後継者

先代が後継者である自分にバトンを渡してくれないという二代目の悩み

後継者の悩みで、結構多いのが、先代の
「口先引退」です。

口では引退した、もしくは引退したいと内外に口外するものの、
現実は全く変わらない。
変わったのは、名刺の肩書と、後継者が保証人の印鑑をたくさん押したことぐらい。

これ、実はあなたの会社だけだけの事ではありません。

若い後継者候補に多いのですが、こんなご相談が結構あります。
「先代がバトンを渡してくれません。」

ここに関しては、まずお伝えしたいのは、
「それが普通ですよ。」
ということ。

その心理背景は、過去のブログでも随分説明していますが、
簡単に言うと先代は心の隙間を仕事で埋めているんです。
だから、そんな大事なものおいそれと、渡すわけがない。

先代は自分を正当化するため、
「ウチの後継者はまだまだ未熟者で」
なんて言ってたりします。

そして、さすがにしびれを切らした後継者が、
先代を排除しようと動き出します。
バトンを奪い取りに行くわけですね(笑)
そうすると、酷いときには先代は、
「アイツはおかしい」
なんて言い出すことさえあります。

 

けど、後継者は後継者で、先代がいることがメリットな部分もあるわけです。
上手く行かないのは先代のせいだ、って罪を擦り付ける相手がいるんですから。

そういった、変なバランス感覚が保たれていることが結構多いものです。

 

じゃあ、どうすればいいのか。

まず前提としては、後継者自身が先代という隠れ蓑をもたない覚悟が必要です。
話はそこからですね。

その前提をクリアしたうえでで一番いいシナリオとしては、
先代が自らバトンを渡したくなる状況を作るってこと。
それは、先代に対して仕事以外に心を埋める場所を提供する、という事です。
例えば、地域の集まりや、奉仕団体の参加でもいいと思いますし、
社外で受け入れられる場所を提供する、という事。

仕事にしがみつかなくっても、そっちで受け入れてもらえるなら、それがお互いの幸せです。

ある方は、これが功を奏して夢中になって地域の奉仕活動に一生懸命だそうです。
会社のことを相談しようにも、「もう引き継いだんだから自分で考えろ」といわれたそうな(笑)

 

さすがにその作戦が必ずしも使えるシチュエーションではないかもしれません。
社内の仕事の中でもっとも全体に影響を与えにくい場所を用意する。
逆に、そこで徹底的にこき使うんです(笑)

多分、そういう先代って
「生涯現役」
とか言ってるんでしょ?
だったら、中途半端じゃなくて、徹底的にやってくださいよ、と。

とにかく特定の分野で頼り切ってみる。
すると、もう、張り切ってやってくれたりします。
「マイペースで」とか甘やかしてはいけません。

 

その時、後継者としてはちょっとした葛藤が出てくるのでしょう。
「対外的に、それは・・・」
なんてことを気にされたりします。
後継者自身の評価が下がることを恐れているんですね。

ここは、名をとるか、実をとるか。
昔の私なら、名をとりましたが、今なら実を取ります。
だって、いろんな意味でそのほうが楽ですからね。

 

実際に、そういった流れを作った方もいらっしゃいます。
彼は、
「おかげで、社内の仕事の分業が上手く出来るようになった。」
といいます。

課題として、先代がやってた仕事をどうクオリティを下げずに継承するか、
という事が後に残されてますが、そちらは徐々に考えていけばいい話です。
細部より、基本的なところから整理していきましょう。

 


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