なぜ創業者は人の意見を聞かず、後継者は社内に例外を許そうとしないのか

色んな後継者の相談を伺っていますと、やり場のない憤りを吐露されます。
自分は良かれと思ってやることが、ことごとく親である社長に否定される。
自分のやり方を会社の中に浸透させていきたいのに、それが一向に進まない。

こういう環境にいるとき後継者は、だんだんと社員を完ぺきにコントロールしようという思いにさいなまれます。
これは行動の連鎖といいますか、後継者を自分の思いどおりにしたい親の考えが後継者に伝染し、後継者は社員に対してそれを強いる。

なかなか自分で気づくことができないのですが、親にされた嫌な行動を社員にしていることが往々にしてあります。
後継者が頑張れば頑張るほど、社員が後継者から距離をとりたがるのは、そういったカラクリがあるのです。

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社長(親)は気まぐれ!?単に後継者を困らせたいだけ!?

Wendy CorniquetによるPixabayからの画像

朝令暮改の創業経営者

後継者が例えば、会社を良くしようとして提案、取り組みをしたいと思っている事を親である社長に話したとしましょう。
割とよくある話は、「そんなことを考えている暇があったら、目の前のことをしっかりやれ」なんていわれてモヤモヤする。
しかしそれから間をおかず、自分が提案したことを親である社長が「これをはじめるぞ」なんて言う風に親自身が考えたことのようにやり始めたりします。
たいてい、後継者が提案したことなんてすっかり忘れていて(そもそも聞いていなかった?)、本当に自分が考えたとか、思いついたとか、知り合いの経営者から聞いたとか言い出したりします。

後継者が言えば即却下なのですが、親が自分で思いついたり、自分の知り合いから聞いた話だと即採用。

これってあからさまに、後継者を軽視してるとしか思えません。

もっと極端な話をすると、朝、社長である親にあるプランを提案したとします。
その時はやっぱり即却下。
しかし午後から、親である社長と顧客のところに行ったとき、話の流れで今朝後継者が提案したプランに課するような話題になった途端、手のひらを返してやはり自分が思いついたかのように「これ肚はこういう時代なので、こういう方針でいこうと考えているんです」などとぬけぬけという場合があったりします。

それでも外でけんかをするわけにもいきません。
歯噛みしながら口惜しさを押さえるのに必死だった、という経験。
たぶん多くの人があるのではないでしょうか。

コントロール下に置きたい創業者

こう言ったことが起こる背景にはいろんな要素があると思いますが、その一つは親である社長は、「すべてを自分のコントロール下に置きたい」と考えている可能性があると思います。
たとえば、後継者であれ、社員であれ、自分の予想を超えた動きをすれば、それはその時点で親である社長にとってはすべてNGなのです。
しかし、大抵こういう社長の下で働く社員はイエスマンというか、何か意見を言っても採用されない、あるいは場合によっては叱られるなど、ロクなことがないから口をつぐんでいるのではないでしょうか。
彼らにしてみれば、すごく割り切った言い方をすれば、「定年まで会社が安泰で、給与が支払われればそれでいい」という利害関係しかありません。
一方で後継者は、親が引退した後の会社の運営のすべてに責任を持たねばならないので必死です。親が元気なうちに、社内体制など、すべてを整えておきたいのに、その提案に親はNOという事に困り果てます。

はなしを元に戻すと、親が後継者の提案にNOを言うのは、一つ一つの提案を吟味して言っているというよりは、ほぼ反射的な行為だと思います。
自分の予測値を超えた話は嫌なのです。
だから逆に、自分が思いついたような体になれば自分の予想の範囲なので納得できるのです。

ワンマン経営者がなぜワンマンになるかというと、当然他人の意見を許さないからですが、なぜ他人の意見を許さないかというと、会社が自分のコントロールの範囲を超えるのは嫌なのです。
少し不謹慎な表現かもしれませんが、会社を恋人とたとえるなら、会社が他の人に惹かれるのが嫌なのです。
いわば、会社に対する独占欲が強いのが、創業社長と言い換えるとわかりやすいかもしれません。

逆に言うと、後継者に対して特別な感情をもって「NO」を突き付けているわけでも何でもないのです。

人をコントロールする方法

babaric78によるPixabayからの画像

「強制」することで人が動くと考える幻想

ある考え方によると、日本でも古くから親しまれた勧善懲悪の物語は、物事を善悪で切り分けて、善が悪を力で抑えこむというストーリーです。
仮面ライダー、ウルトラマンなどのヒーローものはまさにその典型で、年配の方にも水戸黄門などのストーリーは強い影響を与えていると思います。
スポーツものでさえ、主人公は善でライバルは汚いことをしてでも勝とうとする悪役で、その相手を力でねじ伏せるというストーリーもよく見かけます。

こういった物語は、民衆の深層心理に影響を与えると言われていて、人の行動を左右することはけっこうあるようです。

物語を心に刷り込んで育った私たちは、人を動かすには「強制する」という事が基本になっているように思います。
たとえば、親が小さな子供を動かすときには、何かをしなければ罰を与えるというやり方がまだまだ一般的ですし、大人においても社員には罰則や圧をかけて動かそうとするのが一般的です。

そして私たちは、自分が受けた行為を他人にも無意識で行う傾向があります。
少し極端なお話をすると、DVを受けて育った人は、無意識のうちに自分の配偶者や子供にDVをはたらくという傾向があるようです。
つまり、何かを強制されることでマネジメントされてきた人は、自分の部下や子供にも、圧や罰をつかって行動を矯正しようとします。

昭和前半の時代は特に、家における家長の存在はかなり大きく、高圧的だったように推測します。
そういった環境で育った親世代の人は、自分の子どもにもそういう教育を行います。
私たち後継者は、それを今度は自分たちの部下にもやらかしがちです。

出来るだけ気持ちをフラットにして振り返ってみてほしいのですが、親が後継者を含めた会社をコントロール下に置くために高圧的にふるまっていることはたぶんすぐにわかると思います。
そういった親から影響を受けた私たち後継者は、もしかしたら社内で親と同じことを社員にやっていないでしょうか?
もしやっているとするなら、そして社員との距離が遠い、社員の動きが遅い、と感じるなら後継者も同じようなマネジメントをやっているかもしれません。

先代が私たちに「NO」を突き付けるのと同様、社員に「NO」を突き付けていないでしょうか?

