後継者がビジネススキルを高めても事業承継がうまくいかない理由

本来、後継者が経験を積み、ビジネススキルを身に着けると、会社としては良い状態になるはずです。しかし、実態はどうもそうとも言えないようです。
社内では、異質なものを排除するかのような、いわば”免疫反応”のようなものが発生します。後継者が理解すべきは、どうやらビジネスのノウハウ・スキルだけではないようなのです。

後継者の多くは、勉強熱心です。自分の知識の不足を何とか補おうと、様々な方法で知識の習得を試みている方は少なくないでしょう。そうではないにしても、今の会社のままでは今後立ち行かなるのではないか?という思いから、会社を如何によくしていこうかを常に頭に置いているのではないかと思います。
しかし、現実は残酷です。
後継者が、会社を良くしようと働きかければ働きかけるほど、社内が硬直することがあります。後継者は、善意での行動なだけに、その理由がわかりません。なぜ、会社は変わらないんだ!?と頭を抱え込んでしまいます。

私の感覚として感じ取っているのは、後継者の会社改革はビジネススキルだけでは乗り切れない、という事です。どんなに素晴らしい仕組み化の取り組みも、どんなに素晴らしいマネジメントスキルも、どんなに素晴らしいマーケティング計画も人がもつある重要なものがそれを排除しようとするのです。

 

それは、いわば人に備わる本能レベルの問題です。
それを発動するのは、先代個人かもしれませんし、会社の古参社員かもしれません。あるいは、そこに同調する多くの社員がその本能を発動させます。
その正体は、”免疫反応”です。

免疫反応というのは、ご存知かと思いますが、身体が外敵から身を守る反応です。
異質なものが混じりこむと、身体はそれを拒否し、排除しようと反応し始めます。免疫反応について、辞書にはこんなふうに書かれています。

非自己に対して自己体内の統一性と個体の生存維持および種の存続のために起こす一連の生体反応。(三省堂大辞林より一部抜粋)

「統一性と~種の存続のために起こす」反応です。
これを企業に置き換えて、ごくごく簡単に表現すると、こんな感じでしょうか。
「これまでの調和と安定を乱すことなく、これまでの会社の状態のために起こす反応」

何となく雰囲気は理解いただけるのではないかと思います。

 

会社の中に、新しい考え方や新しいスキルを持ち込むというのは、極端な捉え方をするとこれまでの会社を否定する事ととらえられかねない行為です。従来から会社をコントロールしてきた先代や、そこに従ってきた社員には、
今までは、これでうまくやってきたんだ、という自負があります。
それを「これからはこうしよう!」という前向きな提案であったとしても、今までの会社をともに作ってきた人間からの提案であるならまだしも、新参者といえる後継者が提案したところで、一笑に付されたり、無視されたり、聞いたふりだけされて闇に葬り去られることが少なからずあります。

ここには、免疫反応を起こす人々には、複雑な感情が去来していると考えられます。

  • 自分たちがやってきたことへの否定・非難ではないか?
  • これまで通りで上手く行っているのになぜそんなことをするのか?
  • 前例のないことをやって失敗したら無駄じゃないか?
  • 若さで突っ走るのはいいが、自分たちまで巻き込まないでくれ

などなど。
早い話が、今それなりに安定していて、調和を保っている状態なんだから、余計なことをしないでくれ、という切実な願いなわけです。
後継者にとってはもちろん、彼らの言う「安定」は、緩慢な業績不振であり、「調和」は、傷のなめあいにしか見えないわけですから、ここで大きなギャップがあります。

本来なら、このギャップを埋める必要があるのです。

 

後継者が最新の経営理論を会社に持ち込もうとすればするほど、免疫反応は強くなり、お互いの理解は難しくなってきます。
現実問題として、企業は人が構成する組織です。理論だけに目を向けるのではなく、人をきちんと見て、相手の感情に対処することが非常に重要だと私は考えています。
単に突っ走るのではなく、相手がついてこれる範囲でスピードを調整したり、情報の出し方を調整する繊細さは必要となるでしょう。

アレルギーは免疫の過剰な反応が原因といわれているそうです。
その治療の一つに、アレルギーの原因となる物質に少量から慣れされていく治療が注目されていると聞きます。
恐らく、組織の免疫反応にも同様の方法が使えるのではないでしょうか。

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