後継者

後継者は一度「辞めたい」と思うと「辞める理由」を探し続ける

実は私は、親が家業を営む子どもが、必ずしも家業を継がなければならないとは思っていません。
継ぎたくなければ、継がなければいいと思うのです。

「そういったって、そういうわけにはいかない」
という意見もありますが、それは自分の意見を通すより、親や周囲の心証を気にするから断ることができないのだと思います。
少し厳しい見方をすると、誰に対してもいい顔を見せたいわけです。

一部の批判を恐れなければ、辞めたければ辞めることは可能です。
ただ、辞めることはいつでもできます。
その前に考えてほしいことがあります。

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会社を辞めたい後継者が会社を辞められない理由

Paul BrennanによるPixabayからの画像

辞めない理由のコレクション

家業を継ごうと親の会社に入ったものの、「もうやめたい」という後継者は多いです。わたしも、とくにはじめの10年くらいはいつ辞めようか、ということばかり考えていたように思います。なかなかそのような気持ちを打ち明ける相手もいなかったので、表向きはそれなりに前向きな後継者を演じつつ、一人で「辞めたい、辞めたい」とつぶやいていたように思います。
じゃあ、なんで辞めないのか、というと当時はこんな風に考えていたように思います。

・せっかく一度は親の期待に沿って会社に入ったのをやめるなんて親に対して申し訳ない
・途中でやめてしまうなんて無責任

まあなんとなく格好がつくような理由を挙げていたわけですが、もう少し深堀をするとこんな感情も出てきます。

・今更会社を辞めて、どこで働けるというのか
・なんだかんだ言って、わがままが通せる一面もある
・途中であきらめるなんて格好悪い

なんか格好の悪い理由が出てきます。

この時に思ったのは、実は本気でやめる決心などはなくって、「辞めてやる」的捨て台詞を自分の中にもつことで、かろうじてプライドを保っていたように思います。
社内で尊重されない自分のみじめさを、辞めたいという言葉に託し、けど辞める勇気もないからやめることができない理由をたくさんコレクションしていた、というのが当時の自分だったように思います。
いやぁ、お恥ずかしい・・・。

本心に忠実になろう

人間というのはややこしいもので、案外自分の本心は、自分でもわからないものです。
辞めたい、辞めたい、という言葉が頭の中をぐるぐる回っていても、本心は「辞めるよりかは居残ったほうが楽。けど、格好がつかないので辞めたいという姿勢をとっておく」ということであることもあります。当時の私は真剣にやめたいと悩んでいたつもりだった気がしますが、今少し距離を置いてみてみると、あの当時辞める気はさらさらなかったことが手に取るようにわかります。

さて、みなさんはいかがでしょうか?きっとこの記事を読まれているということは、少なくとも頭の中に「親の会社、辞めたい」という思いが去来しているのだと思います。もうやめてやれ!と思うのだけど、次々と辞めてはいけない理由、辞められない理由が頭に浮かんで制止をする。本気で辞めたいと決めた人は、きっとそれを振り切って辞めていきます。けど、今はまだ決めきれていないと、辞めるなんてできない・・・という結論に至ります。

そこで提案なのですが、後者の場合、つまり今すぐ辞めるという行動を起こすほどに心を決めてない状態であれば、こんな風に考えてみてほしいのです。
「辞めたいという気持ちはわかるけど、もうちょっとできることがないかを考えてみよう」
辞める決心がつかないなら、辞める前提じゃない形で物事を考えてみませんか?という提案です。

会社を辞めたい最大の理由は何?

「辞めたい」から「なぜ辞めたい」へ

会社を辞めたいという思いが頭のなかを占めていると、「辞めたい」という言葉で埋め尽くされ、いずれ「そもそもなんで辞めたいんだったっけ?」となったりしないでしょうか。今ご自分に問いかけてみてください。そもそもなぜ辞めたいのでしょうか?

親が横暴だから?
社員がついてこないから?
将来性がないから?
仕事そのものがキライだから?

