後継者

リーダーシップの誤解

後継者が一番初めに感じる障害。
それは、社員がついてこない、というものではないでしょうか。
親の会社に入社したとき、自分のことを遠巻きに見る古参社員。
彼らは、「お手並み拝見」とばかりに、腕を組む。

後継者にとっては、創業社長を親に持つ事そのものがコンプレックスです。
二代目経営者・後継者はボンボン社長。
そんな風に言われるのですから。

逆風の中、私たちは肩に力を入れて、ガチガチになる。
いいかえれば、頑なと言えるかもしれません。
けっか、社員とのかかわりはより殺伐とし、負のスパイラルに陥っていく。
この状況を脱するにはどうすればいいのでしょか。


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社内に新参者として入る。
後継者は、リーダーであることが義務付けられた人間です。
その業種の仕事を知らなくとも、
家業のビジネスを十分理解していなくとも、
周囲も、あなた自身も、
その組織を引っ張っていくことを期待されている。

そこで後継者はこう考えます。
まずは、自分がこの仕事を誰よりもできるようにならなければならない。
技術、営業、製造、人事、すべてにおいて仕事をおぼえる。
いえ、覚えるだけでなく、長年その仕事をしていた人以上に
その事に精通しなければならない。

もう必死です。
なめられてはいけない。
知ったかぶれば、見抜かれる。
自分が圧倒的なスピードで成長しなくてはならない。

 

そうやって、だんだん苦しくなってくるんですね。
古参社員と肩を並べ、追い越す。
それが自分の役割であり、リーダーシップの根源だと考える。
私自身もそうでした。
おもしろい話ですが、社内でトップになる前提で頑張れば、
5年も頑張ればそこそこいいところまで行くものです。

 

そこで第一ステップを通過したとしたら、
今度は、社員を自分に従わせる必要がある。
それこそがリーダーシップだ、と考えるわけです。

自信が短期間で習得したスキルを振り返り、
「お前たちにもできるはずだ」
とばかりに社員の成長を促す。

しかし、社員は残念ながらついてくることができない。
そもそも、どうもやる気が今一つないように見える。
後継者は檄を飛ばすわけです。
社員を追い詰めていきます。
段々と社内の空気は、冷ややかなものになり、
後継者が口を開いた瞬間、しらーっとしたムードが漂う。

 

それはある日形になって現れます。
辞表を携えた社員が行列をつくったり、
古参社員が先代を抱き込んで自分を追い出しにかかったり、
後継者の言葉を無視するようになったり。

 

そこで後継者は途方に暮れる。
自分はこんなに一生懸命なのに・・・と。

 

 

そんな結果が出来上がるには、ある原因が考えられます。
それは、「リーダーシップに対する誤解」です。

考えてみてください。
リーダーは単独では存在し得ません。
つきしたがうメンバーがあって初めて、リーダーという役割が成立します。
つまり、リーダーを決めるのは、リーダーの能力ではなく、メンバーからの支持です。

その支持を集めるには、何が必要なのでしょうか。
シンプルに言ってしまえば、
メンバーを「人」として扱う、
ということです。

メンバーが単なる「働き口」として会社に所属している以上は、報酬以上の働きをすることはありません。
彼らが動きたくなる状況を作る事。
これこそがリーダーシップの本質です。

とはいえ、それは非常に難しく感じられるかもしれません。
もちろん、上を目指せば切りがありません。
しかし、その入り口を作る段階では、誰でもできることをリーダーが行うだけで十分です。
その誰でもできるのに、意識できていないこと。

そこを知れば、そんなに頑張りすぎない方法は見えてきます。
メンバーの話を聞き、うそをつかず、正直な気持ちを繰り返し発する。
さほど難しいことではないはずです。


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