お客さまのための”階段”を作る 同族経営者の二代目社長が考える営業戦略

先日社内会議で、ある団体における保険の販売について検討しました。
メーカーである保険会社さんは、商品をいくつかピックアップし、こんな案内をしては?と提案します。
パンフレットには、「最大57%割引」なんていう文字が躍っています。

私は即座にダメ出しをしました。
そこには2つの理由があります。
この出来事をきっかけに、今後社内で作るべき営業の仕組について社内で議論を行いました。





こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。

 

やりたくないことで訴求するという過ち

思考停止が生む危うい戦略

私がダメ出しした理由の一つ目は、簡単な話です。
どの業界でもそうですが、ほとんどの場合は価格競争が消耗戦であることは知っています。
値段を下げれば、事業の効率は下がる。
誰もが自分たちの商品を高く売りたい、と考えている事と思います。
当社の社員もみな、価格合戦で負けた時の悔しさをしっています。
保険会社の社員だって、価格で勝つことが自分たちの商品の最大のメリットとは思っていません。

じゃあ、なぜ、お客様に価格訴求をするのですか?

結局お客さまは値段で選ぶ。
私たち自身がそう考えているからにほかなりません。

本来値段で勝つには、値段で勝つための体制をつくらねばなりません。
少なくとも、私たちは最安値を提供できる体制でもなければ、それを目指すべきとは考えていません。

本当に頭を使っているか?

売れないから値段を下げる。
これはもう、脊髄反射としか言いようがありません。
その結果、パンフレットには「最大57%割引」をデカデカと掲げずにはいられないわけです。
値段競争は避けたいのに、価格訴求をするというジレンマ。
逆に言うと、価格でつながったお客さまとの関係は、価格で切れてしまいます。
誰もがわかる当たり前の方程式から、私たちの思考は抜け出ていないのです。

じゃあどうすればいいのか。
お客さまが価格のみを注視しているという前提であれば、何の代案もありません。
しかし、実はお客様自身も自分が本当に求めている事はわかっていないことがほとんどです。
有名な話で、アメリカの高級車キャデラックの事例があります。
世界大恐慌の際、破産寸前だったGM社が息を吹き返したのは、こんな考え方に至ったからだと言われています。

お客さまは移動手段としてキャデラックを買っているのではない。お客様が購入しているのはステイタス。
ライバルは、ミンクのコートやダイヤだ。

こういった形で、お客さまの購買心理を理解してからは、GM社は急成長を遂げることになります。
じゃあ、私たち、そしてあなたの事業で、お客さまは何を購入しているのでしょうか?
家業である会社では、これを探る会議を毎週行っています。

自分ならやらないことを求める過ち

いきなり3階まで来てください?

さて、このプロジェクトでは、いくつかの波状攻撃を行います。
その一つが、その団体が毎月配布する会報誌へのチラシの封入です。
確かに、会報誌に封入される資料は、普通のダイレクトメールに比べて見てもらえる確率は高まります。
しかし、そこにパンフレットを入れて反応があるのか?といえば残念ながら難しいでしょう。
私の家業は保険屋さんをやってますから、商材は保険。
保険のパンフレットを見て、喜び勇んで問い合わせをしてくるお客さまの姿は想像がつきません。
そこでひと工夫必要になります。

特に、日ごろから「欲しい」という欲求のない商品を、パンフレット一枚で問い合わせにつなげるというのは至難の業です。
自分がお客さんの立場なら、よほどのことがなければそんな行動は起こしません。

普通の営業なら、お客さんと関係を作り、ニーズを聞き出し、それに応じた提案をするわけですが、それもなしに、いきなり商品の問い合わせをください。
そういっているようなものですね。
階段を用意せず、いきなり3階まで来てくださいと言っているようなものです。
必要なのは、ハードルの高い3階に至るまでの”過程”が必要なのでしょう。

一段一段ステップを用意する

そこで検討したのが、今まさにお客さまはどんなことを解決したいか?です。
いいかえれば、喉から手が出るほど欲しいものは何か?です。
以前のブログにも書いてますが、ここでは「予防」ではなく「治療」を提供することで出会いを作り出す事にフォーカスしよう、と提案しました。
(「予防」と「治療」の比喩について詳しくお知りになりたい方は、こちらの記事をご参照ください。→後継者が会社を変化させる全過程6【社内会議リアルタイム実況】

