経営というものは、つかみどころのないものです。
経営戦略、マーケティング戦略、営業戦略、商品戦略、会計戦略、人事戦略などなど。
広範囲に及ぶ物事を決定し、実行していかなければなりません。
さて、一般的に親子の事業承継において、期待されるのは一体どの部分なのでしょう?
あるいは、何が出来たらその事業承継は成功と言えるのでしょう?
私の著書です。
Contents
後継者は先代の何を引き継げばいいのか?
ノウハウの限界
勉強熱心な後継者はビジネス書やセミナーに通ったりされていることでしょう。
そこで学んだこと、実際にやってみて、どの程度効果が出たでしょう?
たぶん、眼を見張るほどの効果が出たとしたら、それはかなり相性がよかったのではないでしょうか。
実は、多くの場合、思ったほどには効果が出ないのです。
だから彼らは、より高度で高額なセミナーに一歩ずつ歩みを進めていくのです。
たとえば、ある商材を自分に売り込みに来た人がいたとします。
一人は、そこそこの経験のある誠実そうな人。
もう一人は、若くてちょっとだらしない身なりの人。
まったく同じ間合いで、まったく同じトークをして、まったく同じ身振り手振りで、まったく同じ商品を売り込んできたとします。
あなたは、どちらから買いますか?
いえ、そもそもどちらの話を聴いたら、欲しいと思うでしょうか。
どっちを選んだにせよ、そこがノウハウの限界です。
Aさんで成果が出ることが、Bさんで成果が出るとは限らない。
もちろん逆もあるわけです。
ここに「ノウハウ」の限界があります。
中小企業のノウハウ
さて、私が見聞きした範囲ですが、中小企業で言う「ノウハウ」というのは微妙なものも多いように感じます。
工業製品における、配合の妙や、製造・設計におけるノウハウは比較的再現性は高いものが多いでしょう。
それは多くの場合、技術者から技術者に伝えられるレシピ。
つまり情報です。
ここに関しては、たとえばコーラのレシピのように、後継者だけが知る秘密とするのも一考ですが、一般的には技術者で共有されることが多いと思います。
それらが社にで伝承されるのは、極論すれば後継者の位置からすると少し遠い距離にあるかもしれません。
となると、後継者が受け継ぐものは、社のノウハウというのは少し違うような気もします。
後継者が求められるのは先代の何なのか?
先代だったらどうする?というやり方ではない
後継者として、先代の何を引き継げばいいのか。
実際のところ、冒頭でお話したとおり、経営というのはとても多くの事に気を配る必要があります。
すべてにおいて、先代のやり方をなぞるというのが正しい方法とは思えません。
私なりの答えを言うなら、何をどうするか?ということよりも、その背景には何があるのか?ということが大事なのではないかと思います。
やり方というよりあり方。
これを最も知るのは親族ですし、それを実現できる最も近い人は子どもであることが多いように思います。
父だったら、母だったら、何を考えるだろう?
そういったことは、会社の指針となる部分です。
その目的を達するために何をするかは、今風な後継者のやり方を試せばいいのではないでしょうか。
先代の在り方
そう考えたとき、そもそも親はどんな思いで会社を作り、経営してきたのだろう?
そんな事に想いを馳せることは大事かと思います。
実際にインタビューすることができるなら、それもおすすめです。
親の夢に乗れるならそれはそれでアリだと思います。
ぜひそんな、親の在り方について考えてみる時間を持ってみてはいかがでしょうか。