ブルーオーシャン戦略と後継者の小さな試み

あっという間にビジネス用語として定着した感のある「ブルーオーシャン戦略」と呼ばれるものがあります。
ビジネスの主戦場をどこに置くか?という考え方です。
レッドオーシャンというのが激戦区。
ブルーオーシャンというのがライバルのいない地。

ただ、「ブルーオーシャン」という言葉が独り歩きしている部分もある気がするので、少し私なりに整理してみました。

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ビジネスにおける競争の限界

安く提供する努力

他社との競争に勝ち、顧客の心をつかむ。
これまでのビジネスの常識は、こんな感じで論じられていたように思います。
敵があって、それを上回る商品やサービス、という前提。
その競争戦略において、もっとも頭に浮かびやすいのが「価格」です。
他社より安いですよ、というわかりやすい価値。

まずはじめは、血のにじむようなコストカットを行って、安くする。
もしくは、薄利多売を目指して安くする。
わりとイメージしやすい努力ですね。
たぶん、多くの中小企業はこの辺りまではやってたりするところも多いと思います。

しかしそれには限界があります。
そこで、安くする仕組みを創り出した企業が出てきます。
製造工程や、仕入れや流通の仕組みをごっそり変えて安くする。
提携工場で稼働していない隙間を使わせてもらって安くするとか、大量に仕入れて安くするとか、いろんな仕組みが考えられていると思います。
そういうことをやってきたんだけど、同じことをもっと大規模でやる企業が現れだした。
それもグローバルな視点で。
たとえば、安売りモードに入った時のマクドナルドは、食材の仕入れを為替レートや現地の価格などを勘案して毎日一番安い国から仕入れたとかいう話を聞きます。
Amazonあたりは、もうやたらめったら規模のパワーを使って様々なサービスを始めました。

「無料サービス」という悪魔

このような流れの中で、さまざまなものを無料で提供する業者が現れました。
フリーミアムとかいわれるものですね。
「3か月無料」というものもあれば、「ずっと無料」というのもあります。
彼らはその財やサービスからではなく、そこに付随するところから売り上げを得ようとしているパターンが多い。
あなたの扱い商品、それもそこそこ悪くないものを無料で提供し始める会社はいつ出てくるかもわかりません。

もうこうなったら、今の手持ちの商品やサービスで、まともに対抗できません。
厄介なのは、「無料提供」される商品やサービスが、粗悪品かと言えばそうでもないこと。
むしろけっこういいものが多い。
彼らのビジネスモデルは、無料提供した商品が満足してもらった先に彼らのビジネスの本番モードがあるわけですから。

Gmailが象徴的ですが、他にも数えればいっぱいあると思います。

価格と価値の軸

値段勝負から抜け出したい

こうなってしまえば、もはや市場はレッドオーシャン。
戦闘が繰り広げられ、血に染まった赤い海です。
ここにいる以上、果てしない競争の中で戦わなければならない。

では値段勝負でなくて、価値で勝負しよう、と考える。
そこで、商品やサービスに何かを加えようとするわけです。
充実した機能、感動のおもてなし。
それが価値を生んだ時代もありましたが、消費者はだんだんとそれにも飽きてきた。
というより、過剰な機能やおもてなしに辟易しているところはあるのではないでしょうか。

最近買った家電製品。
使ったことのない機能は果たしてどれくらいあるでしょうか。
たぶんけっこう多い。
それよりむしろ、日ごろ使う機能がきちんと使いやすいほうがありがたいのに。
おもてなしだって、ありがたいと思うシーンもあれば、おせっかいと感じるシーンもある。
こういった、付け足しする事での差別化もまた、だんだんと受け入れられにくくなってきている可能性が高い。

値段と価値の比較から抜け出る

ここまでは、コスト対効果といった軸でものを考えていることになりそうです。
価格と価値を比べた上での満足度。
同じ商品を扱い業者がいるなら、この争いは避けられない。
しかも、安くしても、機能を足しても、ケタ違いの差別化は難しそうだ。
ならば、ライバルのいない地でビジネスをしよう。
それがまさにブルーオーシャン戦略の基本的な考え方だと理解しています。

ブルーオーシャンには魔物がいっぱい?

永遠のブルーオーシャンはありえない

ライバルのいない地でビジネスをする。
私がこう聞いてはじめに浮かんだのは、いわゆるニッチ戦略。
ちょっと商品やサービスを工夫して、あまり売り込まれていない場所で商売しよう、というものだと思っていました。
それもブルーオーシャン戦略の一つのようです。

しかし、残念ながらその程度の工夫では、いくらでもライバルに追随されてしまいます。
その時間はあまり長くはないでしょう。
だいたい、10年~15年が一つの賞味期限だといいます。
その間、ブルーオーシャンを堪能したら、あとは同じレッドオーシャン化。

誰もいない場所にはビジネスが難しい場?

