後継者

後継者のあるべき姿はないけど、なってはいけない姿はある

ある経営者がこんなことを言っていました。
「経営に絶対に上手くいく成功法則はないけど、絶対に失敗する失敗法則はない」と。

後継者もたぶん同じです。
後継者に上手くいく成功法則はないけど、絶対に失敗する法則はあると思います。
そういう意味では、後継者の問題のほとんどは「人間関係」にあると私は考えています。
そんな観点で、後継者が失敗に向かう「なってはいけない姿」について考えてみたいと思います。


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後継者の問題のほとんどは人間関係

後継者はスキルより人間関係に課題がある

後継者の多くは、経営などのスキルについて不足を感じている人が多いと思われます。
もちろんそれも大事なのですが、意外とそこはなくても上手くいくことがあります。
というのも、会社というのは組織です。
だから、人を上手く活用することで、自分の弱点をカバーしてもらうことが可能です。

しかし、その協力を取り付けられないことが実は後継者の最大の問題なのです。

後継者の人間関係の課題

後継者にとって、人間関係の課題は、
・お客様や取引先との関係
・社員との関係
だけでなく、
・先代との関係
そして、
・自分との関係があげられます。

一番大きな課題が、先代との関係ですね。

後継者がなってはいけない「必ず失敗する」法則

後継者は成功法則を追っても上手くいくかどうかはわからない

世の中にはいろんな成功法則がありますし、経営に関しても「こうすれば上手くいく」式の情報がたくさんあります。
私も30年以上色んな勉強をしてきて思うことがあります。
それは、上手くいくという方法論は、確かに少しは改善する近道かも知れませんが、それが必ずしも決定打になるとは限らないという事です。

例えば、もっとも戦略として固いと思われる「ランチェスター戦略」と呼ばれる方法があります。
これは色んな打ち手がありますが、基本的には、何かに絞り込め、という事になります。
例えば、Apple社が一時、経営不振に陥った時やったことは製品ラインナップの整理でした。
けどそれだけではやっぱり先細り感は否めない。
そこに、スティーブ・ジョブズの強いリーダーシップとセンスで、iPodやiPhoneという商品を開発し、販売したことが大きな成功要因じゃないかと思います。

これは再現性がありません。
再現性がないものを成功法則というわけにもいきませんね。

実はこういった経営戦略というのは、効果はゼロではなかったとしても、上手くいく程度はその時のタイミングや運に追う部分も非常に大きいのです。
また、たいていは上手くいくことも、状況によっては逆効果になることもあります。
だからそういった学びは、参考にすることは大事ですが、常に絶対ではないということを意識しておいたほうが良いかと思います。

後継者が必ず失敗する方法

では、後継者が必ずと言って失敗する方法というのはどういうことなのでしょうか?
逆に言うと、私がたくさんの後継者から聞いた悩み事と連動しています。
なぜかというと、たまらず相談したくなるような悩みというのは、後継者自身が壁にぶつかっている証です。
そこを超えられないと、後継者として体制がむずかしいと思われます。
逆に言うと、その課題を乗り越えた人が、しっかりとした後継者として能力を発揮しています。
そんな観点で見た、後継者が必ず失敗する方法をお伝えしたいと思います。

①自分が正しいと信じて人のアドバイスに耳を貸さない

これは、一人でやることなら「自信の証」と言える部分もあるかもしれません。
しかし、組織を動かすにあたっては、嫌な言葉を使えば独裁者です。
創業者ならば、初めからそういった環境を自分で作るわけですが、後継者はすでにある組織に入る新参者です。
新参者が、我が物顔で自分の正義を振りかざすことほど、従来のメンバーにとって面白くないことはありません。
独りよがりになる後継者の組織は、社内の士気を一気に下げてしまいます。

②社員との絆をつくろうとしない

会社を機械、社員をその部品のように考えてしまうケースがけっこうあります。
後継者本人にその自覚がない場合もあるのですが、自分の成果を作るためのパーツと考えると、行きつく先はクーデターや大量退職です。
そうやって、成長しては、離反を受けるという事を繰り返しがちになります。

③先代との無為な喧嘩を続ける

先代との喧嘩をただ同じように続けていると、社内も殺伐として、雰囲気は最悪になります。
後継者としては、なんとしてでも先代を押して押して押しまくる。
力づくで倒して、何とか主導権を握ろうとしがちです。
しかし、それをやっているあいだは、会社は上手くいきません。

どこかで、押してダメなら引いてみる、という事を覚える必要があります。

④人を頼らない

後継者が何から何まで自分でやらなければならない、となるとハッキリ言って経営は難しくなります。
徐々に覚えた先代にはできても、いきなりたくさんの重荷を背負う後継者は全部やり切ろうと思っても無理です。
また、姿勢として、自分には出来ないことがある、と認めることは逆に自分の強さになります。
社内外の人を頼ることで、社内外の人との絆が生まれます。
変なプライドを捨てて、頭を下げられるようになることをお勧めします。

⑤思ったことを口に出さない

文句ばかり言うのはどうかと思いますが、自分の考えを話さない人は意外と多いものです。
このあとどうしてほしいのか。
こういうことがあったらどう対応してほしいのか。
普段からどういう事に気をつけてほしいのか。
そんな事を、相手を責めることなく、純粋に自分の思いとして口に出すことはとても大事です。
テレパシーで伝えることはできません。

以上、思うところをまとめてみましたがいかがでしょうか?
これができれば、たいていの事は乗り越えられると思うのです。
ぜひ、リラックスして言いたい事を言い合える会社をつくる努力をして見てはいかがでしょうか。

 


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