後継者

後継者が事業承継で言語化すべき、会社のWhyとは?

白状します。
「スマホで一日1時間で年収〇千万円!」
私、こういうキャッチコピーに弱いのです。
ついついクリックしそうになってしまいます。

私は長い間、手っ取り早く稼ぐことができるノウハウを求めてきました。
しかし、それを追い求めているだけでは、社員はついてこないのではないか?
そんな思いを強くしています。


私の著書です。

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親の会社を継ぐ技術

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私は、ある時期から、様々なノウハウをむさぼるように学び始めました。
その理由は簡単で、手っ取り早く、圧倒的な結果を出して認められたい、という思いからでした。
しかし、ある程度ノウハウフリークの状態を続けていると、なんとなく見えてくることがあります。
それは、努力なしに上手くいくことなどない、という事です。
ノウハウ自体は有効です。
しかし、それを習得するには試行錯誤が必要で、先代の手前失敗したくない私はがっかりするわけです。
「ほら、また上手くいかなかった。だからわしの言う通りやれ!」
と言われることにびくびくしながら、新しい事、失敗しない事をもとめる日々がありました。

 

さて、そんな自分から少し視点を変えて周囲を見回すと、意外と同じ考えの経営者が多い事に気付きます。
手っ取り早く、同業者と同じことをやってみよう、同業者で上手く行った事例を真似しよう、という人がとても多いのです。
これをひとくくりにしてしまうと、What、つまり「何をするか?」にフォーカスされているのではないかと思います。
核ともいえる本質に手を入れることなく、表面的な行動だけを真似している状態です。

 

ある時期から、世の中では
「企業は、ストーリーを語れ」
と言われるようになりました。
正直、初めてこの言葉を聞いたとき、なんのこっちゃ?という感じで、疑問符が頭の中を泳いでいました。
ただ、最近になって、そのことがなんとなくわかるようになってきたんです。

 

Whatを追い求める状態というのは、たとえば、ギターリストならそのテクニックを追い求めることに似ているかもしれません。
いかに早く弾くことができるか、いかに難しいテクニックを駆使できるか、そんな事に注目しがちです。
しかし、単にうまい演奏ができる人でも、そこに心がなければ世間には受け入れられません。
むしろ、へたくそでも心のある演奏が人の心を打ちます。

 

恐らく、企業にとっては、その「心」こそがストーリーなのではないかと思います。
そしてそれは、企業の原動力になります。
少し前に『プロジェクトX~挑戦者たちへ』というドキュメンタリーが話題になりました。
企業が、独自の商品を作り出す過程を描いたテレビ番組でしたが、当時一世を風靡したのを記憶している方もいるかもしれません。
これこそまさに、企業の物語ではないかと思います。

 

わかりやすい例を出すと、スターバックスです。
スターバックスが目指すのは、「第三の場所」を提供する事だ、と言われているのはよく知られています。
会社と自宅以外の三つめの場所です。
実は、スターバックスをここまでの成功に導いた、ハワード・シュルツは貧しい家庭に生まれたそうです。
子供時代には学校と自宅を往復する日々ですが、学校も、自宅も、様々な人との関係から100%自分の時間を過ごすことができなかったようです。
彼にとって最も落ち着く第三の場所は教会だったようです。
この教会の役割を果たす、自分のための贅沢な時間を過ごす場所を提供しよう、という事を目標にしたのがスターバックスだという事だそうです。

 

こんな話をきくと、なんだかスタバの見方がかわりませんか?
恐らく従業員の人たちも、こういった物語を知ることで、会社がどこへ行こうとしてるかがすっと入ってくるのでしょう。
いろいろと調べてみると、急激に成長してきた企業の多くは、こういった物語をしっかりと持っています。
日本でも、パナソニックは創業当時「水道哲学」と言われるものがその下地になっているのは有名な話です。
社員をまとめ、お客さんに伝えるにおいて、このような”物語”は非常に強力なようです。

 

つまり、What(なにを)の前に、Why(なぜ)するかが社内外に明確なのです。
これがいわゆる、企業のコアバリュー(核となる価値観)というものにつながってくるのでしょう。
そういう視点で、近しい企業を見てみたときに、この「なぜ?」が明確でない企業が非常に多いのです。
とはいっても、なぜ?という理由がないわけではないのです。
もともと、創業者が起業するときには、何かしらの想いがあったからこそ、起業したし、今の事業を選んでいるはずです。
ところで
「先代と後継者はコミュニケーションを取るべし」
と語るコンサルタントは星の数ほどいますが、そこの奥深くにあるWhyを語る人は少ないように思います。
なぜ、先代と後継者がコミュニケーションをとる必要があるかといえば、会社がなぜこの世の中に存在すべきかを明確にするためには不可欠だからです。

 

さて、創業社長の場合、一定の想いをもって起業するわけですからWhyはある程度明確なわけです。少なくとも自分の中では。
しかし、長い社歴の中でその思いは埋もれてしまって、結果としてWhatばかり追い求める空気に支配されてしまいます。
それを掘り起こし、後継者の想いをミックスして、時代に沿った形で紡ぐ物語を、少し意識してみてはいかがでしょうか。
実は後継者がこれを考える事は、自分がなぜ会社を継ごうという立場にいるのかを含めて考える、非常に深い作業になるのではないかと思います。
すぐに答えの出ない話かもしれませんが、それを問い続ける事で見えることがあるのではないかと思っています。

 

じゃあ、私はどうなのか?と聞かれると、何年もこの問いを自分に問いかけてきました。
何年も何年もかけて至った結論は、保険というものが不要になる世の中を作る事こそが私たちが担う役割だと思っています。
まだ社内にも浸透していません。はい、道半ばです。
それが正しいかどうかはわかりませんが、当面はこの物語を語り続けると思います。


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