般的には、親子関係の問題は、あまり表面化しないから気が付かないかもしれません。
しかし、同族経営であれ、そうでない場合であれ、親子関係は複雑なものです。
ネットで少し情報をチェックすれば、
「親は死んだものと思って連絡は取らない」
「親と言っても他人」
「パワハラで訴えたいくらい」
などなどいろんな話が出てきます。

親と距離をとる形で過程を作る子どもが多い昨今、四六時中親と接する後継者はフラストレーションがたまるのも無理はなさそうです。
そもそも人間ですから、合う合わないはある。
それは肉親と言えども同じでしょう。
距離をとれないことが難しさであることは一つの理由かもしれません。

私は当初、良くも悪くも親子であるがために、言葉が直接的で遠慮がないことが親子喧嘩の原因だと考えました。
それも一つの理由かもしれませんが、どうやらもう少し深いところに原因があるのではないかと最近は思っています。

先代の権力は法的に付与されたものではない

とはいえ、距離をとれないのが親子で経営する同族経営の後継者。
私たち後継者には、こういったケンカを未然に防ぐことはできないのでしょうか?
たとえば、弁護士ならこういうでしょう。
しっかり自社株対策をすれば、親を経営から締め出せる、と。
しかし、自社株を移転しようが、名刺上の役職が変わろうが、多くの場合先代の支配的な地位は変わりません。
その権力は、法的に付与されたものではなく、心理的につくられた状況だからです。

多くの後継者は言います。
「代替わりして、会社の借金の保証人になって、代表取締役の名刺を持った。
しかし、実務上は何も変わらない」と。

そのことを指摘すると、たいていケンカになります。
そして、「お前が頼りないからだ」と後継者が悪い、ということでけんかは終了。
なんとも面白くない結末を繰り返してはいないでしょうか。

支配する人と支配される人

この背景には、明確な力関係があります。
支配する人とされる人です。
当初は、先代が支配する人です。
先代は、後継者が子供のころから、後継者を支配してきた。
日頃のふるまい、進学・進路、会社の経営など、後継者である子どもはたいてい親の言いつけに従ってきた。

子どもである後継者が責任感を持って会社を背負っていこう!と覚悟をした段になってもまだ、親の支配を受けることが多い。
そこに対して、後継者は責任感と親の支配を天秤にかけます。
そして責任感が買ったときには、親に意見するようになります。
その意見は親の存在を揺るがすものも多く、親は自分の地位を守るために子をつぶしにかかる。
「お前は、一生、俺の支配下でいろ」
先代の本音は、そんなところにあるように見えてもおかしくありません。

親子喧嘩の原因は、お互いがお互いを支配する、支配権の争奪なのではないでしょうか。
親子喧嘩の原因は、たんなる意見の食い違いではないのです。

「説得」は「支配」である

親子喧嘩の始まりにあるもの

親子喧嘩をする以上は、コミュニケーションがそこにあります。
コミュニケーションがなければ、喧嘩は起こらないからです。
実際に、数限りない親子喧嘩に疲れ、お互いの存在を無視している親子はけっこういるものです。

まだ、コミュニケーションがあるうちは、マシと言えるのかもしれません。

では、そのコミュニケーションの内容はどういうものでしょうか?
たぶん、こんな感じではないでしょうか。
「自分はこう考えるから、こうしたい」
という自分の主張を行う場となっているのではないでしょうか。
たいていすでに険悪となった親子に、会話は必要最低限です。
その最低限の会話が、自分の主張を、相手に認めさせることに集中します。

結果としてどうなるかというと、これはそもそも相手の考えを押さえつけ、自分の考えを通そうという説得です。
そして、説得された側は、自分の考えを曲げる必要があります。
つまり、少し派手な言葉を使って表現するならば、相手に屈服する、ということです。
だから、仮に先代が後継者の意見をのんだとしても、嫌みな一言が付け加えたりされます。
気持ちよく自分なりの経営をするというのは、幻想なのかもしれません。

支配、被支配の関係

極端な言い方をすれば、後継者が40歳だとすれば、親である先代は40年間後継者を支配してきました。
それは親として当然の権利・・・というより義務と考えてきたのだと思います。
しかしそれが、40年目に逆転したとしましょう。
親が80歳を超えて体が不自由ならともかく、まだ60歳代、70歳代前半という元気なうちなら、今までの威厳を保ちたいと考えるのも当然でしょう。
親子の話し合いというのは、これを覆そうとする行為なのです。

