後継者

後継者・跡継ぎはアダルトチルドレン?

後継者・二代目経営者を多くクライアントに持つコンサルタントの方と少しお話ししました。
その際に、彼は「後継者の方はアダルトチルドレンであることが多い」とおっしゃっていました。
一時期はやったアダルトチルドレンという言葉、少しネガティブな印象しかないのですが、そう聞いたとき、たしかに、と思いました。
それは過去の私自身を当てはめたときに、しっくりくるからです。

アダルトチルドレンとは何か、そしてそこから抜け出すにはどうすればいいか、という事を少し考えてみたいと思います。

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アダルトチルドレンってなに?

StockSnapによるPixabayからの画像

家族内における機能不全

もともとアダルトチルドレンというのは、アメリカにおいては親が例えばアルコール依存症であったりして、親としての役割を果たしていない状態で育った子供の特徴を表しているようです。しかし、日本ではアメリカほどアルコール依存症の問題が表面化していないため、精神科医の斎藤学氏によってより広い解釈がなされたようです。以下、Wikipediaから引用します。

アダルトチルドレンという言葉は、日本には1989年に入り、1995年から注目されるようになった。アルコール依存がアメリカほど問題になっていない日本では、精神科医の斎藤学によって、アメリカの「機能不全家族で育った人」という意味のアダルトチルドレン概念よりさらに意味が拡大され、家族システムの危機や、親との関係での何らかのトラウマ、過度に「いい子」でいることを余儀なくされたなどの経験があり、他者の期待に過剰に敏感になるなどの状況に陥り、その結果、自己のアイデンティティの不安定さやある種の「生きにくさ」を感じる人、PTSD(心的外傷ストレス性障害)に悩む人を指すようになった。

斎藤らは、近代家族(核家族)の特性に家族の機能不全性を見いだし、企業戦士で仕事に依存する父、夫の仕事依存を可能にする良妻賢母的な共依存の母に育てられ、勉強依存の傾向がある子など、明らかな虐待を受けたわけではない人の多くにも、アダルトチルドレンの問題があると考えられるようになった。斎藤は1996年時点で、一般的には「親からの虐待」「アルコール依存症の親がいる家庭」「家庭問題を持つ家族の下」で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷(トラウマ)として残っている人を言うとしており、2014年のインタビューでは「ACじゃない人なんていないからね。大体の人の親は、変でしょう」と述べており、彼の言うアダルトチルドレンにはかなり幅がある。

「アダルトチルドレン」Wkipedia

これを見ると、程度の差こそあれ昭和の時代に育った人の多くは、アダルトチルドレンといえそうです。
だから後継者・跡継ぎ・二代目経営者だけの特質といえるわけではなさそうです。
ただ、アダルトチルドレン(ACOD)の特徴を見ると、捨て置けない内容を感じてしまいます。

アダルトチルドレン(ACOD)の特徴と私の共通点

アダルトチルドレン(ACOD)に特徴的な徴候
・医師の竹村道夫は、アダルトチルドレンに特徴的な徴候として以下を挙げている。これらの根拠や、研究・検証の有無は不明である。
・自分の判断に自信がもてない。
・常に他人の賛同と称賛を必要とする。
・自分は他人と違っていると思い込みやすい。
・傷つきやすく、ひきこもりがち。
・孤独感。自己疎外感。
・感情の波が激しい。
・物事を最後までやり遂げることが困難。
・習慣的に嘘をついてしまう。
・罪悪感を持ちやすく、自罰的、自虐的。
・過剰に自責的な一方で無責任。
・自己感情の認識、表現、統制が下手。
・自分にはどうにもできないことに過剰反応する。
・世話やきに熱中しやすい。
・必要以上に自己犠牲的。
・物事にのめり込みやすく、方向転換が困難。衝動的、行動的。そのためのトラブルが多い。
・他人に依存的。または逆にきわめて支配的。
・リラックスして楽しむことができない。

「アダルトチルドレン」Wkipedia

再びWikiの引用ですが、ここで上げられているアダルトチルドレンの特徴のうち、太字部分は過去もっとも家業のなかで強く出た傾向です。

たとえば、後継者・跡継ぎ・二代目経営者の方の中には、「不安」「自信がない」という言葉を発する人がとても多い印象を得ています。
そのこととこのアダルトチルドレンの項目を結び付けていいかどうかはわかりませんが、個人的な感覚としてはかなり共通点がありそうな気がします。

なぜ後継者・二代目経営者はアダルトチルドレンの傾向が出やすいのか?

