創業者の引力、後継者の引力

多くの場合、創業社長にはカリスマ性があります。
独特の存在感と、どっしりした重量感。
一方、後継者はどこか軽い。
その違いはどこにあるのでしょうか?






こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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様々な経営者の方とお話をしていて、感じることがあります。
それは経営者は独特の雰囲気というか、オーラをまとっている事が多い。
その背景にあるものは何なんでしょうか?

 

私は、そのオーラの構成要素の一つは「自信」だと思っています。
ときに、これまでの経験を反映した自信。
ときに、根拠のない自信。
ときに、勘違いの自信。

 

一般の社員からすると、
創業経営者に意見することがはばかられる雰囲気
をカリスマと呼んでいる気がします。
以前、
後継者が社員からの尊敬を受けるための3つの戦略
という記事でご紹介したカリスマとは少しイメージが違います。

 

 

良くも悪くも、親世代の経営者は信念を持っています。
この信念は、言葉を変えると固定観念です。
ここで、固定観念の意味を確認しておきましょう。

Wikipediaによるとこう解説されています。

固定観念(こていかんねん)は、固着観念(こちゃくかんねん)とも云い、心理学の用語で、人が何かの考え・観念を持つとき、その考えが明らかに過ちであるか、おかしい場合で、他の人が説明や説得を行っても、あるいは状況が変わって、おかしさが明らかになっても、当人がその考えを訂正することのないような観念を指す。

 

人の意見で動かない様子がなんとなくイメージに合致しないでしょうか?

 

こういう書き方をすると、先代の持つ信念(固定観念?)は、悪者のように見えます。
しかし、これがなければ、ゼロから会社を生み出すパワーは得られません。

 

先代の創業当時の事を想像してみてください。
恐らく、多くの人が起業を反対したでしょう。
うまくいくわけない、と真っ向から否定した人もいたでしょう。
アイツも終わったな、と影で笑われていたかもしれません。
もしかしたら家族からの応援さえなかったかもしれません。

その中で、やると決めてやり抜いてきた。
だから今があるわけです。

 

これは人の意見を聞き入れないガンコさというより、
人の意見が耳に入っていないという印象のほうが強い。
聞いてるつもりで、聞いていないのです。

自分で機関車のように会社を引っ張っているときは、この特質がうまく機能します。
これこそが、創業社長の持つ一種独特の雰囲気の正体ではないでしょうか。
一方で、問題もあります。
よく、売上10億円の壁といわれるものがあります。
中小企業が売上10億円を前に、成長が失速してしまうという「あるある」です。
それはまさに、人の意見を聞き入れず、
すべて自分でやってしまうという
創業社長にありがちな個性に原因があるようです。

 

この特性は、事業承継にも深く絡んできます。
創業社長は人の意見を聞き入れる準備がないわけです。
つまり、自分の思考の範囲外の事に関心を示しません。

それに対して、後継者は対照的です。
自分でやるのではなく、社員にやってもらう。
共同で組織を作っていく。
後継者の考えは、こういった方向に振れることが多い。

 

これは、10億円の壁を破る可能性を持つ思考だと思います。
しかし、その思考は先代には理解されません。
多分、耳に入ってはいるのですが、
その意味をかみしめる習慣は先代には、ない。

 

さて、ここで不思議な事があります。
ベンチャー企業の多くは、創業時の苦労は同じようにあるはずです。
一定規模になるとCEOは、すんなりと役割を変えているように思えます。
現場にこだわっているCEOはたくさんいますが、
現場だけでなくきちんと経営という仕事にシフトしています。

 

この違いは、会社の目的がどこにあるか?が違いではないかと考えています。

 

今、60歳代、70歳代の創業経営者の起業のきっかけはどんなものでしょう?
たとえば、当社の場合、父はサラリーマンをしていました。
しかし、学歴社会の中では、自分の学歴では出世は見込めない。
そんな折、鬼軍曹と呼ばれた直属の上司が、コンサルタントとして独立しました。
それに引っ張られるように、父が独立したのが当社のスタートです。

自分の将来の不安や不満を遠ざけるための起業だったようです。

 

一方、最近名をよく聞くベンチャー企業の多くは未来に悲観したからビジネスを始めたという話はあまり聞きません。
自分のアイデアを世に問いたい、社会を変えたいとかいう純粋な希望をそこに託しているように思います。
私たちの耳に入る情報は美化されている可能性は高いですが、
まったくのデタラメではないのでしょう。
自分の立場を確立するための起業と、
自分のアイデアを世に問う起業。
ここに大きな違いが見えるような気がします。

 

実は、よく観察してみると、先代の言葉のほとんどはお金の話です。
売上、資金繰り、報酬、仕入れ・・・。

創業経営者の目に見えるのは、現実としてのお金の問題です。
企業にお金が枯渇すると、会社は終わりです。
ですから、それを常に意識においておくのは正しい考え方でしょう。

一方、後継者はどうでしょうか。
あるコンサルタントの方が後継者の共通点を
「後継者の方は稼ぐことに対する執着が低い」
とおっしゃっていました。

この言葉が本当だとすると、後継者が自分の会社に期待するのはお金ではない。
もちろん、たくさん収入があるに越したことはありません。
しかし、お金のために働きたいと思っている人は意外と少数派ではないでしょうか。
こういったお金に対する捉え方が、親子のギャップの象徴的な部分なのかもしれません。
親が子を頼りないと評する原因であり、
子が親を受け入れられない原因の一つでもあるのではないでしょうか。

こういったお金に対する捉え方の違いが生じる原因は、
しかしたら先代経営者への反発なのかもしれませんし、
世代のギャップなのかもしれません。
いずれにせよ、この価値観の違いは結構大きいと言わざるを得ません。

 

ところで、後継者の持つべき引力は、恐らく先代のような「意見を聞き入れないガンコさ」によるものではないでしょう。
お金を得るために働こう、というプロパガンダでもない。
つまり、ここを真似してしまうと、厄介なところへ行ってしまいます。
じゃあ、どうするのか。
それは、社員が共感できる会社の存在意義を明確にする事ではないか、と思うのです。

あなたの会社がどんな使命をもってこの世の中に存在するのか。
これを示すことこそが、後継者がもつべき引力ではないでしょうか。

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