私が親の会社を継ごうと思った理由

今まさに、30歳代~40歳代の後継者が親である先代社長とのコミュニケーションで上手くいかない苛立ちを感じているのだと思います。
私は現在53歳で多くの方より少し早くそういった時期を経験してきました。
そんな私ですから、割と若いころから同業者の集まりなどでよく事業承継に関する講演を依頼されることがけっこうありました。
その時に、一番嫌なのが「なぜ親の会社を継ごうとしたのですか?」という質問でした。

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「なぜ親の会社を継ごうとしたのですか?」という質問は、継がせる側の社長・親からも、継ぐ側の後継者・子からもよく聞かれました。
というのも、恐らくですが社長・親にしてみれば、どうも自分の子供が後継者として手を挙げてくれないとか、会社には来てるけどイマイチやる気が見えないとかいう悩みがあったのでしょう。
一方、後継者である子がその質問をするときは、自分のモチベーションが今一つ上がらなかったり、会社の中でつらい状況がある中でどう考えれば前向きになれるかを知りたかったのではないかと思います。
もしそうだとしたらなんという行き違い。
双方が同じ思いを持っているかのように見えるのに、現実はお互いが変な距離感で相手を見ているという不思議な状態ではないかと思います。

まず、私の本音を言います。
なぜ親の会社を継ごうとしたかというと、実はさしたる理由はありませんでした。
そもそも小学生の高学年になるころには、「きっと自分は親の会社を継ぐんだろうなぁ」なんていう妙な確信がありました。
それは中学、高校とも変わらず、大学の学部選びは父が、「わしの跡を継ぐなら経済学部か法学部がいい」と言っていたのでとりあえず、経済学部と法学部を受験していました。
もちろんその時も、絶対継ぐぞ!というモチベーションはあるわけもなく、一応従っておこうか、という感じでした。

そうなると、フッと「こんな仕事してみたいな」と思っても、「いやいや、それしたら親は泣くよな」といって思いが育つ前に打ち消していたように思います。
そしていよいよ就職という時に、「何かを生み出す仕事がしたい」と思う一方で、「規則でガチガチの保険業界」に入っていくことになります。
今から考えると、ちょっと消去法的な進路の選び方だったなぁ、と反省してしまいます。
そんな状態だから、「なぜ親の会社を継ごうとしたのですか?」と聞かれて、本音を語ることができませんでした。
なにしろ講演の依頼者は、「親子で仕事をするってこんなに素晴らしい!」と訴えてほしいのでしょう。しかし、あんまり赤裸々に本音を語れない。だからちょっと化粧した形での発言をせざるを得なかったのが私にとっては結構つらかった気がします。

ストレートに言うなら、「跡継ぎになってほしいと親が思っていそうだったから、その期待に添いたいと思って跡を継ぎました」という感じでしょうか。

ただ、単に受け身というだけではなくて、そうすることで親に認めてもらいたかったというのはあったかもしれません。
後にわかるのですが、多くの後継者はそういう思いを持っています。
親である社長に認められるために後を継ぎ、けど親はなかなか子である後継者を認めてくれません。
何しろ親も子に自分のことを認めさせたいと思っているのですから。
まさにマウント合戦。
それがいずれ親子の確執に発展していくのです。

じゃあ、親の跡継ぎの仕事にモチベーションを持てない後継者や、子どもが自分の会社を継いでくれない創業社長である親はどうすればいいのでしょうか。
まずは親も子も、自分が相手に認められたいと思っているという事に気付くことからじゃないかと思います。
そのうえで、人を動かそうとしない。
変えるとしたら人ではなく自分。
少し抽象的ですが、そんな意識をもってしばらく実践していくと、今までとは少し違った世界の見え方になるのではないかと思います。

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