後継者の方には振り返ってみてほしいことがあります。
それは、あなたがどこへ向かおうとしているのか。
まったく見えない?
それは、状況に流されるに任せているからではないでしょうか。
目的地をセットしなければ、どんな高機能なナビもまったく機能を果たしません。
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あなたの会社はどこに向かっているのでしょうか?
増収増益?
規模拡大?
上場?
もしそうだとしたら、どこまで行けば「目的地」に到達できますか?
こうなると果てしのない旅になります。
だから、なんとなく目的地が見えなくなる。
なんだかわからないけど、今よりよくなろうとは思うけど、どこまで行けばいいのだろうと思う。
そこに気づいたとき、なんとなく、むなしく感じてしまう。
世の中は、空白を嫌うようです。
明確な行き先が空白だと、そこには何かしらの想いが占拠する。
とにかく売り上げだ、とにかく利益だ、とにかく上々だ、的な。
会社と社員の関係も同じで、そこに何かしらの目的が見えないと、結局、労働をお金で買う関係になりがち。
すると、この労働に対してこの報酬では釣り合わない、と文句を言い出す社員が出てくる。
これに関しては私も痛い思いもしました。
社員は交換可能な部品だ!なんて思っていたら、給料を上げてくれないならやめる、と辞表の山。
私自身けっこうバカだったので、周囲が「マニュアル化、規律、ルール」で社員を縛るのが当たり前だと思ってたしっぺ返しなんですが。
まぁなんにしても、お金だけの関係の社員と、青春ドラマであるような感動のプロジェクトなんて起こりにくい。
かんがえても見てください。
お金だけの関係の異性がいたとしたら、相手はもっとお金を引っ張るためにだけ、あなたと恋人気分を演じるわけですよね?
それとおんなじで、お金だけの関係の社員は、従順なふりをして、もっといい条件の会社があればいつでもあなたの会社を去るでしょう。
ビジネスにおいて、空白地帯ができると、そこにはお金という価値観が入り込みがちです。
なにもポリシーがないなら、お金で物事を測ろうとするわけです。
恐らくですが、創業社長には何かしらの想いがあったはずです。
自分が手にした商品こそがこれからの時代を変える、という夢もあったかもしれません。
この商品を使えるのは自分だけだから、世の中にぜひ伝えたいという思いかもしれません。
お客さんの困りごとを解決できるのは自分だ、と思っていたかもしれないし、
世界を変えてやる、と思っていたかもしれません。
そこまで高尚じゃなかったとしても、これで人生一発逆転だ!というのもありそうですね。
まあ、何かしらの未来のある状態を見ていたわけです。
そんな思いから、会社がだんだん安定してきて、そういう思いも薄れ始めた。
ひとしきり稼ぎ、何とか今まで生活は確保でき、会社も楽ではないけどまわっている。
すると何を目指すかが見えなくなってしまうわけです。
とりあえず目先のお金。
これが増えたらラッキーだよね。
けっきょく価値観はお金に落ち着きます。
で、社員ともお金の関係になる。
あらあら・・・こりゃやばいかも。
じゃあ、後継者はここで何を考えるかというと、創業者が持っていた創業精神に代わるものを打ち出す。
まあ、自分の私利私欲のために、というのでもないよりかはマシです。
(社員のことを考えるとすると、せめて自分だけ、ではなく、「みんなでリッチになろう」というところが落としどころとしてはよさげでしょうが)
一番良くないのが、目的地を持たないこと。
もうすこし大きな目で見ることができるなら、『OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』(クリスティーナ・ウォドキー)という本に、ミッションの公式なるものが紹介されていますから、これを少し参考にしてみてください。
「私たちは[価値提供]によって[市場]における、[問題を取り除きます/生活向上させます]」
これは結構巧妙で、人は世の中の役に立っているということが実感できると、モチベーションが上がるといいます。
特に若い世代は顕著じゃないでしょうか。
なにしろ、高給取りが会社を辞めてボランティアするくらいですから。
社員をやる気にさせて、一点に向かわせるツールこそが「ミッション」や「経営理念」です。
でもって、後継者はとりあえずこれっぽいもの作ったら、自分でも何度も口ずさんでみる。
そして社内でも、なんども口にする。
もう耳タコになるくらい社員に話す。
言ってるほうが飽き飽きするぐらいがちょうどいい。
そうすると自分自身もそんな気になってくるか、ぎゃくにどんどん違和感が増してくるかのどちらかだと思います。
もし違和感が強く感じられるのなら、さっさと変えちゃいましょう。
一般的にミッションや経営理念は一度作ったらあまり変えてはいけないというけど、「作ったけど決めてない状態」で試験走行しちゃえばいい。
割と大事なことなので、固めるまでの試行錯誤はあるのが当たり前だと思います。
話をまとめましょう。
先代から引き継いだ会社は、先代の次代には何かしら「会社が目指すべき場所」がそれなりにあった可能性が高い。
とはいえ、ある程度の安定がもたらされた時点で、その「目指すべき場所」はあいまいになっている恐れがある。
その結果、売り上げというお金的価値観が社内を支配し、社員との関係もお金の関係になりがち。
先代はこれまでの付き合いがあるから、それなりに社員との心のつながりはあるかもしれない。
しかし、後継者はこれからそれを作り上げなければなりません。
すると、お金による関係だけではない何かを示す必要がある。
それが経営理念やミッションと言われるもので、そこが空白であるとお金の価値観が侵食してくる。
だから、その空白を後継者の想いで埋めよう。
そして、それはすぐにはしっくりくるものが見つからないかもしれないけど、(仮)でもいいから急いで考えよう。
この思いは、社員のモチベーションにつながりやすいし、会社の風土を作ります。
そして何より、後継者にとってのヤリタイの気持ちを補給してくれるはずです。
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