頑張れば頑張るほど孤立してしまう後継者がとるべき5つのステップ

どんな状況であれ、後継者はその責任を全うすべく、
頑張っている事が多いと思います。
しかし、何故か、頑張れば頑張るほど、
社内では孤立しがちです。

後継者は、
自分の努力が足りないのだろうか?
自分の力量が足りないのだろうか?
自分の考え方が間違っているのだろうか?
といった迷宮に迷い込んでしまいます。

その原因と、打開策について考えてみましょう。
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孤立してしまう後継者

時代背景と社内の布陣

社会は、物不足の時代から、物余りの時代に入りました。
この事は、会社を変化させなければならない大きな要因となります。
今はまだ、過去の遺産で食べていけるかもしれません。
あるいは、じりじりと売り上げもしくは利益が落ちてきているけど、
営業ががんばれば、なんとかフォローできる状況かもしれません。

いつかは以前のように、会社が良くなる、
そう思って、今は歯を食いしばっている企業も少なからずあるのではないでしょうか。

しかし、本当に、今を耐えれば、未来はよくなるのでしょうか?

創業社長の多くは、過去の経験を重視します。
だから、過去上手くいったやり方で、
なんとか会社の勢いをもう一度取り戻そうと考えているかもしれません。

創業社長と長年苦楽を共にした、番頭クラスの役員・社員も
やはり同じ道を選択したがるでしょう。

しかし、世代の違う後継者にとっては、
単なる営業努力だけでどうにかなるものではない、
そう考えているのではないでしょうか。

だから、会社の抜本的な方向性を見直さなければならない。
新たなアイデアを現実にしなければならない。
なのに、残念ながら経営の上層部に、
後継者のアイデアを理解できる人はいない事の方が多いでしょう。
そもそも、使っている言語が違うのではないか?と思えるほどに、基本的な認識が違います。

どれだけ説明しても理解を得られない後継者は、
ストレスをパンパンにためて、崩れゆく自分の心のバランスの中で、こう考えます。
「親の会社なんてつがなければ良かった・・・」

創業社長が持つクセ

私が見た、創業社長の多くは、似通った特徴を持っています。
年商10億円のバーを創業社長の代で突破した場合は、この限りではありませんが、
年商5億円程度から伸び悩んでいる場合は、かなり高い確率で当てはまるのではないでしょうか。

①同じ問題が繰り返し起こっても改善策に関心を示さない

長く会社をやっていると、

  • 何度か社員がクーデターを起こした(もしくは起こしそうになった)
  • 仕事上で同じようなトラブルが何年かに一度繰り返されている
  • 数年に一度、必ず社員が辞める

といったような、会社のピンチともいえるような問題を経験する事があります。
これに対して、創業社長の多くは、その場を上手く切り抜けるわけですが、
二度と同じ問題を起こさない
といった努力や対応については、消極的な事が多いようです。

この事は、恐らく、創業社長の多くは、
今を生きることを最重要視し、未来についての視点をあまり持っていない
事が多いように思われます。
これは、習慣のようなもので、創業当初、資金繰りの安定しない中で、
日々、今日を生き抜かなければ、明日はやってこない、
という環境での仕事が長かったという事に原因がありそうです。

また、自分の腕一本でここまでやりきった自信もその背景にあるでしょう。
創業社長と後継者の根本的な違いは、この部分にあるかもしれません。

②狭い分野のスペシャリスト

特に、技術系の職業の場合は多いのですが、非常に狭い分野におけるスペシャリストで、
そこに対する思い入れや、こだわりは一般の人とは一線を画するものがあります。
製品やサービスに関するこういった思い入れがあったからこそ、長きにわたって会社が存続した、とも言えます。

しかし、一方で、お客様の変化、社会の変化の中では、残念ながら技術一筋ではやっていけないのが現実です。

③交流は同業者までである事が多い

仕事について語り合う相手は、基本、同業他社どまりである事が多いようです。
なぜならば、同じ技術や、同じ商品を持つ仲間でなければ、共通の話題もなく、仕事の話はできないからです。
もちろん、地域の奉仕団体等への加入で、異業種の経営者との交流も全くないとは言えませんが、
活かせる情報としてのビジネスの話はそこではあまり行われていない事が多いようです。