まあいろんな理由がありますが、案外決定打はなんだっけ・・・?と思ったりしませんか?
確かに親の横暴さにはムカつくけど、会社を辞めるほどではない。
社員がついてこないのはイラつくけど、会社を辞めるほどではない。
会社の将来性は心配だけど、他に行っても将来性があるとは限らない。
仕事そのものがキライではあるけど、それを変えてられる立場ではある。

まあその時々に、感情的に「辞めたくなる」ことはあるのかもしれませんが、案外その決定打がないことが多いのではないかと思います。小さなことが積み重なって、ある時ふと「もうやめたい」という思いが頭をよぎる。そして、一度言語化された「辞めたい」というキーワードは頭から離れなくなって、逆に日々の出来事の中から「辞めたい」に相当する理由を見せつけてくるようになります。となると、結局、よくわからないけど辞めたい・・・という感じになるのではないでしょうか。

もし、小さなことの積み重ねだとすれば、辞めたいというのは思い込みであって、何かしらできることは沢山あるんじゃないでしょうか。

「なぜ辞めたい」から「やりたいとすれば」

もし、なぜ辞めたいかという理由が明確でないとすれば、恐らくすごく抽象化すると辞めたい、と感じ始めた理由にぶつかると思います。前述の通り、親が横暴とか、社員がついてこないとかいうことが理由であれば、まとめて考えると「自分が尊重されていないから」という言葉に集約されるかもしれません。後継者として歓迎されるはずの自分が、親である社長もそれを歓迎しているようには見えず、社員に至っては自分をはじこうとする気配さえ見せる。事象としては別々のことですが、受け取るメッセージは一つで、みんな自分を尊重しない、というのが問題なわけです。

そして私たちは、そういった状況を「自分の外側」に力を加えて変えようとします。親がちゃんと自分のいうことを聞くようになってほしいとか、社員を自分の言う通りしたい、という風になるわけです。しかしこれがなかなかうまくいきません。ジレンマなのですが、相手を変えようとすればするほど、相手は変わらないもののようです。じゃあどうすればいいかというと、自分の内面を変えていく必要があるのです。

外から変えるを内から変えるに

自分の環境を整える秘訣

周りの人に、「〇〇しなさい!」という強制は、大抵の場合その人を変えることはできません。その場だけは(うわべだけは)分かったようなふりをしますが、基本的にはその人は監視のない場所では、言われた通りにする確率は非常に低いと思います。すると、強制した人は、その人が言う通りしていないところを見つけると、「自分の言いつけを守っていない。自分のことを軽くみているにちがいない」となります。今度はさらに矯正を厳しくして・・・というイタチごっこが始まります。そうなると、自分の外側を変えようとすれば変えようとするほどイライラして、精神衛生上もよくないですね。
実はこの沼に入り込んでしまうと、どんどん嫌なサイクルが繰り返されます。

こういう時に大事なのは、「どうせ相手を変えることはできない」という割り切りというか、あきらめが結構大事です。
他人を変えられるという前提で、他人を変えようとして、他人が変わらないから、そのことで「自分が尊重されていない」という思いを強化してしまうのです。
ならば、他人は変えることなどできないという前提で、他人を変えようとしなければいいのです。
それでも現実的な問題は消えないのですが、そこにどう対処するかと言えば、まず自分の内面を変えることが必要になってきます。

それは、人は変えることができないけど、それでいい、という考えを持てるように意識してみます。逆に言えば、他人を自分の考えに合わせるのではなく、他人のことをよく見て、その人の持ち味を活かすことを考えるのです。

料理で言えば、カレーを作りたいけどジャガイモがないから、サツマイモに「ジャガイモになれ」と言ったってなれるわけがありません。
ならば、サツマイモであることを活かしきることを考えればいいわけです。
メニューを違うものに変えるとか、カレーだけどサツマイモを入れてその甘みを隠し味にできるように調整するとか、まあ方法は色々でしょうが、サツマイモはサツマイモとして生かせばいいのです。

私はそのように考えを転換してからずいぶんと気持ちが軽くなりました。

内側が変わると外側も変わる

そのように、自分の内面が柔軟に変化してくると、面白いように周囲の状況は急速に変化を始めます。
サツマイモはサツマイモとして、その力を余すことなく発揮してくれるでしょうし、
サツマイモがサツマイモであることを許したことに対して、強い喜びを感じてくれることもあります。
「ああ自分はこのままでいいんだ」と感じた人は、おそらくそれを許可した後継者に対して強いシンパシーを感じるでしょう。彼らは後継者の見方になってくれるはずです。
これは経験して初めてわかる感覚なのですが、外を変えるより先に自分の内面を整える。
これがとても大事なのです。

だから、辞めたいなーと思っている方。
辞める前に一度、自分の内面を変えてみる方向での対応を考えてみてはいかがでしょうか。
そうすれば、見える世界が一変する可能性もあるんじゃないかと思います。

 

 

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