後継者

グラフの行方~今の心配と未来の不安 後継者が知っておきたい心理学

後継者の立場でいると、いくつもの悩みや不安で押しつぶされそうになることがあります。
あっちに行っても手詰まり、こっちに行っても手詰まり・・・と、まるで小さな檻に閉じ込められたような感覚の中で息苦しい思いをすることもあるでしょう。
その息苦しさの原因を分解すると、実は、今心配する必要のないことを心配していることもあるのではないでしょうか?


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ちょっとしたお遊びですが、以下のグラフを見てみてください。

down

右斜め下に降りる青いグラフ、果たしてこの先はどうなるでしょうか。
少し考えてみてください。
何のグラフか?とか、単位はどうか?とか難しく考えず、感覚的な答えでOKです。

 

 

多分、普通の感覚なら、こんな感じをイメージされるのではないかと思います。

down2

 

下がりつつある傾向を見て取れば、さらに下がり続けるのが普通の感覚だと思います。
こうなるのが、なんとなく自然な感じですよね。
(中には、超ポジティブで全く違うイメージをされた方もいるかもしれませんが・・・)

 

さて、これが例えば御社の売り上げグラフだったりしても、やはりこう思うでしょう。
数か月売り上げが落ちているからこのままでは先が心配だ
となるわけです。
では、このグラフが会社の売り上げグラフではなくて、あなたに降りかかる出来事に対する感情だったとしましょう。
売上はじりじり落ちている。→1ポイントダウン
しかも、社内での立場はあまり良くない。→さらに1ポイントダウン
今日は先代の行動に腹が立った。→さらにさらに1ポイントダウン

一つ一つの問題はさほど大きな問題ではない(たった1ポイントの問題)のに、複数の小さな問題が短期間で重なると、気分のグラフは3ポイントもダウンです。
そうすると、その先にもまた、気持ちをダウンさせることが起こるに違いない・・・
そんな未来予測を無意識にして、これから起こるかもしれない(けど起こらないかもしれない)問題への不安がさらに気分をダークにさせます。

現在を青いグラフとオレンジのグラフの境目だとしたとき、現実はこの境目部分のはずなのに、オレンジのグラフの部分まで気になって落ち込んでしまっている状況ではありませんか?

 

そんな時には、すかさずカフェなどで一人になって、紙ナプキンに気がかりなことを思いつくまま書き付けてみてください。
そして、その内容をざっと見渡してみて、今すぐ対処しなければならない事には赤ペンで、今心配しても意味のない(状況が変わることがない)事には黒ペンでしるしを付けてみてください。
きっと、赤ペン部分に対処すれば、黒ペン部分は消えてなくなるものが多い事に気付くのではないでしょうか。
少なくとも、少しばかりは気が楽になり、やるべきことが明確になりやすくなると思います。

 

ところで、未来の心配事というのは、本来は「こうなるかもしれないから、早めに対策を」というサインを脳が出しているのです。
しかし、人間というのは複雑な生き物で、今すぐ強烈な痛みを感じない事ではなかなか動き出せません。
多分、あなたの業界でも、利益率はピークの半分近くまで落ち込んでいるとか、そこまでいかずとも、値下げの圧力や競合との競争で、毎年利益率が落ちてきている、という話は普通にあると思います。
さらに、未来にわたってその環境が良くなるか?悪くなるか?と聞かれれば100%に近い確率で悪くなると答えざるを得ない状況ではないですか?

とすると、今の悩みに目をつぶり、何もせず傍観者を決め込んでいると、無意識に行う右下下がりのグラフが現実になります。
下がり続ける利益、経営環境の悪化は、今後も続くし、常識的に考えれば、そこからあなたやあなたの会社を救ってくれるような手がどこからか差し伸べられるなんていうことはないでしょう。
そんなことはわかっているはずなのに、経済情勢や、業界動向や、政治の行方を一生懸命追って安心材料を探してみたり、政治が悪いとか景気が悪いとか、社員が悪いとか評論してみてるわけです。
自分の責任ではないと言い聞かせる理由を探してしまうんですが、仮に責任逃れをしたところで、今も、未来も、苦しむのは自分です。

 

結局、八方ふさがりなわけですが、右肩下がりのグラフを変えることができるとすれば、やはり行動でしかありえないわけです。
そして、自分の会社ではまず誰が行動するんですか?と問いかけたとき、やはりその役割は後継者のあなたにあるのではないかと思うのです。

さて、ここでもう一つのグラフを見てみてください。

down-up

絵にかいたようなV字回復ですね。

 

このグラフが、売り上げであれ、あなたの感情であれ、見て頂きたいのは青とオレンジの境目以降は物事が改善しているという事です。
何が言いたいかというと、境目である現在に「流れ」を変えることができれば、未来の心配はかなり軽減するのは明白ですね。
どうせ八方ふさがりなら、正面からぶち当たるのが結局は一番お得なようです。
誰でも知っている当たり前のことをグラフに現しただけですが、やっぱりこのV字の底がとても重要なポイントなわけです。

そのV字の底を決定するのはあなたです。
面倒で向き合いたくない問題が山積かもしれませんが、そこにぶつかっていくことで、今の悩みが崩壊するだけでなく、未来の不安も解消する可能性があるわけです。
なにか始めなければいけないなぁ・・・
このままではいけないなぁ・・・
そんな言葉が心に浮かんでは消える状態だとしたら、それはいつなのでしょうか?
それを決めるのは、先代でもなければ、世の中の情勢でもありません。
あなた自身ではありませんか?

そこさえ超えれば、その先に見えるのは、右肩下がりではなく右肩上がりのグラフのはずなのですから。

 

今のあなたの選択が、未来を作るのです。


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