後継者

事業承継で未来が不安な後継者はまずは「現在」のみに集中してみよう

将来が不安。
親子の事業承継で、多くの後継者・跡継ぎが訴える悩みです。

確かに不安は尽きません。
先代であるような親のような経営者になれるのだろうか?
わからないことだらけだけど自分にもできるようになるのだろうか?
これだけ激しい時代の変化の中で会社を存続することはできるのだろうか?

などなど。

こういった不安は当然のことだと思いますが、不安は放っておくとどんどん大きくなっていきます。
こんな時どうすればいいのでしょうか。

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心配の9割は起こらない

Tasos LekkasによるPixabayからの画像

学術研究が示した心配と現実

皆さんもこんなお話を聞かれたことがあるのではないかと思います。
「心配事の9割は起こらない」と。
これ、単に、適当な数字を言っているかというとそうでもないようです。

米国ミシガン大学の調査によると、そもそも心配事の80%はそれが起こらないという結果が出たそうです。
さらに残り20%の8割、つまり全体の16%は準備をすれば避けられることなんだそうです。
合計96%が心配には及ばない、ということになるわけです。
まあ心配の9割は起こらないというのはちょっと単純化しすぎかもしれませんが、大抵の心配はとりこし苦労になるであろう雰囲気はつかめる数字かと思います。

で、残りの4%はどうかというと、コイツが、「準備のしようがない」ことなんだそうです。
つまり、やはり、心配するだけ無駄ということです。

ここから考えると、4%の「どうしようもない現実」があるという前提で未来を考えるのが科学的には正しい、と言えそうです。
どうしようもないことはどうしようもないので、繰り返しになりますが、心配するだけ無駄なのです。

元米兵のサバイバルテクニック

究極の状態で生き抜くことを徹底的に教え込まれた元米兵が、東日本大震災の折、日本に仕事で来ていたといいます。
彼のサバイバル術の一端を垣間見るシーンがネットの記事に紹介されていたので、ここに引用させていただきます。

2011年3月11日に起こった東日本大震災。

東京ではほとんどの公共交通機関が停止。帰宅難民の数は515万人。多くの方が、自宅まで歩いて帰ることになりました。帰宅まで5、6時間、あるいはそれ以上かかった方もいるでしょう。
埼玉まで5時間かけて帰った友人のAさんから、興味深い話を聞きました。彼は会社の同僚のアメリカ人のボブが同じ方向なので、一緒に帰ったそうです。
Aさんが、「明日は通勤できるのかな?」「震源地はどうなっているんだろう?」と、不安を口にすると、ボブは言ったそうです。

「先のことは考えるな!」

彼は元米兵で、その訓練の一環で、サバイバルのテクニックを学んだそうです。米軍直伝「サバイバルの心理テクニック」が、次の言葉に集約されています。

先のことは考えるな!
「今」にフォーカスしろ。

たとえば、船が遭難してしまったとき。
「明日は助けが来るだろうか?」
「明日には、食料がなくなってしまう」

このように、先のことを考えてはいけないのだそうです。
先のことを考えても不安になるだけで、何のメリットもないからです。助けが来るか来ないかを考えたところで、助けの来る確率が上がることはありません。むしろ、精神力と体力を消耗するだけです。

心配事・不安の96%は実際には起こらない。考えないのが一番(樺沢紫苑:精神科医・作家) DIAMOND online

後継者が意識すべきは「今できることに集中する」こと

未来ばかり見て今を見ていない?

未来を考えないといっても、ビジネスの世界にいると、どうしても未来を見ざるを得ない機会が増えます。
例えば会社の目標数字を設定する、という時点で意識は締め切りを終えた時点の未来をさまよっています。おそらく必要な数字があり、それを目標に設定する。しかし、その目標をクリアできる根拠というか各章のようなものが得られない。そうすると不安になるわけです。そして不安を払しょくするためにがむしゃらに働くわけです。
ここで抜け落ちている視点があります。