後継者のクセ

前段の、創業者のクセの逆に位置するのが、後継者のクセであることが多いと思われます。
トラブルを起こさないために、マネジメントを学び、
技術一本ではこれからは厳しいと感じるから、マーケティングを学び、
同業者との閉じた情報では広がりが無いから、異業種の経営者から学び、
創業者の個性で成り立っていた会社を、きちんと仕組みの整った企業にしたい、というのが後継者の思いではないでしょうか。

もし、そうだとすれば、不幸なのは会社を存続させ、元気にしたい!という思いは双方同じなのに、
そこへ至る方法が全く逆だという事で、創業者と後継者は対立します。

そして、会社の中では、存在感の大きな創業者が優勢、後継者は劣勢となり、孤立していきます。

社員は、力のある人ほど創業社長とともにした時間が長い事が多いので、後継者の味方になる人間は、比較的社歴の浅い人間。
こういった人は、思ったことを社内で口にするのは難しい立場であることが多いので、
「なぜ、うまく行かないんだ?」
と後継者がもがけばもがくほど、孤立感をどんどん強めて行ってしまいます。

いつまでたっても子は子

不安から来る防御反応

多くの場合、中小企業経営者は、
自分より力量のある人間を雇う事はないようです。
無意識に、自分を脅かす人間を社内におかないよう、
差配しているという事です。

無意識ですから、本人は当然そんな風には考えていません。
逆に、社内にいる人間が育って、自分を脅かそうとすれば、その勢力を無意識に押さえつけようとします。
親子間で事業承継が行われる場合、その矛先はやはり子である後継者である事が多いようです。

もう一つ言える事は、後継者の視野と、創業者の視野は全く違います。
同じ現実が、違う意味を持って認識されている状態と言えます。
そうなると、共通の認識を持つ子とは、なかなか難しい。

対話を通じて、創業者も頭では後継者の言い分を理解できたとしても、感情的に腹落ちするという所までは、なかなかいかないのが現実でしょう。
だから、創業社長に「わかってもらえた」と思った次の瞬間には、後継者のやろうとすることと真逆の事を社内で提案したりします。

これは悪気のある事ではなく、もはや変えることのできないクセとして出てきている、と考えた方が良いでしょう。

子供はいつになっても子供fog-79456_640

もう一つ、創業社長が抜けることのできない考え方があります。
それは、感覚として、どんなに仕事が出来ようが、子供は子供なのです。

子供が親をこえようと躍起になった時、子供が親をこえそうになった時、親の防御反応が現れます。

親として、子供であったとしても、追い越されたくない!
という強い感情が心の奥底にわき上がります。
「俺だってまだまだできる。」
そう言った心の叫びが、後継者の行動を遮る事もありそうです。

どこへ行けばよいのか?

さらに、重くのしかかるのが、次第に居場所を失う不安が創業社長をおそう事です。
創業社長の高齢化に伴い、社内でも、社外でも、活動範囲は狭くなってきます。
ご自身も、体調不良など、老いを感じ始めるタイミングでもあります。
そうすると、失うものが少なからずあるわけです。

もともと、若いころから仕事一筋だった方が多いのが、創業社長です。
そうすると、自分の居場所が年々狭くなってきます。
さらに、自分で立ち上げた会社まで奪うのか?
心の奥底に、そのような思いが湧き上がります。

失うものが多いほど、持っているものに対する執着は強くなります。
納得のいかない形で奪われれば、相当な反発が予想されるのは、火を見るより明らかです。

この事が、
後継者が頑張れば頑張るほど、孤立していくありがちなパターンの原因でしょう。

後継者がとるべき5つのステップ

後継者に求められる調整能力

後継者の立場は、いわば中間管理職です。
たとえ、社長になっていたとしても、先代が社内で影響力を持っているうちは、
スーパー中間管理職としてのスキルが必要になってきます。

言い換えれば、セラピストとしてのスキルといってもいいかもしれません。

親子ですから、感情的になって言い合いする事もあるでしょう。
それはそれで、価値のある時間でもある事が多いように思います。
逆に、ケンカをしない事の方が深刻かもしれません。

ここで気を付けたいのは、仕組みや、体制で、先代を狭い折の中にムリヤリ囲い込もうとしない事。
そうすれば、反発・敵対の攻撃態勢になり、場合によっては修復不可能な傷を負う事さえ考えられます。

