非常識な後継者50の心得（27）今の飯の種と未来の飯の種を考えよう

非常識な後継者50の心得（27）今の飯の種と未来の飯の種を考えよう

2022.06.22

事業承継を受ける後継者・跡継ぎ・二代目社長にとって、眼前の数値目標って大事なものに見えると思います。
確かに、会社の経営においては数字は基本ですし、売上がなければ会社の未来もない。
だから目標に全集中して、駆け抜けるぞ、と言いたいところ。

しかし、私たちが見るべき部分はそこだけではないんですね。
目の前の数字は今の飯のタネ。
後継者・跡継ぎ・二代目社長は、実は未来の飯の種を考える必要があります。

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Contents

1 現在の売上数字は過去の努力の成果
- 1.1 会社が存続するほどの売上にまずは感謝
- 1.2 私たちが享受できるものと未来へ遺すもの
2 私たちが考えるのは「未来」
- 2.1 今の刈り取りと未来の田植え

現在の売上数字は過去の努力の成果

会社が存続するほどの売上にまずは感謝

後継者・跡継ぎ・二代目社長が親の会社に入社した時、恐らく会社の売上のしくみはある程度できていたことでしょう。
別に、近代的にシステマティックに売上ができていなくとも、営業社員が頑張って商品を売り込み、それがだいたい毎年に多様な売り上げになって会社のベースを作っていることは間違いないと思います。
その背景には、たとえば商品の開発や仕入れルート、ビジネスモデルを作り上げ、常連の顧客との関係を築き、さらにはより効率的な環境や組織を作ってきたことだと思います。
大なり小なり完成した事業を私たちは眼にしています。

私たちにとってそれは当たり前の情景に写るのですが、まずはこの奇跡的な状況に感謝をすることから始めてほしいと思います。
私は精神論があまり好きではありませんが、こういった気持ちを持つのとそうでないのとでは結果がずいぶん変わります。
まずは先人の作ってきたものに感謝しましょう。

今の売上は、こういった過去のビジネスモデルの試行錯誤の中から作られているものです。
今の飯の種は、過去の努力でできているのです。

私たちが享受できるものと未来へ遺すもの

さて、親世代が作ったその売上を、私たち世代が享受する。
そういったシンプルな構図があればいいのですが、現実はそれほど甘くはないようです。
恐らく多くの後継者・跡継ぎ・二代目社長は、先代の作ったビジネスモデルのほころびがあちこち感じられるところに来ているのではないでしょうか。
永遠にその価値を保ち続けるビジネスモデルというのはそうそうないのでしょう。
私たちの事業もまた、時代の流れとともに風化していくのです。

私たちが考えるのは「未来」

今の刈り取りと未来の田植え

私たち後継者・跡継ぎ・二代目社長の難しさは、過去から続いてきた事業の刈り取りと、次の田植えを同時進行で行わなければならない点です。
そして、今の事業の刈り取りは一般社員でもできます。
しかし、難しいのが未来の田植え。
これができる人は、基本的に後継者・跡継ぎ・二代目社長しかいません。

なぜかというと、このプロジェクトは孤独だからです。
例えば、少し古い話ですが印刷業者さんが、本業の印刷を一生懸命やっていました。
しかしその頃、家庭にパソコンが普及し始め、手軽なカラープリンターも続々と発売されていました。
それでもまだまだ印刷業は忙しかったので、その印刷業者さんは営業を頑張って、たくさん仕事をとってきて、会社の売上を上げました。
この時に、その会社の後継者はWEBサイト作成を立ち上げるべく孤軍奮闘していました。
先代以下、古株社員は何をやっているのか？とまったく協力的ではありませんでした。
しかし後継者はやり切り、WEBサイト作成が会社の売上の大部分を占めるようになってきて、今ではWEBサイト作成も下火ですが広告などのコンサルをしておられます。

こういった業容転換をできるのは、比較的独立して動きやすい後継者・跡継ぎ・二代目社長ぐらいしかできないのです。

この仕事は短期的に成果の上がるものではないのでとても苦しい作業ですが、ぜひとも取り組んでいただきたい仕事です。

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