後継者の会社改革 最大のタブーとは?

事業承継のタイミングでは、何かしらの会社自体の改革が行われることが多いと思います。
それは、創業社長と後継者の視点の違いだったり、時代の違いだったりがその原因になると思います。
しかし、そうした改革そのものが、親子の確執に至る原因となることも少なからずあります。

後継者は、進もうとすれば頭を打たれ、後退する。
行きつ戻りつを繰り返すことが多いようです。

では、どうすればその衝突を避けることができるのでしょうか。

衝突はまぬがれない!?

たまたま登場人物が大物だったという結論

会社に限らず、何かを変化させるときに、抵抗する力は必ずと言っていいほど発生します。
これは、サラリーマン社員とそのリーダーとの関係においても同じです。
ただ、親子の事業承継においては、二代目と創業社長という、登場人物が大物だったというだけの事、というのが現実でしょう。
とはいえ、それで終わってしまうと意味がありませんので、この摩擦が起こりにくい方法を考えてみたいと思います。

確執の背景にある感情

変化を起こす側と、変化を求められる側には、それぞれに背景があります。
事業承継において、創業社長は自分のやり方で会社を作ってきた自負がありますし、それ以上に愛着を持っています。
会社への愛着、仕事への愛着、顧客への愛着・・・。
特に、創業社長にとっては、会社は人生そのものですから、決して譲ることができないのです。
矛盾しているようですが、無意識の領域では、創業社長の本音は会社を息子とはいえ、本当は譲りたくない、というのが本音であることが多いようです。

本当は何も変えたくない

創業社長とて、時代に即した形で会社を変化させなくてはならないのは、肌で感じていることと思います。
しかし、人は変化を好まない生き物である以上に、創業社長は会社に自分を合わせるというより、自分に会社を併せてきた人が多いはずです。
ルールで縛られるのは不慣れな存在
であるといえるでしょう。
であるならば、自分が変わらずに済めばよいのか?といえば、必ずしもそうでもなくて自分にフィットする会社組織が変わっていく、目に見える景色が変わっていくものもまた、
創業社長の不安を駆り立てる
物になってしまいます。結果、その変化への無意識の抵抗を試みることになり、これが確執の原因となる事が往々にしてあります。

「さりげなさ」の演出

一気に変えると抵抗感MAX

少し前に話題になった、大塚家具の話がありました。
後継者である久美子社長が、会社のマーケティングを含めた内容を一変させようとしたときに、勝久会長が全面対決の体制を整えました。
力で抑えようとすればするほど、力で反発する形になり、まさに骨肉の争いとしてマスコミのネタにされました。
久美子社長にしてみれば、株主へのアピールなども含めて、あれだけ大きな改革を断行しようとしたわけですが、その力強さが、逆に勝久会長に力を与えたといえなくもないような気がします。

繰り返しになりますが、力で抑えようとすれば、力で抵抗されます。
そうなるとまさにどっちが勝ってもつらい結果しか残らないことが多いように思いますが、いかがでしょうか。

共通点はないものだろうか?

変化を作ろうとする後継者も、変化にあらがう創業者も、共通して歓迎できることがあるはずです。
もっとも多いパターンが会社の売り上げを上げる、という部分においてでしょう。
その手法は、残念ながら後継者と創業者においては考え方が異なることが多いのですが、その小さな共通点を上手く掬い取ることが、確執を最小限にしながら後継者の思いを達する光となりそうに思います。

共通点

先代の無価値観

例えば、先代と後継者の共通した価値を「売り上げアップ」と設定したとしましょう。
ここでも問題になるのが、その手段です。

その際に、先代は口に出すかは別としてこのようなことを考えている可能性があります。

  • 今の方法が最善
  • 今の体制のまま、売り上げを上げることが必要
  • 業界で例のない事へのチャレンジはあまり価値を感じない

この事は、営業体制が変わったり、手段が変わったりすると、
自分が会社にいる価値が減少する
という恐れを感じるからだと考えられます。

だから、先代が理解・実践不可能な方法論に関しては、かなり高い確率で抵抗が予想されます。

否定されれば戦うしかない

先代は年齢とともに、自分の居場所が狭くなっていくことを実感し始めます。
特に、会社の経営権を譲った場合はなおさらですね。
そんな時に、長年培ってきた会社を大きく変化させよう、というムーブメントは
自分の価値観をも否定されたと感じるほどの衝撃
を感じている可能性もあります。

存在意義さえ否定されたとき、先代は戦うほか方法がないのです。

こういった抵抗を和らげるためには、仰々しい改革ではなく、さりげないスタートが理想的です。
「ちょっと、やってみました。」的な感覚ですね。
今まで、営業部隊で稼いできた事業であれば、営業の精度を上げる。
具体的には、今まで個々人の感覚で営業していたものを、会社として過去の購買データを分析したうえで、ターゲットを定めて営業をかけるわけです。
それも、一気に営業のやり方を変えてしまうのではなく、営業の時間全体が100%とすると、20%くらいの時間をそこに充てる。
そのうえで効果を検証して、少しずつ広げていく。
そんな感じでやっていくと、自然と営業社員も先代もそのやり方になじんでいきます。

時間との戦いもあるかとは思いますが、急がば回れという事もあります。
じっくり取り組んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

後継者による会社改革は、親子の確執を引き起こして暗礁に乗り上げることが多々あります。
その確執を引き起こす引き金となりがちなのが、急激な会社の変化です。
変化が先代に波及する場合、必ずと言っていいほど抵抗が生じます。

残念ながら、確執を全く起こさないことは非常に難しいと思われますが、先代による抵抗を少しでも和らげる方法は工夫次第ではありそうに思います。
その一つが、「さりげなく」という事。
気が付いたら、違うやり方に変わってました、と(笑)

この方法の難点は、後継者の手柄であったとしても、そのことに注目してもらえることは少ない、という事。
なぜなら、変化は緩慢ですから。
少し忍耐が必要ではあります。
その覚悟をもってしてでも、会社を変えていくメリットは、私はあるんじゃないかと思います。
先代のサイズに最適化された会社を、だぶだぶの状態で自分が受け継ぐより、自分にジャストフィットした形に変えられる価値は、かなり大きいと思います。

まずはこういったトレードオフの関係にコミットできるかどうかを自分に問いながら、今後の事を考えていければいいのではないかと思います。

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