そりゃあ、抵抗も起こります。
親が自分の本心を内省する人なら、自分なりにいろいろと考えることもあるでしょう。
しかし、実際は親世代は「考えること」は美徳とされなかった世代です。
考える前に手を動かせ、と言われてきた人たちだから、考える前に後継者であるあなたを叩きのめそうとします。
動物的本能とでも言いましょうか。
自分の地位が危うくなったことに対する、防衛反応で後継者につらくあたる場合がしばしばあるのではないでしょうか。

親子の対話は親子の問題解決につながりにくい

私が最近感じているのは、浅はかな人間が無責任に行うアドバイスの危うさです。
この深い心理背景を理解せず、ただ「親子の問題は話し合いで解決せよ」という無茶を言う人は多い。
これまで見たとおり、親子で行われる話し合いは、多くの場合支配権の奪い合い。
だから、話し合えば話し合うほど、その仲は険悪になる可能性をはらんでいます。

前半で見たように、親子喧嘩の原因は単なる意見の食い違いではありません。
それはあくまできっかけで、本質ではありません。

じゃあ、どうすればいいの、という話になります。
これは言葉にすれば簡単だけど、実行するにはちょっとした大変さはあります。
しかし、コミュニケーションの方法如何で、ずいぶんと状況が改善する可能性はあるのです。

相手を受け入れるコミュニケーション

親子喧嘩になるコミュニケーション

まず親子喧嘩になりがちなコミュニケーションを見てみましょう。
それはシンプルで、こんな流れになっていないでしょうか?
相手が何かを言う、すかさずそこに反論して自分の意見を言う。
これを繰り返していることが多いと思います。

これはどういう状態かというと、まったく相手の意見に聞く耳を持っていない状態と言えるでしょう。
親子経営に関わらず、コミュニケーションのコツは、真剣に相手の話に耳を傾けることが重要です。
しかし、それができている人はたぶん、ごくわずかでしょう。

パソコン作業をしながらとか、イライラした様子でとか、相手の眼を見ずにとか、相手に身体を向けずにとか・・・
まあ人の話を聞く姿勢・態度はなってない。
誰かの話をしてるわけではありません。
私自身がそうだったんです。
(今もかなり怪しいですが・・・汗)

こういう態度であったり、発言が即座に否定されると、相手はこう思います。
この人は自分を重要視していない、自分をないがしろにしている、と。
すると、自分の存在感を強く押し出すために、主張しまくるしかない。
とうぜん、あなたの話も聞こえてはいるかもしれませんが、頭には入ってきません。

あなたが、相手の話に盾を出すから、相手は盾をはがそうと躍起になってさらに攻撃するわけです。

お互い安全な状況を確保しよう

まずはしっかり聞く。
受け入れられる意見でも、そうでなくても、まずは聞いて受け止める。
この過程がとても大事です。

恐らく、相手はあなたの感情を揺さぶる言葉を使ったり、あなたを不安や恐怖に陥れる話をするでしょう。
それはあなたが支配下でい続けるために、自分の権力を保つために、親が無意識に選ぶ言動です。
それをまずは平常心で受け止める。
ついつい、売り言葉に買い言葉的に反応したくなる気持ちは分かります。
はらわたが煮えくり返るような思いをするのは当然です。
けど、その感情をしっかり味わってみてください。
そういった苦言・暴言に動じないあなた自身の訓練でもあります。

ひとしきり話を受け止めたなら、あなたは相手を強制したり、圧迫しないよう自分の意見を話すのです。
この時に、主語を「私は・・・・と思う」という風に、自分の思うことを話しているという話かをするよう気を付けてください。
「あなたが、〇〇だから」となったりすると、相手にプレッシャーを与え、相手は余計にエキサイトします。
たとえば、「私は、先代は少し社員に厳しいんじゃないかと思っています」という言い回しです。

