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創業者と後継者の確執を防止する、あり得ないくらい簡単な方法(1)

事業承継において、時限爆弾のようにあるタイミングで爆発するのが、創業者と後継者の確執です。
これは、双方の心の動きを注視していなければ、ある日突然湧き上がった事のように見えるかもしれません。
しかし、現実は、長い年月をかけて積もり積もったものが、臨界点を超えて爆発したものであることが多いと考えられます。

いわゆる、我慢の限界です。

さて、これを防止することは、出来るのでしょうか?
残念ながら100%防止するというのは難しいかもしれません。
また、程度の問題でもありますが、両者の対立は、子供が成長する過程における反抗期のようなものである事も多いと考えられます。
ですから、なければ良い、と単純に考えることはできません。

ただ、一定の意思疎通を行う事で、かなりの確率で深刻な状況を避けられる方法があるとすれば、試してみたいと思いませんか?

知らず知らずのうちにやってしまっている事

このホームページ内で、事業承継の目的を明確化しましょう、という話は何度かさせて頂きました。
但し、それは、多くの場合「表」の目的です。

ところで、人の行動の多くは無意識に支配されています。
例えば、自動車を運転するとき、「ミラーを確認して、ウィンカーを出して、ブレーキを踏んで、ハンドルを操作して・・・」という動作をいちいち確認する人はいないでしょう。
これは、無意識が仕事をしている、と考えられます。

ぼーーっと考え事をしながら運転していたら、気が付いたら目的地に到着した、という経験をされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
また、「つい、うっかり」という事も、無意識の仕業であることが多いでしょう。

さて、厄介なのは、「無意識」の行動は、当然ながら自分では認識できない事が多いのです。
この無意識の行動が、時として、親子間の確執の問題を積み上げていってしまう事があるのです。

なぜ、無意識が問題を作るのか?

日頃、社内で交わされる会話。
また、部下への指示。
いずれにおいても、一言一句、注意を集中させて発していることは、そう多くはないでしょう。

もちろん、意識してさえいれば、後継者に対して、また創業者に対して、問題を起こすような発言など、恐らくしないでしょう。
多少なりとも、相手を思いやる気持ちがあるものです。

しかし、無意識に出る言葉は、相手の事はお構いなしに、自分の都合だけで発言されるものです。
「いやいや、口に出して困るようなことは、頭の中にもないよ。」
そうおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、おっしゃる通りなのかもしれませんが、それはあくまで意識上の話です。
無意識の世界では、じぶんも考える事のないような思いが潜んでいることがあります。

 

例えば、代がわりにおいて、事業を継ぐ立場の人間にしてみれば、
●親から引き継いだ会社を盛り立てよう。
●今ある状況の中で、頑張ろう。
そんな思いを持っているでしょう。

しかし、一方で「裏の欲求」がある事が多いのです。
例えば、後継者の場合、
●親の会社なら、少しは楽できるかも。
●自分が代替わりで社長になったら、もっと給料を取って贅沢をしよう。
●うるさい上司の小言を聞くこともなくなる。
●代替わりをすることで、自分は社長の地位を持つことができる。
といった、なかなか公に口にすることの難しい欲求があるのではないでしょうか。

創業者においても、
●今の社会的地位を手放したくない
●自分から仕事を奪われたら、何も残らない(会社に居座らなければ・・・)
●会長に退いて収入を減らすのは嫌だ
●後継者がちやほやされて、じぶんにはだれも見向きもしなくなって寂しい。
など、といった事が考えられます。

無意識の行動の多くは、こういった「公にされない事業承継の裏の目的」によって表出します。
すると、「言ってることとやってることが違う!」という事になります。
1度や2度であれば我慢できることが、慢性的になってくることで、だんだんと相手は嫌気がさしてきます。
こういったことの積み重ねが、重い確執を親子間に気づきあげることが結構多いように思います。

回避策は?

そこで、どのように回避するか。
単純化すると、次の三つのステップに沿って行う事になります。

  1. 自分の持つ裏の欲求を明らかにする。
  2. その裏の欲求を自分が持っていることを自覚する。
  3. 親子双方の裏の欲求を共有し、認める。

というものです。

ステップ3については、タイミングを計る必要もありますが、1と2については、自分でできる事です。

とはいえ、隠れた欲求ですから、なかなか自分では自覚できないものです。
これを表面化させる具体的方法については、次回にご案内したいと思います。

 

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  1. 2015年 5月 22日
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