後継者

後継者にとって社内がうまく回らない時「執着」が生まれる

日本人は「数量限定」に弱いとよく言われます。
限定品を買えなかったときの後悔をイメージして、ついつい手が出てしまうのでしょう。
そんな時、どうしても欲しくなって、あちこちのお店を探してみたり、ちょっとプレミアの付いた値段でも買ってみたりするんじゃないでしょうか。
私たちは、得られなかったものに執着するようにできているようです。
そしてそれは、物だけに限った話ではないのです。

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私たち後継者が社内に指示を出したと思います。
その指示に従って、人が普通に動いたとき、皆さんはどう反応されるでしょうか?
当たり前と思う可能性が高いと思います。
当たり前とまではいかなくとも、その時は褒めたりもするのかもしれませんが、きっとすぐに忘れてしまうでしょう。

まずはじめに意識しておきたいことは、このように、思った通りのことはそれなりにおこっているという事です。
単に私たちがそのことに注目していないという現実があるだけです。

もう一つ言えるのは、自分達の思いどおりにならない事ほど記憶に強く残るという事です。
正面切って拒否されたことはもちろん、やってると思っていたことをやってないとか、そういったことには私たちは腹を立てがちです。
そういった強い感情とともに体験したことというのは、記憶に強く残るものなのだと思います。

そしてそれは執着になります。
はじめはそんなに強い思いではなかったのに、拒否られると異様に気になるのです。
そしてなんだか自分の自尊心を傷つけられたという思いも絡み合い、だんだんとその感情が独り歩きをし始めます。
こうなったら、自分の指示その物の重要度や優先度はどうでもよくって、とにもかくにも自分のいう事を尊重しない人たちを何とかしてやりたい、という思いにさいなまれます。

結果として、そういった人たちとの関係にしこりを持ったり、確執が生まれたりします。
いつしかそれは意見の相違から、人間関係の問題になります。

ただ私たちの感覚として、問題の発端が「リーダーである後継者の指示を聞かなかった」という会社のマネジメント上、ビジネス上の問題にあるためあたかもビジネススキルや、ビジネス上のルールでそれを解決しようとしがちです。いえ、そういったビジネスの土俵で解決する問題にしか見えないのです。
しかし現実は、かなり初歩的な人間関係の問題である、という事のほうが多いのが現実です。

何が何でも自分の言う事をきけ、という執着。
実はこれを捨てない限り、後継者の社内での立場は不安定なままです。
そこで起こるのは、先代から突如クビを言い渡されるとか、社内でクーデターが起こるとか、大量退職が出るとかいった事件です。
こういった問題はほとんどの場合、社内の規則や給与体系を触ってもどうにもならないのです。
後継者がこのような事件を経験したとしたら、ぜひ、人間関係の問題でないかを疑ってほしいと思います。
その解決策のファーストステップは、自らの執着を捨てること。
そうすればどんどん解決の糸口が見えてくるはずです。

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