これを「先代は、社員に厳しいすぎるんです」と言ってしまうと、先代は責められていると感じ、カッとなりがち。
つまりまともなコミュニケーションが取れなくなります。
まずは、お互いが責められない状況を作り、話し合いの土壌を作っていくことが大事です。

相手を尊重することから始めよう

あたりまえのことですが、コミュニケーションはまずは相手を尊重することから始まるべきでしょう。
しかし、親子の会話はたいてい、どちらかがどちらかを強制的に従わせようとするものになりがちです。
これでは、そもそも争うためのコミュニケーションになってしまいます。

もちろん、後継者としては、場が収まればいいというわけではないのは十分承知しています。
いくら親子でコミュニケーションがとれたとしても、あなたが思う会社の未来を描くことができなければ意味はない。
そうお思いでしょう。

しかし、物事には順序があります。
いい農作物をとるには、土を作り、種をまき、水をやらねばなりません。
あなたの状況は、荒れ果てた土地だったと考えたとすると、ここから土を作るステップです。
同時進行で、社員とのコミュニケーションを考えていく必要がある場合が多い。

なぜなら、後継者の多くは、強迫観念ともいえるほどに肥大化した「責任感」に追われているからです。
後継者にありがちな特質として、すべてを自分で解決しなければならないと考えがちです。
人に甘えるのが苦手で、つらさを表現できない人が多い。
だからまずは仲間を作り、仲間を頼ることから始める必要があるのではないかと思っています。

それさえできれば、あとはずいぶんと楽になるはずです。
そして気が付けば、自分自身の成長と自信が萌え出していることに気づくことでしょう。

私が親子の経営について研究し始めた理由

自分の経験を多くの後継者が経験していた

私はなんとなく、親の会社を継ぐため、親の会社に入社しました。
学校を卒業して、社会のイロハも知らない状態。
だけど、そんな私を手取り足取り指導してくれる人はいません。
名刺の出し方といったビジネスマナーさえ、本を買って自分で勉強しました。

すぐに、商品パンフレットをもって飛び込み営業を始めたわけですが、毎日200件の飛び込み営業をしても商品など売れません。
数百件に1件、話を聞いてくれる人が現れたとき、商品知識のなさが原因で、話ができませんでした。
営業がうまくいかなくとも、相談する人はいないし、相談しようとさえ思いませんでした。
なぜなら、社内で自分の無能さをさらけ出すのがイヤだったのです。

多くの同世代の後継者はたいてい、メーカーだったり、まったく違う仕事の経験を5年ほどはしているケースが多い。
だから私は、世間的にみて少し早く親の会社を継いだことになります。
そのせいか、多くの後継者や創業社長からご相談の機会を賜りました。

けど、残念ながら、彼らのおかれた状況の共通点は知っていたけど、的確なアドバイスはできないことに悶々としていました。
ブログを書けば、さまざまな問い合わせはいただくのですが、解決策が見えない。
自分にとって、これはこれで、なかなかつらい状況でした。

親子の確執を解く方法

特に切実なのが、こじれにこじれた親子関係をどう修復していくか?です。
たとえば、私があいだに入ってとりなす・・・ということも考えましたが、上手くいく確率は低そうです。
そこで、心理学、組織学、コミュニケーション、モチベーション、脳科学・・・様々なジャンルの書籍をあさり、最近ある程度の道筋は見えてきているようにも思えます。

たぶん、他の人は知らない、親子関係の根底にあるものを深く見てきたつもりです。

ただ、問題は、やり方は簡単でも、やるには苦労がいる方法しかありません。
ある日突然状況が変わるという期待は捨てなければなりません。

実は、後継者にとっての先代の存在の大きさは、客観的に見たそれより大きく見えているはずです。
本来の大きさ以上に大きく見えるから、それを排除したり、押さえつけたりしようと必死に手足をばたつかせている状態だと思います。
あるタイミングで、そのことに気づくのです。
残念ながら、今まではそこに気づく方法をだれも伝えていなかったので、見えないままで終わってしまうことも多かったようです。

しかし早めにそこに気づくことができたとしたら、お互いにとってもハッピー。
しかも会社もどんどん進化を遂げていく。
そんな状況を作ることも可能になるんじゃないかと思います。

私は、親子経営の会社が、一つでも1000年続く会社となる礎を作るお手伝いができれば、と考えています。

 

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