ではなぜ、私たちはアダルトチルドレンの傾向が出やすいのでしょうか。
まず、家業を持つ親というのは否応なく、人生における仕事の優先順位が高くなります。昭和世代というのは、ワーカホリック的な人が多かったので、家業を持つ人限定というわけではないのですが、サラリーマン以上の緊張感を強いられていたことは想像に難くありません。さらに、組織とのバランスを考えるというより、独断専行ができる環境にあり、それを家庭内にも持ち込んだケースは多いように思います。家業を興したのが男性であったとすれば、妻はたいてい夫のことに反抗することはなかった時代でしょうから、家庭内は父親の価値観を中心に回っていきます。

家庭内のことは親の独断で決まることから、そこに育った子供の自尊感情はあまり高くはなく、自分は何かが足りないという感覚を持つ傾向があるようです。
また、こういった親は「条件付きの愛情」を子どもにかける傾向があるように思います。
〇〇ができればうちの子として認めるけど、できなければダメ、というかたちですね。
どこか不安定な家庭の状況や、こういった条件付きの愛情などでそんな家庭で育つと「完全に安全な場所」を得ることが難しく、感情的に過敏な部分を持ちがちです。
それは「自分ごときが会社経営なんて」という感情をも生み出すことになり、近年、親の会社を継ごうとする人が減っていることの説明となりそうな気配も感じられます。

そうでなくとも、子供自身の価値観を尊重するというより、親の価値観にあわすような環境だったため、自分の決断に自身が持つことができなくなってしまうことになるのではないかと思います。

アダルトチルドレンの脱却法

Mabel AmberによるPixabayからの画像

新しい自分として生きるはじめの一歩

私自身の経験からお話しさせていただきますと、こういったアダルトチルドレン的傾向は、まず自分が狭い世界で生きていることに気付きにくいという事があります。
たとえば、いろんなシチュエーションの中で孤独感を強く感じていたとします。
これを自分の傾向とは気づかず、周囲の環境が悪いと考えがちです。
しかしこの周囲の環境の悪口を言ったところで何一つ改善するものではありません。
他人(というか自分以外のすべての物ごと)に対して支配的なのも、アダルトチルドレンの特徴の一つですから、もう行動の一つ一つがそういった枠の中にあるわけです。
そうした時に意識したいのは、自分が世の中をどうとらえるか?という癖を変えていかなければならない、という事です。

実は、事業承継においては、親が自分の邪魔をしているように見えて、実際に邪魔な行為をしているのかもしれませんが、それ以上にムカついて冷静に対処できないのは自分が持つ思考のクセかもしれません。
まずはそんな思考のクセ、認知のクセを知ることが大事だと思います。
そもそも「アダルトチルドレン」という言葉は、その筋の学会でも賛否両論があるようですがあえてここで出させていただいたのは、自分のクセに気付いてもらうためです。
アダルトチルドレンというのは病名でも何でもなくて、心のクセのようなものです。
だから、ある程度までは変化することが可能だと私は考えています。

心のクセを変えていく

まず一番目に必要なのが、自分の心のクセを知ることだといいました。
その次にできることとして、色々心理療法的なものもあるようですが、ごく一般的な人間関係の中でできることが、「言いっぱなし、聞きっぱなしミーティング」というもの。
海外の映画などを見ていると、例えば何かの依存症で苦しむ人たちがいたなら、同じ悩みを持つ人で集まり、自分の体験を語り合うというシーンを見たことがある人もいるのではないかと思います。
特に、経営であるとか、親子であるとかいう問題ですから、非常にセンシティブです。
こういった悩みをだれにも打ち明けられず、一人で悩み続けている人はけっこういます。
だから、同じ境遇を経験した人たち(きっと理解・共感してもらえる人たち)と語り合う、というのは結構大事なことといえるかもしれません。

そういった場で、マイナスをまずゼロに持ってきて、そこからプラスに向けて行動していく。
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