マニュアル化という幻想

後継者はマニュアル化をしたくなる。
もしかしたら、これって私だけでしょうか?

多くの仕事においてマニュアルは重要だと思います。
しかし、思ったほどうまくはいかない事を経験されるかもしれません。
そんな時は、こんなことを考えてみる必要があるのかもしれません。

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どこかのタイミングで、社内の仕事を見える化しよう!
と仕事のマニュアル化を進める後継者は結構いらっしゃいます。
マニュアルがすべてを解決するかのように思ってしまうのです。

その背景には恐らく、自分が仕事をおぼえる過程で感じた不都合があるのではないかと思います。
仕事を一つ一つ覚える過程で、きちんと教えてくれる人がいない。
一般社員のときなら先輩に聞けるかもしれません。
しかし、幹部社員、役員となった時、先代がやっている仕事はほとんどがブラックボックス化されていてよくわからない。
なんとも「見えない」部分が多すぎて、ウンザリしてきたのではないでしょうか。

 

大抵の仕事は、監視していなければたいていブラックボックス化されていきます。
私の経験で言うと、かつて事務社員は完全に仕事をブラックボックスにしていました。
やたらと時間がかかり、残業が増えていく。
その効率化に手を付けようにも、どれだけヒアリングしても何が問題なのかが明らかにならないのです。

そういったときに仕事の見える化を試みましたが、彼女たちはやっていることを隠しているわけではないけど、あまりそこに光はあてたくはないようです。
当時の私にはわかりませんでしたが、今ならその理由はわかります。
まずは仕事の内容が明らかになることで、何かしらの批判や干渉を受けることを恐れたのだと思います。
そして、自分たちが忙しくして、その忙しさを正当化することで自身の存在価値を(無意識に)アピールしてたんですね。
もちろん悪意があるわけではなく、私がまったく彼女たちを評価しなかったのが原因なんですが・・・

 

そういう背景がありますので、マニュアル化は遅々として進みませんでした。
先代の仕事や、母親(経理)の仕事も同様で、これを「誰でもできる状態」にしようとすると、自分たちの存在価値が危ぶまれます。
だから無意識に、中身が見えないよう、見えないよう、ふるまうわけです。

結果、できたマニュアルは大抵穴だらけ。
使い物にならないことが多いのです。

 

さて、マニュアルを作る困難を乗り越えたとしましょう。
こんどはマニュアル自体が及ぼす悪影響が出てくる可能性があります。

ピーター・クライン氏の『こうすれば組織は変えられる!―「学習する組織」をつくる10ステップ・トレーニング』にわかりやすい事例が紹介されているのでかいつまんでご紹介します。

あるマクドナルドの店舗で、一人の女性社員がお店を変えようと、ある試みを試しました。
何のことはない、お客様にお釣りを渡す際、右手で小銭を渡すわけですが、左手をお客様が差し出した手の下(手の甲の部分)に添えてお釣りを渡すことを始めました。
それを初めてほどなく、他のレジが空いているにもかかわらず、彼女のレジに人がたくさん並ぶようになったそうです。
他の店員が関心をもって「いったいどうしたの?」と聞いて、左手を添えてお釣りを渡したことを説明しました。
次第に、そのお店の店員は皆が左手を添えてお釣りを渡すように、お店の売り上げはずいぶんと上がったそうです。

これを、マニュアルの一動作としてやったとしたらどうでしょう。
恐らく、お客さんもそこまでこの店を支持することはなかったでしょう。
店員たちの前向きな気持ちがあってこその動作です。
マニュアル化は、やらされてやる行動を生み出す危険性がある、ということです。

 

マニュアルは、間違いを犯さないための作業手順になりがちです。
そこから先は、社員一人一人の心の持ち方が強い影響を及ぼします。

たとえば、3日前、大阪では強い地震がありました。
いろんな取引業者の方々から「ご無事ですか?」というお電話を頂きました。
すると、電話口の向こうにいる相手の気持ちがなんとなく見えるのです。
「ああ、この人はマニュアルに則って電話してきたな」
「あ、この人わざわざ気にしてくれたんだ」
「この人は、マニュアルにも従っているのだろうけど、けっこう心遣いを感じるな」
「この人はただ仕方ないから電話してるんだな」
などなど、手に取るようにわかります。

マニュアル化されることでやらされ仕事になってしまっている様子が見えるケースもしばしばです。

 

いろいろと話が散らかりましたが、私なりの結論を述べたいと思います。

後継者にとって、マニュアル化が伝家の宝刀のように感じられるシーンはあります。
だからそれを作ろうと躍起になる時期があるかもしれません。
しかし、そのタイミングでは、おそらくうまくいかないことが多いと思います。
そもそも情報は隠されてしまうからです。

もちろん、その段階でマニュアル化を進めるのも一考かもしれません。
しかし、本来は、社員との信頼関係がないから、社員は自分の仕事を隠そうとするわけです。
むしろそちらのほうが本質的な問題と言えるかもしれません。
その時のキーワードが、「心理的安全性」というもので、「何を言っても大丈夫」と思える環境づくりです。
それは社員を甘やかせるというわけではなく、お互いがかくし事のない状態である状況を作るわけです。
その際にまず必要なのは、あなたが、自身の弱みもふくめて、自分をさらけ出すところがスタートです。

そこから会社の目指す方向を明確にし、そこに向かうために何ができるかを胸襟を開いて話すことができる文化を作ることが必要となってきます。
すると、マニュアルに定められたやらされ仕事ではない、自主性を社員一人一人が発揮できるようになるのだと思います。
(ある日突然・・・というわけにはいかないでしょうが)

けっこう大変なんですが、そこに踏み出すか踏み出さないかを、社員の方はしっかりと見ているはずです。
会社を一体にするという後継者の役割は、そうやって作られていくのだと思います。

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