半ば強引に、親から会社を継がされた、という人は私の知る限り意外と少ないと思います。
もちろん、その過程に、いろんなプレッシャーがあって断り切れなかったという事はあったでしょうけど、なんだかんだ言って、自分で決めているのです。
自分なりに頑張っていこうと思い、はじめのうちはがむしゃらにやります。
けどふっと、我に返った時、不安が頭をよぎります。
今の自分は会社の仕事の中のごく小さな一部分でさえ満足にできていない状況。
なのに、総合的に会社の状況を見るなんて、自分にできるのだろうか・・・と。
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がむしゃらに現場の仕事に熱中していられるうちは、まだ幸せなのかもしれません。
現場のことがわかると、人を統べる立場になります。
すると、自分の眼で見て、確認できない部分が出てきます。
私達はそれを、部下の目を通して知り、対処していかなければならないような気がしてしまいます。
自分の立場が、上に上がれば上がるほど、その範囲は広くなり、それに比例して死角も広がります。
見えない部分が増えると、見えないまま現場の問題に対処する必要が出てきます。
そんな時に、私たちは手術用のロボットアームでも動かすかのように社員を動かそうとしたくなります。
しかし、そんなこと、実際にできるわけもありません。
こちらが思っている動きを、社員がきちんと知覚してやってくれるか?といえばそんなにうまくいくものではありません。
多くの経営者が「社員が自ら考えて仕事をしてほしい」と言いますが、それは本当に社員が自分で考えてほしいとは思っていません。
リーダーである自分のように考え、それに沿った動きをしてほしいというのがこの言葉の真意です。
逆に、自分で考え、自分が最善と思う行動を社員がとり始めると、勝手なことをするなーーー!と怒り出すんじゃないかと思います。
本当に現場が自分の考えで動くことを容認するには、リーダーはわりと寛容でなければなりません。
そこで起こりがちなのが、部下が増えるごとに死角が増えていくわけですが、後継者はその一つ一つに自分が「当事者意識」を持ってしまいがちです。
まあ、社会のルールとして、部下が何か問題をおこせば上司はその責任を取らざるを得ません。
そして、それを例えば、部下が5人しかいない今でさえ、常に冷や汗ばかり書いているのに、全社員を従える経営者になんかなれるわけがない、と思うのでしょう。
だから必死に、会社の中に厳格なルールを次々に敷き始めます。
絶対にミスが起こらないように、絶対に問題が起こらないように、ガチガチのルールと罰則で社員に「想定外の動き」をしないように強制します。
しかし残念ながらこういう方法をとると、モチベーションは悲惨なぐらい下がります。
社内はギスギスして、もはや言われた以上のことをしなくなります。
当然効率は下がり、中には会社を辞めると言い出す人が出てきたり、クーデターがおこることもよくある話です。
で、これを防止する方法は何か?と聞かれると、たぶん、選べる方法はあまりありません。
私が言えることはたった一つ。
「ミスや問題はどうせおこるのだから、それがおこる事から逃げないこと」。
なんだか、解決策とは言えない話で恐縮なんですが、たぶんこれが本質的な唯一の方法じゃないかと思います。
そういった覚悟がそこそこできると、できるかできないかで悩むことはけっこう減るんじゃないかと思います。
おこったことには誠実に対応する。
もちろん、とらぶるがおこらないような正当な努力は必要かもしれませんが、そこにとらわれすぎない。
最後は、何をやってもトラブルは起こるんだ、そしてその時にはできる限りのことをするんだ、という覚悟を決めてしまう。
あとは、野となれ、山となれ、です。
心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマンは著書の中でこんなことを言っています。
会社の経営がうまくいくかどうかに、CEOの力量はごくわずかでしか影響してない。
上手く言った企業は、「たまたま」上手くいっただけなのだ、と。
悩み、うろたえるのではなく、どんと来い、という心意気が大事なのかもしれません。
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