後継者

跡継ぎ経営者が先代を説得する方法はあるのか?

跡継ぎ経営者が、先代経営者と対峙するときありがちなのが意見の食い違い。
跡継ぎがこうしようと決めたことに先代が従わないとか、
そもそも先代が効く耳を持たないとか、
口では「わかった」というのにまったく違う行動をするとか、
「意見が違う」という以前の問題も含めて、いろんな食い違いがあります。

で、跡継ぎとしては、親である先代経営者を説得したいと思うわけです。
そしてどんな方法があるかな・・・と考えを巡らせます。

まずは結論から申し上げます。
そんな方法は、この世の中にありません。

では、どうすればいいのでしょうか。

 

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人は、時として他人を変えたい、と思います。
自分の子供や親、
上司や部下、
教師や生徒、
彼氏や彼女・・・
しかし、断言します。

人は、人を変えることはできません。

それを模式的に表した図をもとに説明しましょう。

 

以下の図は、左から他人の強制力を表しています。
人が他人を変えようとするとき、
説得しようとしたり、圧力をかけたり、脅したりして動かそうとします。

そして、あるいは見かけ上の行動は変わるかもしれません。
たとえば、トイレの後には手を洗いなさい、と言われたらとりあえず手を洗うようになるかもしれません。
しかし、それはその人が本質的に変わったわけではありません。
だからきっと、人の目がないところでは手を洗わないかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、”バリア”の中にいる、その人の本質にメッセージが伝わっていないからです。

しかし例えば、その人が、手を洗わなかったことでひどい病気になって、苦しい思いをしたとしましょう。
これも本人にとっては、他人の説得といった刺激と同じ、刺激の1つです。
その刺激は強烈に”中の人”に響きました。
そう、バリアの中にいる、その人の本質です。

すると、その人はそのキッカケを判断します。
あんな苦しみを二度と味合わいたくない、と決めたら彼はこれから未来永劫、手を洗うことを誰に言われずともやるでしょう。
逆に、そんな苦しみも気にしない性格なら、やっぱり手を洗わない生活に戻るかもしれません。

 

なんにせよ、人が変化するのは
外界からの刺激 → 刺激を自分なりに解釈 → 解釈した内容をもとに行動を決定
という流れをとると思います。

 

これで、跡継ぎ経営者が、先代経営者に何を言っても変えられないことがわかるかと思います。

 

 

しかし、抜け道はないわけではありません。
ここにある「バリア」というのを無効化する方法があります。
それは、その人の無意識に働きかける、という事です。

たとえば、人は相手の瞳孔が開いていると、好意や魅力を感じやすいという心理実験結果があります。
たぶん誰も、目の前の人の瞳孔が開いてるかどうかなんて意識しないと思います。
しかし、同じ人の瞳孔が開いている写真とそうでない写真を並べると、たいてい瞳孔が開いてる写真の方が魅力的、と指摘するそうです。
私達が意識していないところのメッセージは、比較的スムーズに心に入ってくるものです。

では現実的にはどうすればいいかというと、跡継ぎ社長が先代経営者に「こういう考えを植え付けたい」と思う内容を、周囲の人たちに語らせればいいのです。
社内であれば、社員が口々に語っている内容を、聴くと話に聞いている状態があれば、先代経営者は自然とその考えを頭の中に刷り込まれていきます。

また、もちろん直接的なメッセージがまったく無効なわけでもありません。
一般的には、親子経営で親子は対立軸で話をすることが多いので、お互いバリアを強くしがちです。
しかし、情報の受け手が素直にバリアを解除すれば、また、情報の発信者が相手にバリアを解除させるようにすれば、その”刺激”は、当人を変えるきっかけとなることがあります。

その方法は、相手が「安全である」という状態を確保することです。
人に対して心(バリア)を開かないのは、何かしら危険を感じているからです。
その危険を取り除くことで、バリアを解除させることは可能です。

例えば先代経営者にしてみれば、跡継ぎ経営者に自分の地位を脅かされるとか、自分の仕事を奪われるとか、自分が置いてけぼりにされるとかいった危険です。

 

相手の安心感を確保する。
そして、社内の人間から自分のシンパにする。
なんとなく回りくどく感じるかもしれませんが、自分の居心地を良くする恐らく最短の方法です。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

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