後継者

従業員規模別 親子の事業承継の注意点と対策

いろんな後継者のお話を伺っていると、その状況は千差万別。
小さいところは本当に家族だけの商店に始まり、大きいところは地元で名の通った企業であるところだったりもします。
企業規模によって後継者が得るべきスキルや、巻込み力と言ったところの必要性は違いますが、どことも人間関係の悩みが少なからずあるという共通点はあるようです。
その人間関係も、親である先代との関係と、それ以外の従業員との関係というところに大別されると思います。

それぞれについての注意点と、対策について考えてみたいと思います。

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同族以外の従業員が0人の事業承継

従業員0人の親子の事業承継の注意点

従業員が0人という事は、先代である親との距離が0という事です。何のクッションもなく、親をはじめとした血縁関係の人間関係にもまれることになります。一般的には、商店や農家などに多いパターンではないかと思います。この場合の注意点としては、ビジネスのスキルとか戦略とかいう以前に親との人間関係ありきという事になろうかと思います。これが円滑にいかなければ、やりたいことがあっても実現しないことが多いと思います。特に、ここまで個人商店や農家としてほぼ単独でビジネスを営んできた先代は一匹狼でもあり、それゆえ自分の考えを曲げないガンコさを持った人であることも多いと思います。

また、普通の会社は職場は公の場なのですが、こういった個人商店の場合職場とプライベートがごちゃ混ぜになりがちです。

こう言った環境ですと後継者はどちらかと言えば、小さな世界で過ごしがちです。なにしろ、見ている世界が親と取引先と顧客という範囲の中ですからこの登場人物の常識感の中という物になりがちです。

従業員0人の親子の事業承継の対策

少し失礼な言い方になりますが、こういった状況の後継者の方は世間知らずな方が多く、外の人間に横柄な態度を見せる方も少なからずいらっしゃいます。
あるいは、まったく逆でとても丁寧で腰が低いのですが、ご自分の意志表示を一切外に出されない方もいらっしゃいます。
こう言った極端な方を多く拝見するのは、やはりその環境による部分が多いと思います。そういう意味ではまずは、外の世界をたくさん見るように意識されることをお勧めします。
様々な経営者団体でも、異業種交流会でも、地元の地域の集まりでもいいので、いろんな人と仕事外で触れ合う事が大事ではないかと思います。

親との関係においては、仕事もプライベートも一緒というのは、なかなかに息苦しいとおっしゃる方が多いように思います。まずは、仕事でガッツリ一緒になるのであればプライベートでは少し距離をとるように別居するとかを考えたほうが良いかもしれません。ただ、それも反対される可能性は多いかと思います。理由は「もったいないから」と言ったところでしょうか。
ただ、一緒に働いている以上、親と向き合わざるを得ない時間が非常に多くなります。たいていはそのことが苦しくなるのですが、実は、親のふるまいで気になるものがある場合、それは自分が反応しているという事です。すなわち、自分の中のわだかまりを解消すれば、実はそんな親のふるまいも気にならなくなる、というのが心理学上の考え方です。

イラっとすると、いつも親のあの言動が嫌だという時、それは自分の何と共鳴しているかを意識していくと徐々に親とはいい距離感を見出せることが多いと思います。一方で、反発を続けるとむしろ悪化しかないので、ある意味精神鍛錬と言えるのかもしれません。

また、従業員が一人でも入ると、同族感は少し薄まってきますので、従業員を雇うような状態にすることを目指すのを当座の目標とするのも一考かもしれません。

同族以外の従業員が1名~20名の事業承継

同族以外の従業員が1名~20名の事業承継の注意点

同族以外の従業員が一人でも入ると、その職場は途端に公の場になります。同族役員の性格にもよりますが、それなりに公の場としての体裁を整えよう、という気持ちが芽生えてきます。
そこでの注意点は、まずは従業員が孤立しがちになること。同族役員が「家族的」と思っている状態は、従業員によっては苦痛に感じることもあります。そういった場の空気への配慮は必要ではないかと思います。一人の従業員を雇っているけどなかなか定着しない場合は、そう言った部分を疑う必要があるかもしれません。

この規模はまだ組織というのが十分出来上がっていない規模だと思います。営業などの仕事と合わせて総務的な業務を後継者が担うことも多く、一方で、父が社長・母が経理といった形態である場合は、この二人のやっている仕事がブラックボックス化して見えないことも多いと思います。後継者はそこをいぶかしく感じることも多いでしょう。
親と後継者の連携はそこそこ必要であるのに、そこがうまくいかないことにイライラする後継者が非常に多いと思われます。