もう一つ心配事があります。
人の海にはどんな魔物が潜んでいるかわかりません。
たとえば、これまであまり誰も踏み入れなかった分野で勝負する。
じつは、ライバルの少ない地には、ライバルが少ない理由があるものです。
ビジネスが成立しない要素がけっこうあるんじゃないでしょうか。
たとえば、法律の規制、顧客層の購買能力、広告の有効性などなど。

そこにどっかり腰を据えてビジネスをする、と決めて成果が出ればそれはなかなかいい市場になりそうです。
とはいえ、それなりの覚悟と、工夫は必要となるわけです。
単に同じ商品を、別の場所で売ることが有効な場合ももちろんあります。
しかし、その市場に最適化した、商品の工夫やサービスの在り方の変更が必要となることが多いでしょう。

ブルーオーシャンはどこにあるのか?

ブルーオーシャンは創り出すもの

さて、今までの戦略の基本は競争戦略でした。
他者と競って、自社がどの位置をとるかということ。
安さなのか、信頼性なのか、手厚いサービスなのか・・・。
しかし、ブルーオーシャン戦略は同業他社が今まで見ていなかった市場を”創り出す”というのが一つのテーマです。

たとえば、最近の国内事例ではNewsPicksが取り上げられていました。
これはニュースの配信サービスではあるのですが、リアルなニュース取材はこの会社はしない。
むしろ、「プロピッカー」を擁して、無味乾燥なニュースに著名人の「ものの見方」を提供しています。
ニュースという事実だけでなく、ニュースがどんな意味を持つかを合わせて提供し、非常に大きな反響を得ているようです。

値段は、WEB版の日経新聞より圧倒的に安い。
安さの理由は、取材記者を持たないこと。
そういった役割を一般紙にゆだね、そのニュースを買う。
既存のメディアを侵食するとか、顧客を取り合うとかではなく、狭いジャンルで違う価値を提供して顧客と結びつく。
ニュースのキュレーションサイトはたくさんありますが、こういったスタイルは未だあまり追随がないようです。

けっきょくはビジネスを生み出すこと?

こんな事例を見てみると、きっとブルーオーシャン戦略もまた、新たなビジネスを生み出すことという結論に至りそうです。
なにしろ、他社がやっていることをやれば、否が応でも競争に巻き込まれます。
戦場を離れ、ブルーオーシャンを見つけたとき、持っている商品やサービスをそのままその市場で使うのは難しい。
そこで、その市場に最適化するために、ひと手間加える必要がある。
そうすると気が付けば、他にないビジネスモデルを創り出していた、ということなのでしょう。

ここが大事なところだと思うのですが、私たちはやたらとライバルばかりを見てきてはいないでしょうか?
競合他社より少しでも安く、早く、良いものを、と。
しかし、それが顧客の望むものではない場合がある。
特にブルーオーシャンといった、市場としてまだ固まっていないところにビジネスを持ち込む場合には、その視点が不可欠です。
ライバルを見るのではなく、顧客を見る。
あたりまえのようでいて、意外とできていない部分だと思います。

ブルーオーシャン戦略というのは結局、ドラッカーの言う「企業の目的は顧客の創造である」という考え方に則っているのかもしれません。

後継者が意識したいこと

正直、社内改革とか、新規のビジネスの創造とか、けっこう大変そうです。
できることなら、一つのことをやり終えたら、それでしばらくは突っ走りたい。
ものぐさな私はそう考えがちです。
しかし、市場は常に動いてますので、そんな幻想はなかなか許されない。
一つのビジネスモデルの寿命はどんどん短くなってますから、はたして前述の10年~15年というのもどこまで参考になるかもわかりません。

そこで考えたいのは、「変わるのが当たり前」という前提の組織を作るということ。
同じことを何年もやり続けるのではなく、毎年、毎月、毎週、何かが変わるということを社内で癖づけておきたいところ。
そのためには、社内で半強制的に変化を突き付けてみるとかいうのも一考かもしれません。
これを比較的短い期間でやり続けていくと、そしきは「変わる事」に慣れていく。
小さいことでいいので、そういったことを意識して、変わることが当たり前になると、あとはどこへ向かうかというベクトルの調整だけです。
大げさなことでなくていい。小さな小さな変化でいいので、常に変わる。
そんな提案を社内にし続けてみてはいかがでしょうか。

はい。
えらそーにブルーオーシャン戦略とか言ってますが、お伝えしたい結論はシンプル。
小さな小さな変化を社内に起こしつづけよう。
そこから始まるものがあるはずです。

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