経営コンサルティング会社と言えば、最新の経営知見を持っている。
そう考えがちですが、ある経営コンサルティング会社では、
未だ40年前の知見から研修内容がほとんど更新されていません。
その原因は、後継者が創業者の枠から抜け出せないことにあるのかもしれません。
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経営コンサルタントといえば、ある意味人気商売。
創業者は、非常にアクの強い方で、
一部のクライアントからは信者のように慕われていました。
創業社長兼筆頭コンサルタントである親は、
自ら経営コンサルタント業を立ち上げました。
起業する前は、大手企業の営業部長。
社内では鬼軍曹と呼ばれるモーレツ社員でした。
部下を日曜の朝に呼びつけ、
ゴルフの送り迎えをさせる。
そんなことは当たり前で、
仲人を務めたある結婚式では、
牧師に対し「お前はキリスト教を分かってない」
と怒鳴りつけるほどの超個性派。
(ちなみにその方はキリスト教徒ではない)
しかし、仕事のほうは素晴らしい成果を上げていたといいます。
クライアントの株式を取得し、クライアントと本気で向き合う。
当然、クライアントの社長にも、容赦ない檄が飛びます。
その本気度が、クライアントである経営者を引き付けるのかもしれません。
さて、その会社にも、後継者が入社しました。
後継者もまた、ビシビシと創業社長にしごかれます。
誰もその創業者には反抗できません。
それは実の息子であっても同様です。
後継者であるご子息は、まさに創業者の縮小コピー。
いう事はほとんど創業者と同じ。
しかし、創業者が持っていて、後継者が持っていないものがあります。
それは創業者の圧倒的な個性と迫力。
言ってみれば、出木杉君の風貌でジャイアンの言葉を語るというとイメージしやすいでしょうか。
私から見た後継者は、親が持つ押し出し感を言葉だけでなぞっている印象。
早い話が、言葉に重みがないのです。
ある時期、私は後継者にそっとお伝えしたことがあります。
創業者の言葉やコンサルティング手法は、創業者のカラーで成り立っている。
あなたはあなたの道を見つけるべきではないか、と。
もう少し具体的に言うと、創業者のコンサルティングと言えば、
報連相だとか、営業の心構えだとか、
根性論や、新入社員研修のようななかみです。
つまり、古い。
これが創業者が語ると、それなりの重みもある。
しかも、クライアントの会社の社員に対して雷を落としまくり。
だから効果が出るのですが、腰が引け気味の後継者では効果は出にくい。
クライアント企業の発展にコミットするという部分を変えないにしても、
やり方は、後継者なりの、現代的なものを開発したほうがスムーズです。
もちろん、創業者がそれを許さない背景があるのかもしれません。
しかし、創業者がなき今も、創業者の縮小コピーを演じ続け、
会社としては今一つ盛り上がらない(ほぼすべての社員を辞めさせた)のを見ると、
少し寂しい気がするのです。
なんとか自分が食べていくだけなら、やっていける。
そう判断したようにも見えます。
身軽な状態で、仕事への投資は行わず、
逃げ切り人生を選択したのかもしれません。
人として、それも一つの選択だと思います。
自分が納得している状態なら、全く問題はありません。
ただ、それで充実した人生と感じられるのか。
人生のフェイドアウトを徐々に考えているとすれば、
まだ早いようにも思います。
なにしろ彼は私より若い。
親である創業者の亡霊を振り払うことができれば、
まだまだ新たなピークを描ける年齢です。
そのためには、創業者が作ったレールを少し外れ、
視野を広げる必要があります。
周辺視野に映るものを取り込んでいくと、
きっと新しい道が見えてくるように思います。
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