そこで封入するチラシの役割として、お客さまの連絡先情報を得ることにフォーカスしました。
ひとたび連絡先情報を得られれば、後のコミュニケーションが可能になるからです。
そして提供するのは、情報です。
経営に役立つ情報を毎月お届けする、無料情報会員制度へのお誘いとすることにしました。
登録特典として、「中小企業が明日からできる3つのコスト削減策」みたいな小冊子をよういしよう、と。

これが階段の一段目です。
毎月の情報提供が二段目。
登録いただいたお客さまには毎月、当社からの会報が届きます。
これで関係づくりを行い、三段目として具体的な提案へ導く。
そんな流れをつくろう、という事になりました。

こうやって関係づくりを行いつつ、リアルなセミナーを行う。
一発勝負でなく、細くとも継続的にお客さまと関係が繋がっていて、何度も提案の機会を得る仕組みを企画しました。

無理なく階段を上っていただく仕組み。
こういった事は、なかなか営業の現場からは出にくいアイデアです。
こういったアイデアを提案するのは、やはり後継者なのではないかな、と思います。

個人のスキルに頼る方が難しい

こういった仕掛けを作るのは、面倒だ。
いっその事、営業社員にセールス電話をかけまくらせた方がいいのではないか?
そう考える方もいらっしゃるでしょう。
そうすれば、確かに手っ取り早く成果につながるかもしれません。

しかし、同じスクリプト(電話などで話す際の台本)を使ったとしても、人によって結果はまちまちです。
つまり、こういった営業は個人の技量です。
それを確実に高める教育システムを持っている中小企業がどれほどあるでしょうか?
恐らく皆無ではないでしょうか。

人を育てるのは、実は最も大変なことだと感じています。
それを投げ出してしまえと言っているわけではありませんが、それよりはこういった仕組みの構築の方が早いはずです。
特に、永続的な営業戦略を考えるとするなら、人は常に入れ替わるものですから、会社としての仕組は持ちたいものです。
その上で、人の教育を積み上げていくのが、効果としては出やすいのではないでしょうか。

仕組み思考の中で生きてくる人がいる

今までの仕事とこれからの仕事

家業の保険屋さんは、総勢8名ほどの小さな組織です。
ここでやっているのは、
●営業
●事務
の基本二種類の仕事です。

ただ、実際には営業に配属されているけど、営業に不向きな人間がいたり、
事務に配属されているけど、事務より得意な分野がある人間もいます。

それを単に営業と事務の役割をひっくり返せたら楽なのですが、実際はそれほど単純でもありません。
そんな時に、
●営業(クロージング)
●マーケティング
●事務
と分けると、事務をやりながらマーケティングに携わるといった配置も可能になります。
新しい仕事の役割を社内に作る事で、社員一人一人の特性を活かす場所も増えます。

よくよく見直すと、
●人員を減らせる仕事(もしくは兼務でできる仕事)
●本来は分離して行ったほうがいい役割
など仕事の配分は変えられる可能性は意外とあるものです。

そういった事から、より社員の強みを生かせる場所を作るのも後継者としては考えたいところの一つではないかと思います。

このケースは現在進行形ですから、上手くいくとは限りません。
しかし、単に価格訴求をするとか、単に人海戦術で営業をするとかより、中長期的に見ると会社にとっての大きな財産になる仕組みになりえるのではないかと思います。
後継者は、今の売上も大事なのですが、未来の売上を作る事をイメージするのが大事なのではないかと思います。
常に社員とコミュニケーションをとりながら様々なパターンを試してみてはいかがでしょうか。

小冊子無料ダウンロードはコチラ
Fecebookページに「いいね!」をお願いします。

 

関連記事

  1. 社内の電話をすべて聞いている人、聞いていない人 兄弟経営の難しさ

  2. スポーツチームは簡単に一体化するのになぜ会社組織はバラバラなのか~親子…

  3. ”内向型”後継者が疲弊しないための戦略

  4. 受け入れられない現実にどう対処するか?~同族企業の二代目の学び方

  5. 物語から学ぶ後継者の振る舞い

  6. 社員が後継者についてこないときのチェックポイント

  7. 後継者の「経営者の器」を満たすたった1つの資質

  8. 後継者があるタイミングで迫られる決断とは?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ツールバーへスキップ