後継者の「経営者の器」を満たすたった1つの資質

ごく一般的に流されている情報の中で、事業承継を行うにあたって、誰にバトンを渡すか?という議論がよくあります。
中小企業においては、一時と比べて少なくなったとはいえ、まだまだ親族から後継者を選出することが多いのが現状でしょう。
そこで後継者候補に、経営者の器があるのか?ないのか?という話になるわけですが、そもそも経営者の器って何でしょうか?
大人になってから器を広げることは不可能なのでしょうか?

「経営者の器」という言葉があります。
誰もが、一般的な言葉として理解できるにもかかわらず、具体的な定義がなされていない不思議な言葉の一つでしょう。
定義が明確でない言葉を振りかざして、「彼は経営者の器ではない」なんていう無責任な会話がなされているのは、滑稽にさえ見えてしまいます。
多くの場合、経営者の器というのは先天的なもの(あるいは子供から青年期に獲得するもの)で、将来にわたって成長がすることがないように語られている印象がありますが、それも今一つ納得感がありません。

経営者の器という言葉でネット検索すると、様々な主張が出てきますが、どんな企業にも当てはまりそうなしっくりくる説明はみあたりません。
あえて、大胆な書き方をするならば、断定的に語れるような定義はない、といえるのではないでしょうか。
実体のないものに、創業者も後継者も振り回されているのです。

では、経営者の器を考えるにあたって、近い言葉として「経営者の資質」というものがあります。
これは具体的にはどんな物があるのでしょうか。
これもまた、様々な説があります。
いくつかのWEBサイトで見つけたものはこんな感じです。

  • 時代を読む能力
  • 明るくて謙虚な性格
  • 論理的思考
  • 独創的な発想・着眼点
  • 素早い行動力
  • 素直
  • 謙虚
  • 明るい

などなど。

まあ、挙げればきりがありません。

けど、ちょっと待ってください。
そもそも、あなたの会社の創業者は、こういった資質をすべて備えているのでしょうか?
少なくとも、私の知る経営者の多くは、全てをバランスよく持っている社長はほとんどいません。

乱暴に言ってしまえば、そんなものなくたって、普通に経営者は務まっています。
確かに理想を言えば、全てを兼ね備える事ができればいいのかもしれませんが、殆どの経営者は不完全です。
むしろ、不完全だからこそ魅力的ともいえるのではないでしょうか。

例えば、スティーブ・ジョブズは、製品開発への情熱は非常に強いものがあったようですが、謙虚とはいいがたい性格だったように思います。
そういった偏りを持っていたからこそ、iPhoneといった画期的な製品を生み出し、多くのファンを引き付けているのではないでしょうか。

販売会社の社長が、営業が苦手であってもいいと思います。
なぜなら、非効率な営業を改革するなら、営業が得意ではないほうが問題点を明確にできる可能性が高いからです。
それなりの組織を持つ社長が、人とのコミュニケーションが苦手でもいいと思います。
なぜなら、苦手だからこそ人に任せられるという部分もあるでしょう。

とはいえ、単に社長であるということと、社長としてしっかり会社を盛り立てられるという事は別物です。
ここで経営者の器の話に戻しましょう。
よく使われている言葉に、「会社(組織)は、経営者(リーダー)の器以上に大きくなれない」というものがあります。
では、会社や組織を成長させるには、何が必要なのでしょうか。

それは前進する力であったり、今の状況に甘んじない心であったり、未来の会社をイメージする力であったりするのでしょう。
そういった発想や、力の源がどこになるのか?と問われたとき、私はこう答えます。
向上心を持っていること。
向上心があれば、欠けているものを補うアイデアを考えられます。
向上心があれば、不足する資質を活かす方法を考えられます。
向上心があれば、今の状況をよりよくする視点を持てます。

何が言いたいかといえば、生まれつき経営者の器を持っている人などいないし、それを持って経営につくというのも幻想に近い。
よりよくすることを目指して努力できるか、出来ないかが後継者として必要なたった一つの資質ではないかと思います。
人の未来の可能性を、現時点の状況で判断することなど出来るはずもないのですから。

 

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