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先代をラジコンのようにコントロールする方法?

後継者の立場として、こう思う事、ありませんか?
あの先代をラジコンのようにコントロール出来たら・・・。
きっと、最強の武器になりそうですね。
しかし、大抵はこの最強兵器は思うようには動いてくれません。
むしろ、後継者である私たちの前に立ちはだかります。
悪気はないのはわかっているけど、大きな悩みですよね。
この問題、どうしていけばよいのでしょうか?

 

こんにちは。
田村薫です。

 

後継者の多くが口にするのは、やはり先代との確執ですね。
確執に至らないまでも、基本的には意見が合わなかったりするわけです。
非常に実務能力が高く、人望も厚いのが先代です。

一方、後継者にしてみれば、会社がこのままではいけないことがよくわかっています。
過去と、現在しか視点にない先代のやり方では、未来を創れないことが気になって仕方がないのです。
本当は、自分の配下に先代を置き、自分の手足として使う事が出来たら、こんなに頼もしいものはありません。

 

しかし、残念ながらそう上手く行かないのが世の常。
あなたの方針に真っ向から反対するかもしれないし、
反対意見は言わずとも、行動が全く反対モードだったりするかもしれません。

それはもはや致し方のないことかもしれません。

 

そんな状態から考えることを、たとえ話としてご紹介します。

こういうと、先代は顔を真っ赤にしてこぶしを振りかざすかもしれません。
先に謝ります。申し訳ありません。
ただの例え話、と聞き流していただければ幸いです。

あえて先代の行動パターンを
お掃除ロボットのルンバ
に例えると、後継者との関係が見えやすくなります。

 

お掃除ロボットルンバは非常に賢いと聞きます。
部屋の中をグルグルパトロールして回り、汚れている場所を見つければ掃除をする。
障害物があれば、軌道修正をする。
とにかく業務に忠実でよく働くそうです。

この仕事熱心で、特定のジャンルに集中する働き方は、事業を創業した先代経営者の働き方によく似ているように見えるのです。

しかし、問題もあります。
基本的に、延々と同じ仕事を繰り返す、という事です。
ルンバの仕事は、今日も、明日も、1年後も、床掃除という仕事です。
企業経営においては、よくこういわれます。
「問題のない状態こそが問題だ。なぜなら、チャレンジをしていないから。」
先代は長年の仕事の中で出来上がったパターンを繰り返すことが多いと思います。
出来る事なら、新しいことをやるのは勘弁してほしいと思っているかもしれません。
同じことを繰り返し行う事で、個人的な練度は増すかもしれませんが、組織の質的成長は見込めないでしょう。

もちろん、全ての先代がそうだとは言いません。
齢70歳を過ぎても先見性とチャレンジ精神で、どんどんと新しい分野を開拓する先代経営者もたくさんいます。
ただ、多くの場合、こういった先代経営者は、子供に譲った会社・事業の事はすでにノータッチになっているはずです。
新しいことをやりたい先代にとって、過去の事業や作業はもはや関心の外にある事です。
今のビジネスに息子と同居している時点で、やはりルンバ的行動スタイルなんだと思います。

 

さて、後継者がルンバ的行動スタイルの先代をどう扱うかですが、一般的には3つのパターンがあります。

  1. ついていく
  2. 排除しようとする
  3. 無視しようとする

 

我が家ではイヌを飼ってますが、きっとイヌなら1を選ぶでしょう。
無邪気に先代を追いかける後継者とイメージが重なります。
ルンバが元気に活動しているときには、その後を追えばよいのですが、活動を停止すれば行き場を失います。
なにより、最大のリスクは視野狭窄に陥るという事です。
掃除すべき場所は、キッチンも、トイレも、2階もあるのに、そこに視野が行き届かないのです。

2のケースを考えてみましょう。
後継者がモップだとすると、ルンバは邪魔者でしかありません。
ガチガチぶつかって、はじき出そうとします。
私は一時このパターンに陥りました。多くの二代目も同じパターンが多いようです。
実際のところ、勝負はなかなかつきませんし、先代のパワーは侮れません。
いつか力尽きてしまいます。

 

3のように、無視しようとしても部屋の中を休みなく動き続けるルンバの事は、気になって仕方のないものです。
ルンバが動くごとに、ぎりぎりと歯ぎしりをし、横目でチラ見する後継者も少なからずいるのではないでしょうか。

 

実は、もう一つの選択肢があります。
先代のいる場所と、後継者のいる場所を分ける、という事です。
1階は先代が今まで通り、もしくは少し範囲を狭めた状態で精いっぱい働いてもらう。
後継者は2階を担当しますよ、という事です。

傾向として、先代は社内全体の事にかかわろうとしますから、決して簡単ではないのですが、徐々にそういった状態になれてもらうのが比較的バランスのとりやすい方法だと思います。

 

ルンバは自分で勝手に掃除をしますが、室内に仕切りを設ければその範囲で最適な仕事をしてくれます。
先代が得意なことを徹底的にやってもらう、という割り切りが意外と社内をスムーズにさせる糸口になることがあります。
多くの場合、先代は特定分野のスペシャリストです。
その分野だけは、むしろ、とことんやって頂く。
そういう選択もあるのではないでしょうか。

 

人は、「やるな」といわれれば、やりたくなるものです。
排除しようとすると、背水の陣でそれを阻止しようとします。

だから逆に、「やってください。」というのを試してみてはいかがでしょうか。
それも、年だからとか、引退したから(引退したなら会社にいないはずなのですが・・・笑)とかいう言い訳には耳を貸さず、
「とことんやってください。」「もっとやってください。」「徹底的にやってください。」
と言ってみてはいかがでしょうか。

先代からは色んな反論は出てくるかもしれませんが、これはけじめです。
会社にかかわるなら、必要なシーンにおいてはきちんとかかわっていただく。
気分次第で関わったり関わられたりするのが一番困るのですから。
特定の分野で忙しくしていただくことで、だんだんとそこに集中してもらえるものです。

実は、先代を最強兵器に変えるコントローラーは、意外と鞭打つことなのかもしれませんよ?

 

 


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