とても大事なことなので、よく注意してチェックしていただく必要があるように思います。

自分は正しく、相手は間違い?

このように、他人に対して「NO」を突き付ける癖は、その根底には「自分は正しく、相手は間違っている(はずである)」という思いがあります。
これは逆に言うと、自分の正しさを証明したい、という気持ちの裏返しになります。
なぜかというと、人の意見を取り入れて何かしら失敗したとしたら、それを周囲の人から自分の意見で失敗したと思われたくないからです。

社長である親は、自分の正しさを証明しようとして後継者を排除し、
後継者は自分の多大さを証明したくて、親や社員を排除する。
これが、親子の事業承継の難しさにある問題といえるのかもしれません。

周囲の人っていったい誰?

ここで考えたいのは、先ほどのこの言葉を振り返りたいと思います。

人の意見を取り入れて何かしら失敗したとしたら、それを周囲の人から自分の意見で失敗したと思われたくないからです。

そもそも周囲の人って誰なんですか?って話です。
まあ、世間体というか、社員にも、世の人々や顧客や取引先にも、失敗をさらしたくはないのでしょう。
けど多くの場合、他人は、あなたのことやあなたの会社にさほど関心は示していません。

こういう時にありがちなのは、実は、

自分の自信をくじきたくない

という事なんじゃないかと思います。
ええ、そうなんです。
誰かの眼を意識しているように見えて、実は自分で自分が失敗したりするところを見たくないと思っているのです。

で、さらに言いますと、これ、他人の意見を取り入れれば失敗する前提になっています。
という事はすなわち、他人の意見を取り入れながら成功する能力は自分にはないという認識をしているのですね。
臨機応変に対応できない、という前提を持っているのです。

ここ、結構重要です。
臨機応変に対応できないという自覚を無意識でもっているから、他人をコントロールしたくなるのです。

はなしが振出しに戻ってきましたね。

これは受け入れがたいかもしれませんが、実は親も後継者も、何か突発的なことが起こった時に臨機応変に対応する自信がないのです。
だから物ごとを想定の範囲内に収めたい。
結果、他人を強制的にコントロールしたくなるのです。

親から後継者への連鎖を止める

親である社長のダメ出しを何とかしたい?

後継者としてはできるだけ自分のやりたいようにやりたいという思いはあります。
だから、親である社長のダメ出しを何とかしてやめてもらえないか、それをかいくぐる方法はないか、社長を自分の思い通り動かす方法はないかと考えます。
しかし、他人を根本から変えるのは不可能です。
不可能なことにこだわり続けているから逆に、思い通りいかない現実を意識して、苦しんでいるというケースが非常に多いと思います。

ここではっきり言いますが、親である社長のダメ出しは何ともなりません!

じゃあどうするか、なのですが、もう一度思い出してください。
ダメ出しは親から後継者へ、
後継者から社員へ連鎖しています。

そしてダメ出しをするのは、親である社長や後継者の心の中で起こっている「予測不可能なことへの対処する自信がない」という不安への対処法です。
しかし考えてもみてください。
いくら社員を徹底的にコントロールできたとしたって、絶対にエラーは起こります。
ヒューマンエラーのみならず、家事や台風、地震やコロナ、景気の変動や社会の動きなど、コントロールできない問題は人における問題だけではありません。

たかだか目の前の社長や社員を自由自在に動かしたところでできることなどたかが知れているのです。
逆に、人や企業が成長する過程では、必ず「不確定な未来」とは付き合っていかなければなりません。
大事なのは、不確定な要素を排除することではなく、不確定な未来に臨機応変に対応する覚悟を持つことではないでしょうか。

完全に人をコントロールしたところで、社会の中で変化もできず取り残される企業になるのが関の山ではないかと思うのです。
だから、不確定な要素を持ち込むダメ出しの文化の連鎖を断ち切ることが、実は後継者の大きな役割の一つではないかと思うのです。

親の理不尽は後継者を育てる試練!?

そう考えたとき、後継者にダメ出しをする親の存在というのは、いわば門番といえるかもしれません。
企業経営という荒波にこぎ出すにあたって、この門をくぐる覚悟はあるのか?と問いかける門番です。
それを倒すとか、排除するとか、そういった考えもあるかもしれませんが、私は乗り越えることができれば理想だな、と思うのです。

それは例えば、ダメ出しをされても冷静に対処し、自分の予想の範囲外の変化を拒絶する親にどのように新しい世界に目を輝かせてもらえるかを考えてみればいいのではないかと思うのです。
自分が正しいから従え、という前提ではなく、ステークホルダーそれぞれが夢を描ける未来を指し示すことができればすばらしいですね。

もちろん、理想論だ、という批判はあるかもしれませんし、私もその域には達しているわけではありません。
それでもせっかく家業を持つ親の元に生まれたのなら、そんな可能性を探ってみるのも悪くないと思うのですがいかがでしょうか。

 

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