後継者

なぜ後継者は、動かせないことばかりにこだわるのか?

何かしらの悩みを持つ後継者の目の前には、大きな壁が立ちはだかっています。
それはやはり先代の影。
私たち後継者の目には、その目の前の大ボスを倒さなければ、次の展開がないかのように見えてしまう。
何かをやればぶち壊され、何かを提案すれば反対され、何かを組織に習慣づけようとすれば率先してそれを破る。
私たち後継者は、そんな”偉大な”先代という存在から、目を離せなくなってしまう。
結果、考えるのは、先代をどうやって会社から外すか、ということ。

しかしそれは、後継者にとっても苦渋の選択。
なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

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今日の記事を書き出したとき、ある言葉が目に飛び込みました。

あなた以外、あなたの人生の質を下げることはできない

池田貴将公式ブログ

まさに、今から書こうとしていることを一言で表現するとこうなります。

単なる意識高い系発言というつもりではなく、そこには根拠があります。

物事がうまくいかない時の反応

人間には3つの人格がある?

脳は三層構造と言われています。

爬虫類脳という、生存本能をつかさどる部分。
動物脳という、情動をつかさどる部分。
人間脳という、理性や論理性をつかさどる部分。

さて、何かしらの事件を前にして、それぞれの脳はそれぞれの反応を示します。

たとえば、後継者が親のやり方が気に食わない、という状況に面したとします。

「人間脳」くんは、きっとこう反応するでしょう。

とりあえず、目の前の問題はあるものの、長期的視野での対処を考えなければならない。
今だけが良かったとしてもダメで、未来にわたってよい解決策を考えよう。

「動物脳」くんはこう反応するかもしれません。

なんだかんだ言っても自分の親だし、無下なことはできない。
とにかく仲良くやって、組織からはみ出さないようにしなくちゃ。

さらに「爬虫類脳」くんはこんな反応ではないでしょうか。

この世の中食うか食われるかだぜ。食えねえ相手だったら、逃げるか、戦うかしかねぇ。

たぶん、そこそこ特徴をつかんでいるんじゃないかと思います(笑)

具体的にはこんな風に逡巡する・・・かも?

こんな話ではピンとこなかった方のために、もう少し具体的に見てみましょう。

①自分の想い、考え、やりたいことを先代に話してみた(人間脳)

②ありえない反対を受けて、「あんないい方しなくても」という怒りがふつふつとわいてくる(爬虫類脳)

③よし、先代を会議に出席させないようにしよう。会社に関わらせないようにしよう(爬虫類脳)

④それでも社内で、自分と違う意見を社員に吹聴しまくる先代にうんざりする。社員は先代に耳を傾けている様子で、自分は孤立していると感じる(哺乳類脳)

⑤やめてやる!(爬虫類脳)

⑥いや、けど、本当にやめたら、家族としての付き合いとかはどうする?(哺乳類脳)

⑦そもそも、自分の将来、どうやって生きていけばいい?(人間脳)

以下、①~⑦を繰り返し

この脳と反応の結びつけが、学術的に正しいかどうかはわかりません。
ただ、なんとなくの雰囲気はつかんでいただけたんじゃないかと思います。

日常的に優位な脳

3対97

ある研究によると、こんなデータがあります。
人間脳を「新しい脳」
哺乳類脳と爬虫類脳を「古い脳」
と分類したうえで、新しい脳と古い脳の命令系統の比率を著した研究です。

そこには、こんな割合がありました。

古い脳 90~97%
新しい脳 3~10%

つまり、人が生きる中で、命令系統としては圧倒的に古い脳が優位である、ということです。

この中でも特に強い爬虫類脳は、生存本能の脳です。
不快な状態から逃げ出したり、襲い掛かる相手を反射的につき飛ばしたり、苦痛を感じたときイライラする脳。
ある意味刹那的で、後先考えない行動を引き起こしたりします。

また、常に周囲の危機に目を光らせ、自分の生命(もしくは存在)を脅かす存在に敏感。
この脳が、人の行動を最も強く支配しているわけです。

世界が苦しい原因

ひとたび人間が自分の危機を感じると、その危険の出所に目が釘付けになります。
視野は狭くなり、身体は固く力が入る。
柔軟性とは正反対の戦闘モードに入り、つねに周囲の危険に意識を集中させます。
この状態の人から見た世界は、危険がいっぱいです。

なにしろ、体験し、体感するすべての刺激の中から、「危険の種」を探す探索モードなのですから。

後継者の周りには危険がいっぱい!?

