後継者

脅威と感じるか?機会と感じるか?~後継者がもっておきたい「普通」の感覚

AIの進歩でなくなる仕事。
ある論文で具体的な職種が発表されているわけですが、それを脅威と感じる人は少なからずいるようです。
そこで、その論文を否定する情報を見つけるとホッとする。
なんだか、そんな事を繰り返してると嫌になるものです。
わずかに残った楽園を見つけることはできるのでしょうか?




中小企業二代目サポーター
田村薫です。

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AIに奪われる仕事として名指しであげられた職業につく人の反応は大きく三つに分かれるように思います。
一つ目は、反発。
自分がやっている仕事はそれほどに単純ではない。
だから、機械なんぞにできる訳がない。
品質を維持するには、人がかかわることが必要だ、という意見。
こんな世の中は間違っていると声を上げ、批判する。

二つ目は、落胆。
このままいくと、自分の仕事はなくなるのか。
何とか逃げ切らないと・・・。
自分の残りの人生を計算し、最先端テクノロジーが浸食してくる所から逃げ惑う。
このカテゴリーの人は、具体的な対策をとるわけでもなく、ぼんやりと世の中の変化に埋もれてしまうか、どこかでリーダーシップを発揮する人についていくというのもあるかもしれません。

三つめは、強がる。
変化はチャンスだ!とばかりに前向きな自分を演出する。
一見前向きなのですが、現場に戻るとやることは今までと変わらない。
自分を奮い立たせようとするものの、どこへ向かっていいかはわかっていない。

 

あらあら、結局どれも良い方向ではない感じです(笑)

 

私たちは、なぜ人工知能や、システム・機械化が怖いのでしょうか。
実は、今自分たちのやっている仕事が、同じことの繰り返しであることに心の奥底では気づいているのではないでしょうか。

産業革命以降、世界中の企業が効率化を進めてきました。
製造業はベルトコンベアで商品を流し、部品を各担当が組み付けていく。
サービス業では、完璧なマニュアル化で、人をシステムの中に組み込んでいく。
そして、中小企業もまた、それを模倣し、システマチックに仕事をこなそうとしてきたわけです。

つまり、ほんのちょっと機械が賢くなれば、いつでも機械にとってかわられる仕事を生み出し続けてきたわけです。
いいかえれば、機械化するために人の行動を制約してきた。
人が個性を発揮することのない仕組みを、大企業を見習って作ってきた。
つまり、私たちは、機械が会社を運用できるような仕組みを作ってきたわけです。
私たちは、その部品に過ぎない・・・という現実があります。

 

それは経営者とて同様です。
あたかも「自由」を謳歌しているように見えて、ずいぶんと制約されています。
社会の仕組みの中で、決まりきったパターンで製造し、販売し、フォローする。
30年も、40年も、商品の改善や仕事の仕方の変化はあったとしても、基本的な動作としては同じことを延々と繰り返してきたわけです。
それは無理もないのです。
うまくいっているときは、余計なことを考えるより、同じことを繰り返すほうが賢い。
そこで、リスクをとって違う事をやるなど、合理的に考えればあり得ない話です。

なにより、同じことの繰り返しは、楽なんです。

 

しかし、一方で、同じことの繰り返しは退屈です。
退屈だから機械に任せればいい。
課長が部下に権限移譲するように、そんなたいくつなしごとは機械に任せればいい。

よく考えてみると、昨日自分がやっていた仕事と、今日やっている仕事、どんな違いがあるでしょうか。
商品や顧客を入れ替えただけで、基本的にはやってることは同じ。
そんな感じではありませんか?
だとすると、その仕事、いずれAIに任せるべき仕事なのでしょう。

最近、「ワクワクすることをやろう」「好きなことで稼ごう」という話をよく耳にします。
私は大賛成です。
どこかフワフワしていてけしからん、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、面倒なことは機械がやってくれる時代がすぐそこまでやってきているわけです。

そこで、今までと同じことをやり続けるということに固執すれば、それは脅威です。
今、目の前にある仕事が奪われるのですから。
けど同じことをやり続ける退屈さにうんざりする人には、これは福音以外の何物でもないですよね。
本当は、これこそが「普通」の感覚ではないですか?

 

主婦が、掃除の手間を省けるロボットがあるなら、
「私の掃除という労働を奪わないで!」
なんていう人、あんまりいないと思います。

なのにビジネスにおいては、
「自分の仕事を奪わないで!」
という恐怖をおぼえる。

その理由の一つは、私たちは「考える」ということを怠ってきているのではないかと思うのです。
実は今までは、考えることなく経営ができた時代。
そしていまからは、考えることなくして経営できない時代。
この転換点を時報のように告げてくれているのが、AIによる社会の変化ではないかと思います。
経営者のスタイルも、必要とされるスキルも、リーダーシップの在り方も、大きく変わっていくでしょう。

ところで、今私がとても関心を持っていることが、世界最古の企業である金剛組がなぜ1400年も会社を維持できているのか、ということです。
どうやらこの企業の強さの秘密の一つは、「考えさせて」社員を育てているというところにあるように思います。
つまり、システム化した組織とは真逆の社員育成法です。
ゆとりがなければできない社員育成法。
考えようによっては、煩雑でスピードを要する作業はAIが担い、社内の人材をじっくり育てる時間を作るカタチができれば素晴らしい会社にもなりそうです。

AIの台頭は、実はそんな機会を私たちに提供してくれているのではないでしょうか。

 

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