ある一時期、私は非常に人に対して厳しかった時期があります。
例えば社員に対しては、「社員というのはこうあるべき」というイメージが私の中にあります。
そして、そのイメージから外れれば、その社員は「使えない奴」となります。
しだいに、周囲は「使えない奴」でいっぱいになり、使えない奴をどうにかこうにか使えるようにしなくちゃならない。
いちいち個別指導するほどの思い入れもないから、「自分の思いどおりしない時の罰則」を作ります。
やってはいけないことを明確にすることで従わせようとしました。
その結果、社員の一斉退職という窮地に追い込まれたわけですが……
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Contents
社員を自分のロボットにしたくなる時
自分の能力のインジケーター
後継者って、わりと「お前の方に会社の未来がかかっている」的期待(?)を持たれている半面、大事にはされていません。
私はよく「尊重されていない」という言葉を使います。
だって、後継者の意見は尊重されないじゃないですか。
即座に親から否定されたり、社員からそっぽ向かれたり。
そして後継者に重要な決定を聞きに来る人もあまりいない。
自分を通り越して、親のところに行く感じの状況がけっこうあると思います。
みんなが親の意見を聞きに行くのに、自分だけ違う意見言いにくいですよね。
こういう状況って、後継者にとってはまさに尊重されていない状況。
なんだか大変そうなときだけ「これからは後継者の時代だ」とか言って、
日頃は後継者の意見を聴こうとしない。
だから後継者は無意識に、「みんなが自分を尊重すること」こそがリーダーシップを持てた証と考え始めます。
みんなが自分の意見を待っている…?
そこで得たい状況は、まずは「みんなが耳を澄まして、後継者の意見を待っている」状態。
けど、これはこれで、なんだか重い。
じゃあ、ということで望むのは、後継者が自分で思っている通りの行動を社員たちが勝手に行う状態。
あたかも、社員の神経が自分の脳とつながっていて、思い通りに彼らが動く世界を夢想してしまいます。
これが後継者の球の中にある組織の完成形です。
ここで気を付けたいことがあります。
それは、この状態では、社員の「意思」は一切反映されないということ。
後継者の考えに忖度して社員が動くわけだから、社員自身がどうしたいとか、そういうのはまったく無視。
「上司なんだから当たり前だろ」と思うかもしれません。
ええ、過去、私はそんな風に思っていたことがあります。
けど悲しいかな、これでは人はついてこないんですね。
社員にしてみれば「俺たちゃ、ロボットじゃねー」と言いたくなるでしょう。
ちょっと立場をひっくり返してみましょう。
この時、上司としては社員を尊重していない。
彼らの意見は聞かず、それでも「社員としての責任を果たせ」なんていう責任を載せている状態。
あれ。
今まで自分が苦しんできた立場を、社員に押し付けてる…?
そんなことに私が気付くきっかけは、社員が一斉に退職願を出した後でした。
こんな私でも、反省してみたわけです。
この原因は自分にあったんじゃないか、と。
自分の境遇を周囲に押し付ける
責任は持たせるけど尊重しない
すべての方が私と同じシチュエーションとは言いません。
しかし、自分自身が「責任を持たされつつ、尊重されていない」というシチュエーションにあって、
社員にも同じことを無意識に強いているケースはけっこうあるんじゃないかと思います。
たぶんですけど、これ、上から下へ、ずーーーっと受け継がれているんじゃないかと思います。
後継者である自分、その親、さらにその親。
こういった関係が延々と続いていて、その間誰もこのことを解消してこなかったわけです。
だからきっと、自分も自分の後に続く人に、同じような対応をしている可能性があります。
配偶者だったり、子どもだったりもその対象です。
もし、「上から目線で物を言う」と不満を親しい人から言われているとしたら、その可能性が十分あります。
そのばあい、責任を押し付けて、その相手を尊重していない可能性があります。
この連鎖を断ち切る方法
こういった連鎖をどうやって断ち切るかというと、まずは自分がそういう連鎖の中にいる、ということに気付くことがスタートです。
「あ、俺、自分がやられて嫌なことから逃れるために、人に同じことをやってる」とわかることが大事です。
それがわかると、行動の原理を変える必要があります。
今まではやられたらいやなことをやらせないようにしてきました。
こんどはそうではなくて、相手がやりたいとか、相手の良さが活きるためにはどうすればいいのだろう?と考えてみるのです。
こちらが要求した仕事がその人にとって苦手分野だったとしたら、その人の得意分野は何だろう?と観察してみます。
観察してわからなければ聴いてみます。
やりたいことはどんなことだろう?
これなら任せてください!と胸張って言えることは何だろう?
そんな感じですね。
これ、まさに「相手を尊重している」ことになります。
相手を尊重していれば、ある程度の責任は任せられます。
いえ、まかせなければ失礼でしょう。
そうやってまずは、周囲の人を「尊重し」、「任せて」みます。
すると面白いことに、周囲の人たちも後継者のことを尊重し、認めてくれるようになります。
相手の行動で自分を判断していないか?
相手が言うとおりになれば自分を認められる?
ではなぜ、人は人をコントロールしたがるのでしょうか。
それは、多くの場合、人は周囲の人が自分をどう扱うかで、自分の価値を判断する傾向があります。
たとえば、みんなが自分を尊重するから、自分はそれなりに大事な人間なんだ、と思えるわけです。
みんなが自分を尊重しなければ、自分は価値のない人間のような気がしてしまいがちです。
なぜそうやって人の評価に頼るのかというと、自分で自分を認めることができていないからです。
本来、自分の最大の味方である自分自身が、そもそも自分のことを尊重していない状態なわけです。
だから自分の本心では、「こうしたい」とおもっても、それを尊重しない自分がこういいます。
「そんなこと、世間で評価されないぞ」とか、「周囲から認められない」とか、周囲を尊重して自分の意志を却下します。
他人を尊重し、自分をないがしろにしているという状況を、生きてきた人生の期間分つづけているわけです。
だから、周囲が自分の思った通り動けば、自分には存在価値があり、
そうでなければ存在価値がないと思ってしまう。
そこから抜け出すには、自分で自分を認めることが大事です。
自分、OK。
自信のなさも自分を信用していないから
後継者にありがちな言葉として「自信がない」というものがあります。
これも同様で、自分を信じてない、ということですよね。
世の中…というか、経営に正しいことも間違いもありません。
だから正しいかどうかに囚われても意味がないのです。
そんな中で大事なのは、本当は自分はどうしたいかです。
そしてその本当の気持ちに気付くには、ある程度自分にOKを出せている状態が大事です。
そういう意味では、毎日、自分にOK出してみてください。
ちなみに、この本、とっても参考になります。
『シンクロちゃん――一瞬で人生を変える「10秒スイッチ」の法則』(佐藤由美子)
怪しげに見えるならお勧めしませんが、そうでなければちょっと試してみる価値はあるんじゃないかと思います。
思考のクセを日々変えていきましょうよ、という提案です。
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