なぜかなくならない身の回りの「問題」

私がセミナーでよくやるワークがあります。
それは、自分の身の回りにある「問題」をすべて書き出していただき、分類していただくという簡単なもの。
どう分類するのかというと、「自分でコントロールできる問題」と、「コントロールできない問題」に分けていただくのです。

天候の問題とか、景気や社会の問題そして、自分が置かれた立場の問題は、コントロールが難しいかもしれません。
逆に、自分の行動だけは、コントロールができます。
そうやって突き詰めていくと、結局、コントロールできるのは自分がどうふるまうか?ということにつきます。
手っ取り早く言うと、自分が変わればいい、という話。

しかしそんなこと、にわかに受け入れられないのは百も承知です。
「なんで俺だけが・・・」
「会社のことを考えれば、自分の意見を通すのが正しいはず」
という意見とともに出てくるのは結局
「自分以外の誰か(何か)が変わればいいんだ!」
という回答。(そこまではっきり言う人はいませんが・・・)

いやいや、それって、ちょっとワガママじゃないですか?
第三者はきっとこういいます。
けど、本人からすれば、「自分は絶対正しい」と思い込んでるから、やっぱり受け入れられないんですね。
実は、前述したワークでは「自分でコントロールできる問題」をほとんど書けない人も結構いらっしゃいます。
つまり、すべての問題は、自分以外のところにある、という考えがベースになっているんだと思います。

しかし、です。
自分以外の誰かを変える事ってできますか?
催眠術使っても難しいですよ。
そんなこと誰でもわかってるんです。
わかってるけど、そういう方法をついつい探し求める。

実は、これ、爬虫類脳がビンビンに反応してるんじゃないかと思うんです。
なぜならば、(自分が)変化するという”危険”を察知して、変わらせまいと自分以外の事象の責任にするよう視界を制御してるんじゃないかと思います。
変化はリスクです。
なにしろ、「安全だった」という”過去の”実績がありませんから。
実績のない未知の世界へ行かせまいと、爬虫類脳は「今まで通りの場所に居なよ」とあなたを誘うわけです。
そう。
爬虫類脳はちょっぴりお役所的で、前例のないことはやりたがらないのです。

爬虫類脳は危険を探し続ける

そして有能な爬虫類脳は、あなたの生存・存在を脅かすありとあらゆる危険を探し続けます。
先代のあの言葉、先代のあの行動、何もかもがいら立たされるのは、爬虫類脳の働きではないでしょうか。
あなたの頭の中は、危機察知センサーが最高感度で活動している状態です。
だから、問題ばかりが目に付く。
結果として、山積みの問題の中で、つぶれそうになってしまうのです。

こんなことを感じることはありませんか?
先代のいる会社に足を踏み入れた時点で、下っ腹に重い緊張を感じる。
一日先代が会社を留守にすると、いつもの会社がかなり快適に感じられる。
もしそうだとしたら、爬虫類脳は先代のことを自分に対する危険人物と特定している可能性があります。

爬虫類脳を超える

目の前の世界は爬虫類脳が作っているのでは?

