非常識な後継者50の心得

非常識な後継者50の心得(47)困った時は「今」に集中しよう!

事業承継における後継者は、たぶん多くの場合未来を見ています。
そして不安になります。
・会社はこのままでいいのだろうか?
・今は先代が元気だけどこのままで、事業承継はちゃんとできるんだろうか?
・先代がやっていることは何の引き継ぎもなされないけど、自分にできるのだろうか?
・社員は先代のいう事しか聞かないけど、このままで後継者としての立場は大丈夫なのだろうか?
挙げればきりがありませんが、悩みの多くは、まだ起こっていない未来の不安から来るものです。

一般的な教えから行くと、「未来の不安要素には出来る限りの対処をしよう!」という事が言われます。
しかし、私の経験から行くと、親子の事業承継において、未来の不安にしっかり備えられるような体制を敷くのは難しい。
なぜなら、そこに多くの人が反発を感じるからです。

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未来への備えはけっこう無駄が多い

心配事の9割は起こらない

よく言われる「心配事の9割は起こらない」という話。
これは実は、誰かの個人的経験則でもなければ、宗教や道徳的なお説教でもなく、スピリチュアルな話でもありません。
これを事実として調査した、学術的な論文がその元ネタです。

あろうことか、心配ごとの85%において、実際には「よいこと」が起こったという結果さえあるのですから面白い。

なぜそんな取り越し苦労が起こるのかというと、脳が自分を守るためだと言われています。
リスクのあるところに足を踏み入れないように、必要以上に物事を「怖い」ものと思い込ませて、日頃慣れた世界から外に出ないよう仕向けているのです。
つまり、私たちの感じている不安の多くは、「誇大な妄想」と言ってもいいかもしれません。

これまでもたいていのことは何とかなってきた

ちょっとだけ過去を振り返ってみてほしいと思います。
たとえば、学生時代のクラブ活動などで、「あんなすごいこと自分には出来ない」と思っていた先輩のふるまい。
自分が経験を重ねるごとに、センパイと同等、あるいはセンパイ以上のことができるようになった経験のある人は多いと思います。
アルバイトでも、先輩や正社員がやっていることがすごく見えた人も、同じところで1年、2年と経験を積めば、彼らがやっていたことを普通にできるようになったりした経験もあるでしょう。
程度の差こそあれ、私たちは何かを始めるときは不安をもって始まり、やり始めてみたら、何とかなってきた経験をたくさん持っているはずです。

しかし私たちは、「ちゃんとできた」自分を忘れて、「出来るかどうかわからない」自分が顔を出しているんじゃないでしょうか?

不安への対処は不要

とはいえ、思いつく課題にまったく対処しないというのも、批判されそうな気がしてちょっと嫌な感じがするかもしれません。
だから、冷静に考えて、対処できるものは対処すればいいと思うのですが、そこに強く固執しすぎないことが寛容ではないかと思います。
強く固執すると、けっきょく、社内の対立を生みます。
もはや、問題を自分で生み出す原因を作ってしまうことになります。

もう一度思い出してください。
確率的に見て、心配事の9割は起こらないのです。
一割の可能性に固執して、社内の対立を生むなんてある意味本末転倒です。
じゃあ、この自分が抱えている「不安」はどうすればいいのか?というお気持ちもあるかと思います。

そこにはあえて私はこうお伝えしたいです。
「不安」は「不安」としてしっかりと感じ取って、自分が不安を感じることを許して受け入れてみてください。
不安を感じている自分を否定することもないし、不安があることが悪いことでもありません。
ああ、自分は不安を感じているんだな、と受け入れてみます。
一通り気持ち悪い感情を受け止めると、案外不安は小さくなっていくものです。

「今」のことだけ考える

未来の心配で目の前のことがお留守になっていないか?

実は未来の心配をするほど、目の前の「今」に心がないことが多いように思います。
なんとなく惰性で今のことをやってるんだけど、そこに心が入っていないんですね。
今のことに一生懸命に集中していたら、実は未来の不安を感じる暇はありません。
多くの人が一度は経験したことがあると思いますが、何かに熱中していると人から呼ばれている声が耳に入らなかったり、雑音が消えたりってことがないでしょうか。
そこまで集中すると不安は消えてしまいます。

そういった集中モードを発動できることを思い出すと、もう一つ大事なことが起ります。
それは「何かあったら、何とかできる」「今に集中していれば、乗り切れる」という根拠のない自信が沸き上がってくるのではないでしょうか。
この感覚をぜひ思い出してほしいと思います。

自信=対処できる自分

今に集中しろというのは、何か現実に変更を加えるのは今しかないからです。
未来のことは今の行動の結果です。
だから、今できる行動をすることが大事なのですが、未来の不安に囚われると今できない行動に振り回されてしまいがちです。
不安と行動を切り分けて捉えることが大事ではないでしょうか。

そして、何があっても目の前のことに対処できる自分である、何があってもなんとかなる、というのが世間で言う根拠のない自信。
逆に言うと、目の前に起こったことには、誰しも対処せざるを得ないし、対処せずに永遠の時間を過ごすことなどありえないので、誰もが何とかなるものなのです。
「なんとかなる」の思いで、今目の前のことを一生懸命やっていきたいですね。

 

 

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非常識な後継者50の心得(0) はじめに 目次

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