それは、現在何をどのように、どれだけできるのか?ということです。

この、現在何ができるかを考えず、たんなる反応プログラムのように今までの動きを気合やモチベーションで強化しようとするのです。
一旦動きを止めてみて、社内を見て、顧客を見て、商品や市場を見て、今自分たちに何ができるかを少し考えてみます。
考えた結果、今まで通りの動きが最適ならばそれでいいのですが、その動きが望む結果を得られそうにないというのであれば、その動きを変えなくてはなりません。

これは私の体験談ですが、私は未来のためにあれこれいろんなことをやるわけです。親である先代はもう今のことしか見えません。そうなった時に、今を軽視して会社全体を未来に運ぼうとする私と、現状に留め置こうとする(無意識に、ですが)親との衝突がかなり激しく勃発した時期がありました。
当時私は絶対に自分が正しいと思っていましたが、「今を無視」することで、未来への不安を払しょくすることばかり考えていたように思います。

環境に左右されない、比較をやめる

これは後継者・跡継ぎに限ったことではないのですが、他人の庭は青く見えるものです。
たとえば、親の会社を継ぐということその物が、自分にとっての不利な条件に見えることもあります。たとえば、一般の会社員だったらもっと活躍できたのに、とか、そもそも社員や顧客がある形でなくまっさらなところから起業したかったとか。これは未来ではないですが、過去に対して意識をフォーカスしている状態ですよね。

なんだか自分が損をしているような気がして、「損してる~」と自分の心の中で唱え続けている状態なんです。
思考が現実を作る、なんていう言葉もありますが、損してるなぁと思っている以上は、損し続ける現実を作ってしまうのかもしれません。

今にフォーカスするということは、過去からもってきた後悔や損失感というものから縁を切るということだと思います。
今現状の世の中の変化や、状況、出来事や、社員、資源、などなどをしっかりと観察し、それらをどう活かすか、そこから何を生み出すかにフォーカスすることなんだと思います。
未来に不安を感じている暇があるなら、過去にとらわれている隙間があるなら、今のことに注目して今の現実に働きかけよう、という考え方です。

今の自分や会社の周囲だけにフォーカスすると、他人や他社との比較がなくなります。
個人レベルで言うなら、たとえば親と自分の比較、番頭と自分との比較をして、まだまだだなぁとか、ここは勝ってる!とか一喜一憂していないでしょうか?自分がまけている部分をカバーするために何とかしようと思ってあがいたりしないでしょうか?そうすると本来の自分というか、前進する力が限定的になってしまいます。
何かを決める必要があるとき、未来の心配事が気になって決められないとか、無難な選択をすることも多いと思うのですが、今の状況だけを参考にするなら判断は変わるのではないでしょうか?それこそが本来の自分が持っている個性による決定だと思います。

会社としても、他社との絡みで値段競争に巻き込まれたり、業界ルールにとらわれて差別化が出来なかったり、なんとなく周囲に流された結果顧客との関係性が強固に築けなかったりはしていないでしょうか。本来持っている会社のポテンシャルを、誰かが作った「常識感」でスポイルしている可能性はあるように思います。

4%の覚悟は必要

Aravind kumarによるPixabayからの画像

どうしようもないこともある

ところで、冒頭の話に戻ると、4%はどうしようもない場合があるといいました。たとえば、会社のリスクマネジメントなどにおいても、とても大事なのは「どの程度の被害までなら立て直しを考えるか?」という部分だと言われています。会社が再起不能と思われる程度の被害を被ったら、できる限りマイナスの資産を増やさない範囲において速やかに撤退すべき状況もあるわけです。これはまさにどうしようもないので、考えたって仕方がありません。言ってみれば、そうなった時には自分の責任において撤退を決定することが、後継者・跡継ぎの責任と言えるのでしょう。それを受け入れることが、後継者・跡継ぎの器であったり、覚悟と言われるものです。しかし残りの96%において、前を向いて歩くことに集中さえしていれば、まさにほとんどの場合は何とかなるもの、という考えでいいようにも思えます。

ダメな時はダメ。
そうでない場合は、「今」に集中し、五感を通じて現状を察知し、できる手を打つ。

もはや自信があるとかないとかいうはなしではなく、やるかやらないかの問題です。
つまり、意志の力が試されている、ということになりそうです。

となると結論めいた話をするならば、「やる」と決めれば不安という幻想は霧散すると思うのですがいかがでしょうか。

 

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