後継者

後継者が親の会社を継ぐか継がないかに迷ったときの判断基準

後継者が親の会社を継ぐか、継がないかを迷ったとき、何を頼りに判断をすればいいのでしょうか?
会社の財務状態?
ビジネスの将来性?
そのほかの要素?

そんな内容を検討してみましょう。


 

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親の会社を継ぐ活がないかを迷う後継者

継ぐかどうかを考える決め手がない

先日、ある後継者候補の方が相談に訪れました。
その方は、国家資格が必要な仕事において、親と同じ資格を取って現在は別の事務所に勤務しています。
しかし、親は自分の事務所で働け、と呼び戻しています。
当人は、最新の事例などが学べる現在の大手事務所での勤務にやりがいを感じており、親の事務所に戻るのは少し躊躇しています。

さらに言うなら、親は結構な設備投資をしており、実は自分に有無を言わせずその借り入れの連帯保証人にしていると言います。
そのことにも不信感を感じているばかりでなく、どうやら事務所の売上は思ったように上がらず、将来的な経営もあまり期待できそうもありません。

継ぐべきか、継がざるべきか。
そんな思いが逡巡する中で、私と3時間ほどの対話を行い、結果翌日にはこんな風に報告を頂きました。
「やっぱり、親の事務所を継ぐことにします」

その時の話をもとに、後継者が親の会社を継ぐとき検討したい事をまとめてみたいと思います。

後継者が親の会社を継ぐ判断をするときに誤りがちな基準

さて、まずは一般的にありがちな親の会社を継ぐ際に気になるポイントを整理してみましょう。
但しこれらは、意外と判断基準としては微妙ではないか、と私は考えているものが多いです。
そんな私の考えを絡めて見ていきましょう。

①現在の親の会社の財政状況を基準にする

親の会社の現在の財政を確認することは大事だと思います。
逆に言うと、財務諸表を見せたがらない親は、何かしら見せたくないものがあることが多いということは良くある話です。
一般的には、思った以上の借入金があるとか、売上と経費のバランスが芳しくないとか、売上が下がり傾向とかですね。
ただ、これはあくまで「NOW」の話です。
後継者の方が入社して、経営改革を行うことで一気に改善することはあります。
ある後継者は、親が突如死亡し、10億円もの借金を返したという話があります。
彼は親が亡くなるまで、まったく別の職種のサラリーマンをやっていたのに、です。

彼はこの経験がとても大きな学びとなり、その後の会社経営にとても役立っていると言います。

②現在の親の事業の将来性で見る

親の会社を継ぐかつがないかを見るときに、そのビジネスの将来性で判断するというのも合理的な考えに見えます。
もちろん、乗りに乗ってる業界ならいいと思うのですが、そもそもそういうビジネスを家業でやっているケースはあまり多くはないように思います。
また、私自身、親の会社を継ぐ際、「この仕事(損害保険代理店)は、それこそ日本経済がダメにならない限りは残っていくはず」という父の言葉につられた一面もあります。
しかし現状は、その業界そのものも停滞気味で、それゆえ同じ仕事をしていても、どんどん実入りが減っていくような状況です。
つまり、長きにわたり、美味しい事業というのはそうそうない、ということです。

となると、今見えてる将来性など、永い人生の中でのほんの一瞬の価値と言えるかもしれません。
むしろ、危機感を持てる斜陽産業のほうが、社内が一体になって改革を行えるかもしれませんね。

③楽に働けそうという環境で見る

なんとなく親族が中心の会社のほうが楽そうに見える。
そんな風に考えている人も一定数いるかもしれません。
私の学生時代には、正直そんな感覚もありました。
しかし、現実はまったく逆と言えるかもしれませんね。

親子の関係は、良い部分よりもそうでない部分が色濃く出ることが多い、というのが私の感想です。
親の頑固さと、後継者である子どものワガママと。
そういったところがぶつかり合うことで、親子の確執が生み出されるケースはとても多いと思います。

人間関係もまた、移り変わるものですので、参考にする程度はアリですが、それを決定打にするのはいかがかと思うことがあります。

環境だけでは測れない後継者の進路選び

どんな状況も裏返ることはあるし永遠ではない

会社の財務状況は良いに越したことはありません。
仮にその財務状況の良さは、原因はどこにあるのでしょう。
小さな規模の会社の場合、その大部分は先代の個人の力で成り立っているケースがけっこう見受けられます。
逆に言えば、先代がいなくなれば、その良好な環境は消え去る会社も多いのです。

だから、後継者がその代わりを担え、というのが世間的な考え方です。
しかし親子とはいえ、個性の違う人たちがまったく同じ役割を果たせるとは思えません。
果たせたとしても、けっこうな苦行になろうかと思います。

何が言いたいかと言えば、今の良好な会社経営も親に負うところは大きいし、
わる経営状況も、親のやってきたことの結果です。
これはどっちに転ぶにせよ、後継者の代になれば変わります。

ビジネスドメインだって、いつまでもいい業界などないし、
違う業界に参入するのも経営者の判断。
つまり、誰がやるかで変わってくるのです。

そこで大事なのは、後継者が主体的に、会社を継いで何をやりたいか?というところに答えを見出すべきではないかと思うのです。

後継者はどんな人生を歩みたいか?

親の会社を継ぐかつがないか、というのはけっこう大きな人生の選択です。
この時に、損得勘定で進路を選んでも、きっと「やっぱりあっちの方がよかったかも」と感じるときが来るように思います。
大事なのは、やりたいか、やりたくないか、というところだと思うのです。

たとえば、親の会社を使うことで、いろんな可能性は広がるのではないかと思うのです。
あれこれと社会に影響を与えることは可能です。
一方で、普通にサラリーマンをしていれば、枠の中での評価を獲得していく形で自身の価値を上げていくことになろうかと思います。
だから、1つの型からははみ出すことが難しい。
もちろん大きな会社なら、大きな額を動かす仕事にやりがいを感じることはあると思います。
それをとるか、自分で考えて自分の手で生み出すということをとるか、と言ったところかと思います。

色んなマイナス部分はどちらもあると思うのですが、それを含んだうえで、自分はどっちがやりたいのか、
自分はどんな人生を歩みたいのか、
そんな事を考えることが大事なのではないかと思うのです。

結論を申し上げるなら、判断基準は自分の意思。
そこを一番大事にしてほしい。
そういうやりとりの後、冒頭の方は継ぐことを決められました。
あなたはどうされますか?


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