この規模で親と後継者が衝突すると、それに比例するような形で後継者と従業員の関係も冷えることが多いようです。
それは実は、後継者が自分の周囲に起こることへの対処の方法に問題があるのかもしれません。

従業員1人~20名の親子の事業承継の対策

この規模の会社を継ごうとする後継者は、前向きに頑張っているつもりの後継者ほど孤独を強く感じるシーンが多くあるように思います。
それは、「自分はこう思う」という強い意志を持つが故、先代と衝突し、肩に力が入った状態で従業員と接するのでどうしても強い圧をかけてしまいがちです。
リーダーシップを力で発揮するという形をとりがちなのですが、それがうまくいけばいいですが、上手くいかない場合はマネジメントスタイルを変える必要があります。
その時にはじめにすべきことは、自分の振る舞いを変えることです。
どう考えても自分のほうが正しいと思っていることも、一旦、正誤の判断を入れず、あるがままに受け入れてみます。その状態が良いか悪いかではなく、その状態において自分が何をすればいいかを考えます。
経営に正解はないですし、起こる物事の良いも悪いもありません。
だから、正しいことを目指すのではなく、今ある状態を認めたうえで、出来ることをやるというメンタリティを持っていただきたいと思います。

ここでも先代や従業員の振る舞いは自分の鏡です。
先代が頑固に思うなら、実は自分が頑固。
従業員が思うように動かないのは、自分が人のアドバイスを一切聞かないから。
そんな事を意識しながら、自身の精神的成長をとげると、組織はまとまりだします。

もう少し別の観点からわかりやすい実践についてお話をすると、自分の考えを押し付けるのではなく従業員の話を聞き、彼らの持ち味を活かすことをもっとも優先してみることをお勧めします。
20名までの組織は、まだ全員が顔を見合わせることができる規模感です。
彼ら一人一人の個性を引き出すことで、会社の発展に寄与することができればそれはすなわち、後継者のリーダーシップとして多くの人から認められるのではないかと思います。

同族以外の従業員が数十名を超える事業承継

同族以外の従業員が数十名を超える事業承継の注意点

従業員数が数十名単位になると、ある程度カチッとした組織ができ始めていると思います。
50人くらいになれば総務部らしきものができていたりするかもしれません。
この規模になってくると、従業員の中に埋もれがちになる後継者だったり、逆に埋もれまいと偏った努力をされる後継者がいたりするようです。

この規模になってくると、先々のことを考えると実は先代に認められるというよりも、従業員との信頼を得ることの方が大事ではないかと思います。
なぜなら、先代は引退する身です。従業員は先代を見ているわけですから、そこのポストが空白になった時に「誰についていく?」という不安ができます。
そこをフォローするためには、後継者と従業員の信頼関係がとても大事になります。

組織化されているため、日常業務は放っておいても動きますので、むしろそういった組織の心理的なよりどころが必要となるように思います。

従業員数十眼を超えるの親子の事業承継の対策

こう言った人間関係の問題を考えるとき、大事なのは相手の話を聞くという事です。
特に先代世代は「俺についてこい!」タイプで、意見を求め、耳を傾けるというより、自分一人で声を上げるタイプの人が圧倒的に多いかと思います。
これをマネして後継者がこの規模の会社を事業承継する際、「俺についてこい!」とやらかすと、けっこうな失敗に陥る可能性が非常に高いと思われます。
もちろん、それができる人もいらっしゃいますが、非常にまれではないかと思います。

もしそういうタイプでないとすれば、先代との逆張りではありませんが、しっかりと従業員さんとコミュニケーションをとりながら、そしきの完成度を高めていくことが大事でしょう。
それと同時に、次の30年のビジネスの模索をしていく必要がありますので、後継者は、色んな社外の人たちとの出会いや学びを経験することが肝要と思われます。

 

以上、企業規模別の事業承継について書いてみましたが、基本は実は変わらないと言えそうです。
企業というのは人の集合体ですから、そこに集まる人が、一定の方向へ向けて動くような整流をすることができればいいわけです。
もちろん資金繰りとか、いろんな問題は別にもありますが、取り急ぎできる事として人の問題については丁寧に解決していくことが必要なのではないかと思います。

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