後継者

後継者が先代の行動を理解できないときは「動機」を見よう

これまでにたくさんの後継者の方からの相談を頂きました。
そこで比較的共通する話は、「親の行動が理解できない」というものです。

口ではAといっているのに、なぜか行動はBをとる、とか
さっきまでCに向かっていたのに、次の瞬間にはDにむかってる、とか
Eという結果が得たいというのに、そうなりそうもないFという行動をとっている、とか。

あ、うちでもいろんな話があります。
現在進行形でちょっとクスッと笑える話は、
「使い切らないノベリティの名入りボールペンを次々と購入する」
というもの。

ボールペンの在庫がたくさん積まれています(苦笑)

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後継者・跡継ぎの方にとって、親の行動は不可解に映ることがあります。
冒頭でお話ししたとおり、目的に向かって行動しているようには思えないからです。
それもそのはずで、傍から見える目的と、親自身がもっている目的が別のところにあるからです。
表向きのゴールとは違うところを目指して動いているので、理解不能なのです。

厄介なのは、親自身が自分の向かっている方向は、自分が口で言っている方向とは違う、という事に気付いていないのです。

 

もし、後継者・跡継ぎの方から見て、親の言動が一致せず、振り回されていると感じるならこういう前提で見てみてください。
親は
「自分がヒーロー(いい人だったり、仕事ができる人だったり、強い人だったり、頭のいい人だったり)になれて、
人から頼られる自分でありつづけるために、ということを中心的な動機で動いている」
という前提です。

 

たとえば、社員や取引先には
「〇〇歳になったらすっぱり引退する」
と言ったとします。
これは、自分本位ではない周囲に気を配れる自分を演出する言葉です。

しかし、実際にその年齢になると、引退話などは消えてなくなります。
この時の動機は、
「自分が頼られ、自分がヒーローであり続けるためには、会社の経営者という地位は手放せない」
というところにあると推察できます。

一度引退すると言ったのに、それができないとなると、一定の理由が必要になります。
そのときこういうわけです。
「後継者・跡継ぎがまだまだ育っていないから」
「まだまだ俺がいないと、会社は回らない」
と思い込みたいんですね。

一度言ったことを曲げる理由は自分ではなく、自分以外にある、とすることで巧妙に自分の身を守ります。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

繰り返しますが、親はこれを意識的にやっているわけではありません。
無意識にやっているから、親自身、なぜ自分が損な言動をするのかよくわかっていません。
考える前にこんなことを口にしているのです。

 

 

しかし、この影響は思った以上に大きいことが多い。
なにしろ、後継者はおやがあと数年で引退するとなれば、慌てて自分自身準備をしなければなりません。
早く会社のことを把握し、情報や人心をつかまなければなりません。
そして親にこういいます。
「決算書を見せてくれ」とか、「会社の方針を決めさせてくれ」とか、
今まで親が自分一人でやってきた、ブラックボックス化した仕事に後継者・跡継ぎは光を当てようとします。

しかし、親はそれを独占的にやってきたから、会社のヒーローとして君臨しているわけです。
オープンにし、引継ぎしてしまえば、自分の存在意義は半減するような不安に駆られます。
すると、後継者・跡継ぎが頑張れば頑張るほど、
力をつければ力をつけるほど、
その能力をねじ伏せようとします。

「自分が会社のヒーローである」という動機を満たし続けるため、そんな行動に出るわけです。

 

後継者・跡継ぎにしてみれば、親が引退するというから頑張るわけですが、その頑張りは認められません。
むしろ、頑張るほどにはじかれてしまう。
そして引退する年齢にさしかかって親は「後継者がまだ育っていない」つまり、後継者・跡継ぎが能力不足だというわけです。

頑張りははじかれ、挙句の果てに能力不足といわれ、ここで心折れてしまう後継者・跡継ぎも少なくありません。
ここでメンタルをやられたり、会社を飛び出したり、親を追い出すと言った、強硬策に出ざるを得なくなります。
全面戦争に突入するわけです。

しかし、ここで理解してほしいのは、親は悪気があって後継者・跡継ぎをはじき出しているわけではないのです。
たんに、自分を守るために、必死に周囲の変化に抵抗しているのです。
そこに気付くと、親の次の行動は容易に読めますし、そもそも腹が立たなくなってきたりもします。

親の本心は、自分の立場がぐらつかないかと、不安でいっぱいです。
そこに後継者・跡継ぎが力をつけ始めてくれば来るほど、抵抗は激しくなります。
そういう時には、その親の行動のもとになる動機を満たしてあげればいいのです。
「安心・安全」を提供すればいいのです。

すると抵抗は弱まるはずです。

人は不安だから周囲に攻撃しますが、
不安が去った時、その武装は解除するようにできているのではないでしょうか。

Wee Siang TohによるPixabayからの画像

 

 

 

 

 

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