専門性の高い仕事ほど、その正常進化の方向性は「より高い専門性と技術力」と考えがちです。
たとえば、私の家業は保険代理店ですから、やっぱり「高い専門性を目指せ」というのが同業他社の基本スタンスです。
私も若いころはそんなことを考えたひとりです。
しかし、お客様の満足度アンケートを取った時、衝撃的な事に気付きました。
自分の考えはまったく間違えていたことにショックを受けてしまいました。
何がショックだったか、気になる方は、続きを読み進めて頂ければと思います。
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そのお客様アンケートの内容は、お客様に自由に書いていただくタイプのものです。
質問は、「数ある同業者の中で、弊社を選び続けて頂ける理由はどんなことがありますか?」という質問。
・迅速な対応で安心できるので何でもお任せしています
・丁寧な仕事に安定感がある
・気軽に相談できるのでありがたい
どれもうれしい言葉です。
はじめのうちはこの相談ににんまりしてたのですが、ある時、その意味を知って背筋が寒くなる思いをしました。
どういうことかというと、これはどれも「あたりまえ」のことであり、できなければ叱られるレベルの話ではないでしょか。
つまり、どこかと比較していいというよりも、特に問題がないから取引を続けている、というレベルの話ではないかと思ったのです。
冒頭でお話したとおり、私たちの業界は高いプロフェッショナリズム、専門性を売りにしたいというのが多くの人の考えです。
しかし、実際のところは、その専門性に恩恵を感じているお客様は非常に少ないという事です。
このミスマッチに気付いたとき、ゾッとしました。
専門性へのベクトルは、仕事の種類上一定レベルはクリアすべきであるの当然ですが、お客様とのつながりの決め手にはならない、という事に気付いたからです。
これは例えば、歯医者さんなんかの口コミサイトを見てもよくわかります。
書き込みがある場合、だいたいしか技術ではなくて、やさしいとか、痛くないとか、説明がちゃんとしてるとか、そういったところが評価ポイントです。
たまに「上手い」という人もいますが、この人は何をもってうまいと言っているのか、怪しいものです。
素人は歯医者さんの技術を正当には評価できないから、結局はわかりやすい感覚で物を言いがちです。
そういったときに私たちはどう対処するか、なんですが、プロである以上一定程度の知識や技術は必須です。
だからこれをおろそかにすることをお勧めするつもりはありません。
しかし、一定程度、お客様への感情的な接点をどう増やし、維持していくかが大きなテーマになるはずです。
業種によって、多少の違いはあれど、基本的にはこの考え方、的を射てると思います。
後継者においては、けっこう一途に何かを追い求める傾向があろうかと思います。
そういったときにいったん立ちどまり、周囲を俯瞰してみることは大事かもしれません。
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