STEP①親子間であるべきコミュニケーションをとる

まずは、先代の話をよく聞いてみる必要があります。
あまり自分の思いを表現する事が得意でない事が多い世代ですから、
丁寧に質問してあげて、先代の思いを上手く引き出してください。

会社をどんな思いで作り上げたか?
会社でどんなことを成し遂げたいか?
といった内容だと、比較的スムーズに話ができるかもしれません。

口下手な先代だと、そんな質問に対しても、一言で終えてしまう事もあるかもしれません。
しかし、根気よく、話を聞いてみてください。
恐らく、後継者にとっては、承服できない話、違和感を感じる話もあろうかと思います。

それでもまずは、きちんと話を受け止めてみることが肝要です。

STEP②創業者の価値観に合わせた行動を考える

後継者としては「自分のやり方で」という思いも強いと思います。
しかし、ここはぐっとおさえて、まずは創業者である親の価値観に沿った施策を実行してみてください。
もちろん、親の言うなりでなく、自分なりのテイストを加えてOKです。

そうすることで、先代は安心します。

いきなり、先代の考えと180度違ったことを始めてしまうと、
「こいつ、何するつもりだ!」
と先代は怒り狂う事があります。

そうではなく、まずは先代の価値観に合わせたことで、何か一つ、
実績を上げられないかを考えてみてください。

決して簡単な事ではないのは承知の上で申し上げています。
ここは、歯を食いしばって乗り越えるべきポイントだと思います。

STEP③自分流のやり方を小さく始めてみる

STEP②で多少なりとも成果が挙げられれば、先代も後継者の事を認めつつ、
先代の路線から一気に違う会社にしてしまう恐れが少しなごみます。
大きな実績でなくとも、そういった努力をしてみる姿勢があれば、
多くの場合はそれなりに関係は改善するでしょう。

そう言った段階を経たうえで、後継者の方が本当にやりたいことを
小さく、薄く始めていきます。
一気に転換するというより、日頃のルーチンワーク+α的な変化が望ましいと思います。

その施策がそれなりに効果が実感できそうな段階が来れば、どんどん大きくしていけばいいでしょう。

ケース・バイ・ケースですが、自分と親以外の役員に兄弟や親せきがいる場合は、こういった試みを独立した事業部で行い、将来分社できる体制にしておくのも、良いかもしれません。

STEP④先代の居場所の確保

徐々に社内が変わってきたとき、やはり先代は、自分の居場所を徐々に失っていく可能性が高いと思われます。
それを放置していると、社内にどんよりした空気が流れ始めます。
場合によっては、社内全体に先代を軽んじる空気が流れるかもしれません。
その時に、先代を追い出すような行為は、気分のいいものではありません。

例えば、職人的仕事の一部を任せるとか、古くからの顧客とのコミュニケーションとか、
絶対にやらなければならない仕事ではないものの、やってもらえると助かる、という仕事を体調に支障をきたさない範囲でやっていただく、というのがちょうどよいかと思います。

地元の奉仕団体の活動や、コミュニティへの参加なども良いかもしれません。

 STEP⑤会社全体を時代に合わせて最適化

部分的に、新しい施策を取り入れた企業は、そこに合わせて様々な事を調整したり、
新しいビジネスモデルを検討したり、人員の配置を変更したり、全体としての調整が必要になってきます。

ここまでのステップをきちんと仕上げてこられたとすれば、
恐らく多くの社員は、後継者に対する強い信頼感を感じている事でしょう。
(強引なリストラを行っていなければ・・・という前提ですが)

そうなれば、企業として
「改善」という枠組みで大丈夫なのか、
それとも「改革」レベルの変化が必要なのかを真剣に検討するタイミングとなるでしょう。

後継者流の組織として生まれ変わるタイミングとしては、相応のおぜん立てが整う状態だと思います。
ここからが、実質的な経営者としての本番となる事でしょう。

まとめ

事業承継において、親子であったとしても、
相対する思いがあり、対立する事があります。

こういった場合に、そのままの状態で頑張っても、
後継者は報われない事が多いのです。

だから、先代の価値観に合わせた施策を行う事で、
歩み寄り、協調の姿勢を作ることが重要となります。
はじきあうのではなく、統合していく。

この事を肝に銘じておくのが解決策としては、効果がみられるでしょう。

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  1. 2016年 9月 05日

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