この爬虫類脳というのは、有能であるが故厄介です。
危険を察知し、過去に経験した行動を危険がなくなるまで繰り返します。
さらには、バックグラウンドで動きながら、さらなる危険を常に探します。
だから、オレは不幸だ、世の中はひどいところだ、と信じ込んでしまい、それ以外の考え方を受け付けなくなります。

ここでひとつ、結論めいた話をすると、あまりにもひどく見えるあなたの立場、状況。
実はこれは、あなたの爬虫類脳が見せている、かなりデフォルメされた現実じゃないか?という仮説が成り立つのではないかと思っています。
もちろん、事実としてあなたは自分の意見を持っていて、それに反対する先代はいると思います。
それは夢でも幻でもない。
しかしですよ、その痛みの大きさというのは、たいがいが主観的なんですよね。

たとえば、先代にボロカスに言われたとします。
いつもならそれを割とまともに受け止め、まともに反応していたわけです。
けど、たとえば、「うっせぇなぁ」と捨て台詞を吐いて終了、とすればどうでしょう?
こんどは先代のほうが頭を抱えて悩み始めるかもしれません。
まあ、こんな乱暴な方法はあまりお勧めはしませんが・・・。
あなたの行動に対する先代の反応があり、その先代の行動に対するあなたの反応がある。
こうやってあなたの目の前の世界はつくられているのですが、毎回(お互いで)似たような反応をしている可能性は非常に高い。

そこで、違う反応(「うっせぇなぁ」よりもう少し高度なもの苦笑)を繰り出すには、同じことの繰り返しをする爬虫類脳の支配を抜ける必要があります。
その時に必要なのが、人間脳が支配する「意志」の力です。

自身を解き放つ

ところで、人はいくら不満を解消しても、満足できない、という記事を前回書いています。

これを読んでいただくとわかると思いますが、爬虫類脳は危険を探し、そこに対処するのが仕事です。
つまり、延々と不満をつぶそうとして、満足条件を満たす動きはしてくれません。
満足を感じる、充実感を感じる行動を生み出すのは、人間脳です。
コイツを動かすには、先ほどもいった意志の力が必要です。

あなたにとって、その「意志」とはなにか。
これは自身の成長に向かう目的地設定です。

冒頭に並べたような問題を、爬虫類脳は「自分ではなく相手(自分ではない誰かや世の中)の責任」にすることで自分の身を守りました。
自分を変化させないようにしてきました。
しかし、成長というのは変化です。
しかも、まだ見ぬ経験を果たした先にある変化です。
そこへ動くには、爬虫類脳を黙らせる必要があります。

爬虫類脳を黙らせるためには次の二つのステップを意識してください。

一つ目は、何かの刺激に対して、いつもと同じ反応をしそうになったら一旦止まってみる。
反射的な反応をせずに、停止して、できれば深呼吸をして、ちゃんと考えてみます。
今とろうとした行動が、自分にとって最善か?ということを。
この時点で、爬虫類脳から人間脳優位に変わります。

次に、誰かに強制されたわけでもなく、誰かに批判されないためでもない、自分自身が本当に望む未来はどこにあるか?を考える必要があります。
全体としての自分の人生や行動の指針を持つということです。
そのはじめの一歩は、実は、他人の問題である、ということを、「自分が変化することで解決できるとすれば、どんな変化が必要か?」という質問に変える必要があります。

はじめのうちは慣れない考え方かもしれません。
しかし、そこへ一歩踏み出すとあら不思議。
今まで、どうしようもなく我慢ならなかったことがどうでもよくなるんですね。
事実は変わらなくとも、見える世界はまったく変わります。

小学生のケンカの原因は、たいてい大人にしてみればバカバカしいものですよね?
しかし子供のころは、たわいもないことに必死でした。
そうやって一段ステップアップすると、過去の自分の考えが子供の思考のように恥ずかしくなるぐらい狭い考えだったことに気づきます。
大人が子供のケンカに真剣に耳を貸さないのと同様、過去の悩みは事実としてはなくならなくてもどうでもいい話に成り代わっています。

百聞は一見に如かず。
そういう世界をのぞいてみたい、とおもったらちょっとだけでも試してみてください。

継続して意識する中で、ある時ふと思いつくタイミングがあると思います。
ああ、そういうことか、と。
その時、今までの悩みは一瞬で霧散すると思いますよ。

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