後継者

後継者が家業を継ぐときはじめに行うべきこと

後継者が家業を継ごうと会社に入った時、
多くの後継者がある誤解をします。
私自身、その誤解のおかげで手痛い失敗をしました。

社内には、殺伐とした空気が流れ、
社員の大量離職。
「あいつの会社は終わったな」
とまで言われた時期がありました。
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後継者には、どうやら似通った発達段階を経るようです。
まずは実務で能力を磨く。
これがなかなかうまくいかないことが多い。
なぜなら、比較対象の相手が百戦錬磨の先代だから。
そりゃあちょっとやそっとでは、対抗できません。

 

そうすると後継者は焦りモードに突入します。
気は焦るけど、現実は何も変わらない。
イライラするし、気持ちは落ち着かない。
それでも早く、ずーっと言われ続けたある状態にならねばならぬ、
とさらに自分を追い詰めます。

ある状態とは、
「リーダーであれ」
ということです。

 

自分はリーダーでなければならぬ。
そう考えた後継者が何をするかというと、
他人を従わせようとするのです。
社員をコントロール下に置こうとする。

そのためにいろんなルールを作ったり、
給与体系をさわってみたり、
いろんな申請書を作ってみたり、
大企業のようになろうとする。

 

社員をコントロールしようとすると、
後継者の言葉に「上から目線」的発言が増えます。
「社員に”やらせる”」
的な感じですね。

社員にしてみれば、まだ経験の浅い若造が何を言う。
俺たちは先代からやとわれたんだ!
なんて思う古株もいるかもしれません。

 

そんな空気を敏感に察知する後継者。
次にやるのは、先代の排除です。
自分のリーダーシップが発揮できないのは、
先代がいるからだ、と。

なにしろ、自分の知らないところで
先代が勝手にいろんなことを決めている。
後継者である自分を立てることなく、
声を大に叫ぶ先代が悪い。
だから、先代を排除しよう。

結果、先代にこんなことを強要します。
会議に参加させない、
仕事を奪おうとする、
情報を先代に開示しない、
何かと先代に突っかかる・・・などなど。

 

ええ。
これは私がたどってきた道です。

 

けど、はっきり言って、周囲をコントロールしようとしても
うまくいくことはまれ。
どこかでひずみが出て、その傷口は広がります。
「あの後継者にはついていけない」
そう思った社員は、退職したり、
クーデターを起こしたりして、
後継者に抵抗します。

すると、後継者はさらにかたくなになります。
そんな時期、私が頭に浮かんだ言葉は、
「社員なんて交換可能な部品でしかない」
というもの。
これ、人前で言ったらドン引きされましたけどね。
まあ言ってみれば強がりだったのかもしれません。

さて、そんな失敗をやらかした私が、
果たしてどうやって今の状態になったか。
簡単です。
やったことはただ一つ。
社員の話に耳を傾けただけです。

 

マネジメントの問題で、先代と衝突することはあります。
後継者が意図しない発言を先代がすることもあります。
今までは、先代が勝手な発言をすると、
慌ててそれを社員から隠そうとしました。

しかし、今はそんなことは必要ありません。
なぜなら、社員とある程度コミュニケーションが取れてるからです。
社員はたぶん私を信用してくれている。
(私の思い込みだけかもしれませんが・・・)
だから、先代が私と違う話をすると、
ちゃんと報告が来ます。

「会長からこんなことを言われたけど、どうしましょうか?」と。

社員とのコミュニケーションが取れてないときは、
慌てて否定しなければならなかったのですが、
コミュケーションさえまともに取れていれば、
ちゃんと自分の意向がどうかを社員は気にしてくれます。

 

逆説的な話と聞こえるかもしれませんが、
先代をコントロールしたいなら、
先代ではなく、社員とのコミュニケーションを深めてください。
コミュニケーションを深める際は、「話す」ではなく「聞く」です。
そこからがスタートです。
あなたが話すのは、十分な関係性が構築できたうえでやればいいのです。

社内の組織をチーム化することを意識してください。
私の知る限り、それが最短距離の対応です。
社員があなたを信用すれば、
自然とあなたの発言力は増します。

そのために、まずは社員の話を聞く。
それも仕事の話だけではありません。
特に社員の価値観を知る会話をしてください。
これが後継者がリーダーになるために、
一番初めにやるべきことだと思います。

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