事業承継における安定と不安定

私が親の会社に入社した時、親の会社を継ぐ、というのは「安定」を求める行為でした。
顧客があり、設備があり、売り上げがある。
当時の感覚といえば、「社長さん」はそこそこ金持ち。
後継者というのは、そんな商売を引き継ぐことでした。

社長だから自由だし、社長だからお金もある。
親の会社だから、子どもである後継者も自由。
なんの不自由もなく一生を終えていく。
そんなイメージが、ごくごく一般的な時代でした。

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私が子供のころ、なりたい職種ランキングにはたいてい、
「社長」
というのが入っていたように思います。

社長はえらいしお金持ち。
当時のステレオタイプな社長のイメージです。
その延長線上に、社長の御曹司というのがいるわけです。
まあ、私も学生時代はずいぶんうらやましがられました。
私自身、まんざらでもなかったかもしれません。
未来は社長かぁ・・・なんてニヤけることもあったような、なかったような・・・笑

私が大学を卒業したのは、バブルに陰りが見え始めたころ。
景気は悪くなった、とは言いつつもなんだかんだ言って豊かでした。

その時、私は父からこういわれました。
「ワシの仕事は、堅い。よほど無茶をしなければつぶれることはない」
そんな話もあって、私にとっては、父の会社は、
「安定の職場」
だったわけです。

面倒な転勤もなければ、社長になれば自分は自由。
真面目にコツコツやれば、一生を務めあげられる安定を得られるものと思っていました。

 

しかし、そんな矢先、業界はどんどん変わる。
いえ、業界だけでなく社会が変わるのを肌で感じ始めるようにもなりました。
業界で前例のないようなことが次々と起こり、ありえないくらいの高波の中、自分たちの乗った小舟はひどい状態です。

はじめのうちは、そんな中でも生き残らなければ。
そんな思いで、仕事にあたっていました。
お手本は当然父です。

 

しかし、どうも違う。
そう思い始めたのは、代表を交代してずいぶん経ってからでした。
それまで、私は、父から受け継いだ小さな会社を、
安定させよう、安定させよう、と頑張ってきました。
今は、それは間違いだったと考えています。

 

安定する、ということは突発的なことが起こらない状態です。
突発的なことが起こらないということは、すべてがルールで縛られた世界です。
そのことで何が起きるか?というと、停滞につながります。
なぜなら、前に進んでいないからです。

 

変化を起こすこと。
それは、不安定な状態を作り出すことです。
やったことのないこと、試したことのない方法をやると、そこには不安定が生まれます。
その不安定さを、ある程度コントロールしていく過程で、人と組織は成長します。

ところで、完全に安定した企業があったとしましょう。
そこには、管理のマネジメントで支配された状態です。
マニュアル化され、そのルールを出たことは一切やらない。
リスクは取らない。
すると、問題は起こらなくなるでしょう。
これ、どういう状態かというと、いつでもAIで肩代わりできる仕事のやり方ではないでしょうか。
銀行などの金融機関は、ルールでがちがちに縛られた職場です。
つまり、安定した仕事を行うよう設計されている。
だから、AIがすぐにでもできる仕事ばかりになっているのです。

これから、「人がかかわること」が、プレミアムなサービスとなる一面が出てくる可能性もありそうです。
そんな時に、大企業ならいざ知らず、中小企業の後継者が、ルールで社員を縛るのは少し立ち止まって考える必要があるのかもしれません。

話を元に戻しましょう。
私は、自由と安定を求めて、父の会社を継ごうと考えました。
しかし、ここには、自分の考える自由も安定もなかったわけです。
そのギャップにはずいぶん苦しみました。

 

で、出した結果は、不安定を受け入れよう。
むしろ、社内で不安定をたくさん仕掛けています(笑)
安定を目指しても、相対的に状況は悪くなる。
ならば、イチかバチか、社内に不安定を巻き起こそう。
そう考えたわけです。

先代との関係も、社内のことも、会社の方針も。
不安定万歳!
そんな風に思っているわけです。

 

不安定が安定に固まるとき、以前と違った状態になっています。
その時、少なくともそこにいる人と組織の経験値は上がっているわけです。
それだけでも儲けもの。
小さな不安定→安定を繰り返しながら、人と組織は成長する。
そんな考えを受け入れると、ずいぶんと楽になるものです。

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